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18話

「...すいませーん、保史君はいますかー?」

「あー、ちょうど今日退院したんですよ。ごめんなさいねえ」

十一月十八日月曜日。文化祭の振り休なので、俺たちは恋に報告も兼ねて病院に来ていた。が、結果はこれである。俺たちは、トボトボと道を逆に動いた。

「恋君、もう退院したんだね...。」

「俺たちってあいつの家知らないしなあ...。」

全くもって、アイツは謎である。確かに父親はプラモ屋を営んでいるが、あれは表なだけにしか思えない。それに母親の存在も聞いたことがないし、ただ存在だけは謎ではない。やはり謎だ。

「...ねえ、ナツ。あれって...?」

凛華に軽く袖を引っ張られて、俺は凛華の指差す先を見る。するとそこには...

「...恋?横にいるのは、誰だ?」

恋と、それにベッタリとくっついた少女がいた。


追いかけてみたが、2人に追いつくことはなかった。もしかすると、途中で気づいて巻かれたのかもしれない。

「...ま、とりあえず今日は僕の家でのんびりしようよ」

「お前の家でか?まあいいけど、何するんだよ」

すると凛華は立ち止まって、

「...親がいない家に誘う、意味分かるでしょ?僕に言わせるなんて、君は悪い人だね」

頬を染めながら言った。...俺は朝チュンだけは嫌だぞ?

「んー!やっぱナツは弱いねー!」

「俺はこういう頭脳ゲーは苦手なんだよ!それなら家の倉庫からファイガン・クレイドル引っ張り出して、ジェネシスオンラインやった方が得意だ!」

...思ったようなことではなかった。相変わらず、というか俺と恋人関係にあるっていうことを逆手にとって上手く言葉を使ってきたなと思う。


「...ジェネシスオンライン、かあ。あの家にあるのは、何にも手が加わってないものだよね?」

「ん?ああ、まあな。俺がやったのも、父さんのアカウントでだから家に残ってるやつだったら問題なく使えるし、なんなら未使用がまだ3つもあるから恋も誘ってできるな」

「ああ、確かに。...その中で僕たちはやっぱり結婚を?」

「しねえよ?」

凛華は意外と興味があるらしい。まあ、今プレイできるVRMMOジャンルのソフトってあれしかないからなあ。それにしても、あれがかれこれ27年ぐらい前のものっていうのはいまだに信じられないが。

「...でも、そうだね。恋君とやるのはつまんないし、なんなら谷町くんでも誘って三人でゲームするのがいいと思うよ?」

「谷町かあ...。」

アイツなら確実に、『性別は絶っっっっっっ対に、Femaleにするよねっ?そうだよねっ?』と言ってくるのが目に見えているが...恋にやらせれば、『...へえ。色々選べんなら...現実のナツに極限まで寄せてやろうか』などと言われかねないし、アイツなら行動もするだろう。俺はやむなく、携帯を開いた。


『今すぐ行く、特速で!』

電話をかけて用件を話し、一言加えると耳元がキーンとするような声が俺の耳朶を打った。痛え。

「最後何か付け足してたみたいだけど、なんて言ったの?」

凛華には言いたくないしお前を売ったみたいで申し訳ないが、と前置きしてから、俺は言った。

「性別を変えれるから、凛華と合法百合をできrーーー」

全力で殴られた、歯が折れるかと思った。


機嫌を直してもらうために色々としたが特に効果はなく、谷町が「今日は」といったのを眼力だけで封じ込めて帰らせようとしたほどであった。

が、いざセットアップすると楽しさにワクワクしているようで、アバター作成のためにローカル通信が入ったことを確認すると揃えて「リダイヴ・スカイハイ!」なる非常にダサいログイン用の言葉を言う(元々のこのれを使う機械、ファイガン・クレイドルⅡの段階では違ったみたいだが)。その瞬間、視界は一瞬真っ暗になった。

やがて光が差し、剣やら槍やら何やらが周りを貫きーーー青く光る船が数秒映し出されると、どこかに出される感覚があった。尻餅をついて、「いてっ!」と声をあげてしまう。

『もう、ナツは情けない』

どこからか声が聞こえて、辺りを見回すと今いる暗い場所に小さなタブが開いていて、「Sound Only」と書かれたものがあった。それに「うるせえ!」と答えて、俺は目の前にあったホロウィンドウ?をタップして行く。


『僕フェメイル?にしたけど、ナツはーーー』

『僕もフェメイルにしたよ!もちろん夏凛くんも、こっち側に来るよね!?』

さすがは姫男子の名を冠するだけある。自分からチャンスを掴みに行く姿、俺たちが巻き込まれる人間じゃなきゃスタンディングオベーションしてやりたいね。

「...とりあえず、女にしておくか」

この後は予想できたことだが、『えー!?なんで!僕と一緒に〈パンデモニウム〉でラブラブするのがやなの!?』という凛華の悲鳴と、『...さすが我が同志!君ならこっちにきてくれると信じていたよ!』と感動した谷町の声があった。

そのあとは2時間ほど遊んで、ログアウトすると谷町と別れて眠る。...ガッツリ襲われた。されるがままだった...。不甲斐ねえ。

ジェネシスないステータス

・夏

名前:Bright sun

性別:Female

身長:163cm

髪:アッシュグレイ、ショートボブ

虹彩:黒

・凛華

名前:Loving sun

性別:Female

身長:157cm

髪:緑金髪、ベリーショートのストレート

虹彩:藍と空色のオッドアイ

・谷町

名前:Generate

性別:Female

髪:銀髪、ロングの三つ編み

虹彩:銀と白銀のオッドアイ


こういう細かいところに手を出したくなるお年頃です。

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