─ プロローグ ─
初めましてAliceです!
「小説家になろう」では初めての投稿作品ですので、よく分からないこともありますが、暖かい目で見てくださると幸いですm(*_ _)m
この作品は社畜の主人公が難題クリアを目指して冒険する異世界ファンタジーとなっております!
感情的になったり、冒険を通して仲を深めていく姿を見て「面白い」と思っていただければ嬉しいです
では長くなりましたが、本編をご覧ください!
午前二時、時計の音が淡々と刻まれるばかりで、消毒液の立ち込めたこの部屋は静寂に包まれている。突然僕の身体を蝕んだ病気は、あと一ヶ月で僕を殺すという。一週間前までは普通に働いて、普通に飯を食って、普通に寝ていたというのに、今は何一つ儘ならない。だが不思議と落ち込んではいない。何故なら、ある意味あの地獄のような日々から抜け出せたのだから。
小学生で天才と呼ばれ、中学生で全国模試一位。高校生で貰った賞状とトロフィーは数しれず、大学生になってから頭と顔の良さで毎日沢山の仲間に囲まれ、誰が見ても人生勝ち組だったのに、第一志望で入った大都会の企業で僕は相手にして貰えなかった。先輩には怒られ、後輩には舐められ、その状態を脱却する為に人一倍努力した。それなのに僕を舐めていた後輩が上司になった。あの時の衝撃は未だに忘れることが出来ない。彼は僕が出来損ないのが分かってて、わざと大量の仕事を寄越す事もあった。寝る間を惜しんで仕事に打ち込んでも、返ってくるのは怒声だけ。それでもいつか認めて貰えるように頑張ったつもりだった。だがその努力は報われることはなく、ある日僕は深夜の駅のホームで倒れた。
「一之瀬彗樹さん。君は末期の膵臓癌だからせいぜい持って一ヶ月だろうね」
開口一番、深刻な顔をした医者はベッドに横たわる僕にそう告げた。
「もう会社には行かなくてもいいって事ですか」
他にも聞くことがあるはずなのに真っ先に出たのは会社の事だった。医者も看護師も顔を合わせて驚いていたし、僕も驚いた。状況を察した医者は少し顔を緩めて、「頑張ったな」と一言呟き、これからのことについて話し始めたが、何を話したかは覚えてはいない。
一通り話が終わると二人は病室を出ていってしまった。もちろん見舞いに来る人なんていない。親は遠い田舎にいて状態なんか知らないし、大学の仲間なんて連絡すらくれない。小さい頃仲良くしてくれた女の子は中学生になった頃に離れてしまって連絡も取れない。つくづく自分は惨めだと感じる。薬の副作用のせいか、何に対しても気力が湧かず、しばらくはベッドで何もせずに過ごすことが多くなった。でもまだ自分が死ぬという感覚は得られない。
数日後、これまでに無い激しい睡魔が僕を襲った。