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28話

「おはよ、ナツ!」

「ああ、おはよう」

「うにゃっ!?」

十二月十日土曜日。いつものように腹の上に乗ってきた凛華を、俺は満面の笑みで抱きしめた。尻尾を踏まれた猫みたいな声が聞こえたが、気にしないでおこう。

そのまま、布団越しに凛華の暖かさを堪能していると不意に凛華が顔を赤くした。

「どうした?」

「うにゃ!?あ、えっと...これって、えっちしてたらきじょ」

「それ以上言うのはやめろ」

自主規制のピー音が入りそうな発言だ。...まあ、確かに実際毎朝それに近しいことをしているのだがな。

というか、恥ずかしさが臨界点に達した時に凛華は「うにゃ」となるのか。...これを使って愛でたい気もする。

「いま僕のこと愛でたいって思ったね?」

鋭い。さすが凛華、俺の恋人なだけある。


「今日は...お勉強だよ!」

「うぇ」

「うぇ、じゃないの!ナツは数学がダメダメなんだから、勉強しないと!」

凛華の言葉はごもっともだ。俺は数学が相当悪い。赤点まではいかないが、割と酷い。40点台後半ぐらいだ。その代わりと言ってはなんだが、生物だけはやたら成績がいい。中学の理科で細胞の勉強をした時にミトコンドリアに興味を持ったせいだろう。逆に凛華は、生物が60点台前半と俺の平均よりも低い点数を取っている。まあ、それでも俺の数学には20点ほど勝っているのだが。

「あ、そうだ。今日は僕の家で、みんなを呼んでいるから早く行かないとだからね?」

その言葉に俺は焦りーーーいつもの部屋着のような感じの服で、凛華の家へ向かった。といっても、俺にとっては第二の家だが。


「...あ、夏凛くん。おはよう」

「おはよう、ナツ。今日は世話になる」

「...なんで私がここに...。」

参加者はいつもの三人。谷町の今日の服装はロングコートに群青色のスカート、そしてガーターベルト。気温がマイナス10度を割っているというのによくもまあそんな格好できるな。女装の執念は恐ろしい。

恋はいつもの感じで、ジジくさい服装だ。銀のアウターなんて、今のご時世なかなかお目にかかれない。

北斗は藍色のアウターにスカート、ストッキングとちょっと寒そうだ。まあ、おそらくは何か対策しているんだろうが。

「今日は、お勉強会!谷町くんは教える側で、僕は生物以外、ナツは生物をお願いね!」

「俺は言われてないんだが」

「当たり前でしょ?恋くんっていつもパッとしないし」

「パッとしないは余計だ、いつも70は確実にいってる。...数学以外は」

こんなところに同類がいたとは驚きだ。俺は恋に「ウェルカム」と笑みを浮かべて言った。

「なんだよ気持ち悪りぃ」

ひでぇ。まあわからんでもないが。

「とにかく、早く始めるよ!」


地獄の4時間が過ぎ、昼飯の時間になった。調理担当は谷町で、本人曰く「こういう時は作りたくって腕がなるんだよねー!」と言っていた。

しばらくして出てきた何かを食べーーーしばらく記憶がないのは何故だろうか。

ともかく三人が撤退していき、残ったのは俺たちとなった。

「...じゃ、あとはのんびりしよっか」

「そうだな。つってもやることねえけど」

「...ユ●チューブでも見る?」

「そうするか」

俺たちはそんなふうに時間を潰し、7時になった頃に家に戻った。


「よーし、今日は頑張っちゃうぞー!」

「おー」

ってことで試験初日。今回は楽勝な気がする...!得意の一夜漬けはしてきていない。が、あんだけ勉強したんだ、きっと大丈夫だろう。...多分。




「...夏凛。よくやった、お前は優秀だ」

ってなことで十二月十九日月曜、俺は担任の手によって紙袋を渡されていた。結構小さめだが。

「色々入っている。若者には入り用なものもいくつか入っているから、使うように」

「あーい」

席に戻り、休み時間。

「おかしいよナツ!なんで僕が一位じゃなくてナツが一位なのさ!」

「実力の差ということだよ、凛華」

「んにゃー!」

「いでっ!?」

飛びかかられた。なんて野良猫なんだ、凛華は。

「うう...!フシャー!」

やっぱり野良猫だ。というか威嚇するなんてどれだけだよ。


家に帰って、中身の確認をした。ちなみに凛華は不貞腐れたのかこちらにはきていない。

「どれどれ...。」

出てきたのは、まず茶封筒。『先生より脱法』と書かれた怪しげな封筒で、確認すると5枚ほどの諭吉がコンニチハ。...なんてもの送ってんだよ、あの先生!?

次に出てきたのはペンケースとシャーペンのいいやつ。定番のやつだ、やったぜ。

「あれ、もう一個入ってるな?」

みたことのない箱だ。どれどれ...ん?ってこれ、コン●ームじゃねえか!

『どうせ生徒同士でニャンニャンしてんだろうから、それに対しての優しさだ。決して生徒としているうちに卜部(凛華の方)を妊娠させないように。 教師より』

違う、俺は巻き込まれているだけで自分からすることはーーー

「...ナツ」

最悪なタイミングでやってきた凛華によって、その日は記憶がない。...抹消したというのが正しいが。

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