19話
昨夜は流石に眠かったのと、次のネタ考えるので上げれませんでした。明日は新たな章に入りますんで、お楽しみあれ。
「おはよう、ナツ!僕はどうだった?しっかり君のことよくしてあげれたかな?」
「知らねえ。そもそも、途中で「されるがままになれ」って考えんのを放棄してたからな」
「えー!?せっかくの初夜をそんなふうにするなんてーーー」
「...だったら、俺の心の準備が整った時にしろよ。ま、結局途中で思考放棄するだろうが」
「...そっかー。僕の扱いは、君の中でそんなもんなんだー?」
次の日。無理やりされたからか体の節々ーーーより具体的には、肋と腰と陰部ーーーが痛くて目が覚めるかと思ったが、凛華の声が起こしてくれた。というか、あんだけしといて良く元気でいられんな。俺もだが。
にしても、なんだか声に棘を感じる。まあ実際、昨日お前がしたことを考えればそうなるだろと言いたいのだが。
いつものラブ100%の彼女とは対照的に、今の凛華なら俺を視線で呪殺するに違いない。そんな視線を背に受けながら、俺は階段を降りて行く。その途中で振りかぶると、俺は凛華を抱きしめる。
「...凛華のことが大事じゃないわけではないんだ。ただ、流石に突然襲われて俺の肋を折りかけるような事をされると、激痛で思考放棄したくなるってことも理解してくれ。分かってくれるだろ?」
その言葉を言い終わると同時に、抱擁は振り解かれた。
「何それ。浮気夫の、弁解にしか聞こえないんだけど」
氷点下以上に、冷え切った視線。思わず唾を飲み込みそうになるが、飲み込まずに耐える。そうしてしまえば、俺に落ち度があると認めるようなものだからだ。一息つくと、俺は少し呆れたようにして言ってやった。
「そもそも、まだ未成年で襲うってことの方がおかしいんだ。わかってんのにやるお前が悪い」
「うぐっ!?」
「大体、俺を誘ったのも昨日のあれが目的だろ?言ってくれれば、それなりの対処というのがあったのにーーー」
「...さ、誘われたのに気づいて付いてきたってのは君にもその気があったってことだろ!?ぼ、僕だって我慢できなくなる時もあるんだよ!」
真っ赤になりながら言う凛華に、俺は少しだけ間抜けヅラを晒した。
「...そ、その顔はなんだよ。もしかして、僕のことおちょくってんの?」
まだ赤面したまま、しかし若干の棘を覗かせた口調に我に帰ると、少しだけ俺は弁明を試みる。
「いや、お前が「我慢できなくなる」っていうのに驚いて。...じゃあ、どういうことをすればお前は我慢できるんだ?」
少しだけ本音を聞く意味でも聞いた言葉だったがーーー彼女の顔を見た途端、不味いと思った。あれは刺される前の時の、凛華をおちょくるネタを見つけた時の恋の顔と一緒だ。
「...へえぇ?気になるんだー?」
「あい、いや、そんなわけではないんだが...。ただ、仮にも恋人なんだし、相手のことを知っておくのも必要かなと思ったんだが...。」
「僕たち、幼馴染だよね?ずぅーっといっしょにいたよね?...分かんない、なんてこと...ない、よね?」
目の空いていない笑顔なんて、初めて見た。凛華のその笑顔は、ただ笑っているわけではなく...ただ、俺に「確認」してるだけに思えた。『僕が我慢できるようなこと、してくれるんだよね?』という圧力をかけているのだ。
俺はため息をついて、階段を登り直す。そして、口づけ。
「...分かったよ。確かに、俺が少しだけお前に誘われてきたことに下心を持っていたのは事実だ。ただ、せめて主導権を握りたいというのは俺として...というより、男として思ってたんだが」
「え?そんなことさせるわけないでしょ?だって、君は僕のなんだもん」
首を傾げる凛華に、俺は大きくため息をつく。...というか、今気づいたことだが凛華が俺を呼ぶ時、ナツと呼ぶ時と君と呼ぶ時がある。多分、とても重要だと無意識で思っている時には君と呼んでいるんだろう。
「おはよう、2人とも!僕はNLにあまり興味はないけど、今の2人...特に、凛華ちゃんがとっても輝いているってことは初夜を?」
流石にあのままずっといるとまた若気の至りという名目で襲われそうだったので、俺たちは自分の家でジェネシスオンラインにログインしていたがーーー谷町、やはりお前は鋭すぎるだろ。
「うん、まあね。谷町くんの予想通り、僕が一方的に襲った感じだけど」
「へえ。...じゃあ今度は、夏凛くんが女装コスして弱い少女とそれを襲う肉食系凛華ちゃんっていうシチュを楽しみにしてるからね?」
「しねえからな!?しかも、昨日のあれは無理やり襲われただけで、俺の意思はそこに一切介在していない!勘違いすんなよ!」
「...などと、容疑者は容疑を否認しており...」
「やめろよ!?凛華が言うと今だけはシャレになんねえからな!?」
などと話しているのは、裏路地のちょっとした広場のようなところ。昨日買った、超絶格安の武具屋のある近くのところだ。
そんな話をしたのち、再び数時間外で戦闘をしたのち、正午あたりで切り上げた。残りの午後は、凛華と共に電車で20分ほどの街でアーケードゲームに熱中した。...心なしか、体を動かすタイプのゲームの点数が上昇していた。あとは某太鼓を叩くゲームとかも、正確さが増している。ジェネシスオンラインすげえ。




