第二部 金庫の鍵
2020年__
サキと太一は青い石をもって、丘の上に向かう。
二人は手紙の内容を考えていた。
アニーは100年前の1924年に手紙を書いていた。
でも100年前となると、ペニーはまだ生まれてもいない。
どこでアニーとペニーは出会ったのか。
ペニーはどの時点で手紙を渡されたのか。
アニーは未来を知っていた。
ペニーが今70歳くらいだとして、
アニーと出会うのは早くても50年前。そこからなぜアニーは、さらに50年前の過去で手紙を書いたのか。
答えはすべてペニーが知っているはず___
二人は急いで丘に向かった。
丘につくと、ペニーの車があった。
二人は建物の中へ入るが、ペニーの姿はない。
それどころか、部屋の中には何もない。もぬけの殻だった。
キッチンも、本棚も、テーブルも無い。
「ね、太一、どういうこと、、、?」太一は呆然とする。
「わからない。。。」
庭の畑を見ようと外に出るが、そこには畑すらなかった。
「そんな。。。。」
太一はうなだれた。
ペニーがいないと何もわからない。。
そこへ車の音がして、ドアが閉まる音がした。
太一は入口の方へ向かうと、
そこにはスーツ姿の中年男性が立っていた。
「いやあ。すみません。おそくなりました。」
「え。どなたですか?」サキが言う。
「え。あの〜〜。。物件見学の方ですよね?」と切り出す。
「家主のペニー先生に言われまして。この時間に2人がいらっしゃるので、
案内してほしいと。でもまさか、、本当にいらっしゃるとは。。」
男は半信半疑だったようだ。
太一は、手紙の内容が気にかかっていた。
それは、アニーは太一たちに手紙を渡したらもう十分だというようなことを書いていた。
もしかしたらペニーはいないかもしれないと思っていたし、
ペニーからのメッセージかもしれないと思い、
話に乗ることにした。
「あ、そうなんです。よろしくお願いします。」
「ちょ、、太一?」サキが困惑する。
「いやあ。カフェを開業するには、最高の場所ですよ〜。
海も見えますし、畑もできますからね〜」
「すごく素敵な建物ですよね。築何年ですか?」
スーツの男は資料を眼鏡をかけて読む。
「え〜〜と。築は。。。100年ほどと書いてありますねえ。
いやあ、古い割にはしっかりしてますよ〜」
築100年。手紙が書かれた時期だ。
2人を建物に案内したあと、その男は家の鍵を渡した。
「この青い鍵が家のドアで、、、赤い鍵が先ほど2階にありました金庫の鍵だそうです。
どうぞ受け取ってください。」
「え?」二人は戸惑うが、
「お二人さん、ラッキーですよね〜。家主さんからこんな素晴らしい建物を譲ってもらえるなんて〜。
は〜うらやましい限りです。ちなみに、、ご家族か何かでしたか?」
「あ、遠い親戚です。」太一が切り返す。
「あ、そうでしたね〜〜。忘れておりました。」
二人はほっとして、鍵を受け取り、男は去っていった。
アニーは未来を予測していた。太一ら2人とペニーは本来出会うはずがなかったのかのしれない。
それをアニーが引き合わせた。そのことで未来が変わってしまったのかもしれない。
今のペニーは自分たちのことをわかっているのか。それさえわからない。
「太一、とにかく、金庫開けてみようよ。」
建物の2階は塔になっており、螺旋階段を上がる。
しばらく上がるとてっぺんの小さなスペースに出た。
ステンドグラスから七色の光が差し込んでいる。
そこには、スーツの男が言う通り、金庫らしきものが置いてあった。




