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2-2 絶滅へのカウントダウン


北半球のペンギンこと、オオウミガラスです。


不思議よね。なぜ北半球で暮らすオオウミガラスと、南半球で暮らすペンギンが、ソックリな生活形態を取っているのか。本家へのリスペクト?


まぁ私たち、絶滅しましたから。謎は謎のまま、永遠に解明されナイわ。詳しく追及したくても出来ないもの。




肉や卵を食用にするため、羽毛や脂肪を採取するため、オオウミガラスが捕獲利用されたのは少なくとも8世紀頃から。


なぜ分かるのかって? 本格的なヴァイキングの時代が始まるのが、8世紀だからデス。



ヴァイキングと聞いて思い浮かべるのは、角のあるかぶとかぶった海賊や、略奪する戦士でしょうか。


ソレって画一的なイメージで、実際は違います。


ゆかりの地では農民で漁民。ヴァイキングにとって航海の目的は交易で、略奪は例外的なモノでした。




ヨーロッパ人でアメリカ大陸を発見したのは、コロンブスだ。その業績は『新大陸の発見』として重視された。そう学校で習った方、多いのでは?


ソレ、事実ではアリマセン。


コロンブスより前にアメリカ大陸北部に上陸し、移住したのは北欧のノース人。ヴァイキングです。



彼らの商業拠点はユトランド半島のヘーゼビューや、スウェーデンのビルカ。交易ルートは黒海やカスピ海、ニューファンドランド島にも到達。


つまり私たち、オオウミガラスの生息域と重なります。



乱獲は、されなかったわヨ。食べる分だけ、狩られました。まぁ、個体数は減りましたケド。




小氷期しょうひょうきによって、減少した事も。分かりにくい? あらゴメンなさい。


小氷期とは14世紀半ばから19世紀半ばにかけて続いた、寒冷な期間のコト。小氷河期とか、ミニ氷河期とも言うそうよ。



1650年、1750年、1850年頃の三つのピークが有りまして、その間に氷河が若干後退した時期を挟みます。


平たく言うと、環境の変化により個体数が減少しました。




問題はソノ後の、大規模乱獲。


もともと多かった個体数は、アッという間に数を減らします。『オオウミガラスの羽毛は防寒に優れ、その卵は美味』なんて事が、広く知られてしまって。



私たちは人間に恐怖心を抱く事が無く、むしろ好奇心を持って近寄ります。加えて一年に一個しか産卵せず、繁殖力も低かった。


減少した個体数の回復は、絶望的。



・・・・・・絶滅へのカウントダウン、はじまりました。






1534年。フランスの探検家ジャック・カルティエ率いる探検隊が、ニューファンドランド島に上陸。恐ろしい事に、何の迷いもなく奪いました。


加えて『一日で1000羽以上のオオウミガラスを殺した』と、記録まで残したのです。


ナンテコッタイ!



その報告から『オオウミガラスは卵も羽毛も金になる』とか、『捕まえ易い鳥だ』という話が、ヨーロッパ中に広がります。


結果、大量殺戮が始まりました。




ニューファンドランド島だけ? いいえ。


金に目がくらんだ人類により、各地の海岸で無秩序にオオウミガラスが狩られ、卵が持ち去られます。



個体数はドンドン減少。


1750年頃には北大西洋各地に、僅かな繁殖地が残るダケとなりました。それでも乱獲は続きます。お願い、もうめて。




1820年頃。私たちの繁殖地はアイスランド沖にある、ウミガラス岩礁と呼ばれる小島でしか、見られなくなりました。


この島は周囲を崖で囲まれていたため、人が近づけなかったのです。




私たちは穏やかに暮らしていました。けれど、幸せは続きません。


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