人魚のくちづけ
ペニー少年は、ベッドの中で青い石を眺めていた。
そして、人魚のアニーの美しい姿が目に焼き付いて離れなかった。
金色の髪が風になびき、七色の鱗は真珠のように光っていた。
胸には貝が飾ってあり、ペニーは心を奪われ、胸が熱くなった。
そうして、ペニーは毎晩石を見つめて眠るようになった。
人魚の夢を見てーー
時が立ちーー
そんなペニーも人魚のことは忘れてしまい、
高校3年生になっていた。
今日は卒業式。
3年間、部活にも入らず、ひたすらペニーは学校の近くの森で遊んでいた。
その森は昔は海の中にあり、太古の地層があることで有名だった。
ペニーは地層から出た貝を収集して、調べるようになっていた。
学校では貝殻集めをしている変なやつ扱いをされていた。
大学は東京の大学に決めていた。地質学者になるためだった。
卒業式を終えたペニーはこの日も森に向かおうと
誰よりも先に自転車で校内を出た。
すると、校門に見慣れない金髪の女子高生が立っていた。
ペニーが通り過ぎようとすると、後ろからその子が声をかけてきた。
「ねえ。自転車乗せてよ。」
「え。。」
ペニーは戸惑った。
服装はこの学校の制服だが、見慣れない顔だった。
「あたしも貝殻好きなんだあ。海の近くの森行くんでしょ?」
なぜその子は自分の行き先を知っているのかわからなかった。
「う、うん。そうだけど。。」
「なら、あたしも連れてって。」
女子高生はペニーの自転車の後ろに乗った。
「わ。わかったよ。」
ペニーは女子高生を乗せて走り出した。
高校は丘の上にあり、坂を下っていく。
「きっもちいー。風ってこんなきもちいんだー。」
後ろではしゃぐ声にペニーは変わった女の子だと思っていた。
海沿いの踏切の信号が鳴る。遮断機が降りた時、ペニーは止まって話しかけた。
「ねえ。なんで僕の名前を知ってるの?」
「さあ。なんででしょーーか!」
右から貨物列車が通りかかる。
「私の名前はアニーだよ。」
「あ、、アニー!!!???」列車の音で声がよく聞こえない。
ガターンゴトーーンガターーーーンゴトーーン
「ご、、ごめん。今アニーって言った?」
自転車を降りて女の子を見るペニー。
すると女の子は自転車を降りてペニーの唇にそっとキスをした。
突然の出来事にペニーは動けなかった。
「ずっと待ってたよ。」
アニーが言う。
「え。。。。」




