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1分救世主

 11時59分。

 大変な事になってしまった。

 俺は未来予知装置を作った。開発は非常に苦労したが、問題はそこではない。

 机の上に置いたパソコン型の予知装置は、未来の出来事を映像として映し出せる。

 そして今ディスプレイが描くものはというと、幾多の都市が巨大な火球とキノコ雲に覆われる様子──核戦争だ。

 ほんの試運転のつもりだったが、実現まで時間は刻々と進んでいる。

 どうか止める方法はないのか。予知が映せるなら原因だって分かる筈。

 だが国家間の戦いの引き金などたった一個人の俺に止められるというのだろうか。

 一応映像を切り替えてみる。ある紛争多発地域の新聞記事やニュースが浮かんだ。

 対立する小国の背後に控える大国同士がとうとう介入って所だろうか。

 ビーッ!

 外で不快なサイレン。携帯端末も甲高い警報を狭い部屋に響かせる。

 12時00分、端末の警報を見ると、【○○国に核ミサイル着弾 大国間で宣戦布告】と速報の見出し。

 警報は鳴り止まない。遠くで地鳴りが聞こえる。もうここまで戦火は迫ってるのか。こんな目先の予知ではどうしようもない。

「ふざけるな!」

 世界の崩壊か予知装置の性能への怒りか、俺は予知装置を床に叩き付けた。

 その時だった。

 予知装置は部品を撒き散らしながら白い閃光を発し、視界が眩む。遠くからの轟音も聞こえなくなった。

 眩しさが消え、目を開けた。

 地鳴りは無い。公園が見えるアパートの窓を覗くと、普段通りどこかの親子が楽しそうに遊んでいる。

 携帯端末に表示されていた警報は消えていた。ニュースサイトを幾つかチェックしても、宣戦布告や核ミサイル投下等の速報は見当たらない。

 ところで、俺はある事に気付いた。

 時計に目をやると、11時58分――予知装置を起動する前を示していた。

 そして、壊れた筈の予知装置が起動前と同じ状態で机の上に載っていた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 改めて推敲すると面白くなると思います。 [気になる点]  破滅描写を冒頭に、細かくリアルに。  「開発は」から「というと」、「予知」から「だろうか」を削除。  目を覚ますようなサイレン。→…
[良い点] 実は未来予想装置ではなくループスイッチだった…?? わたしの頭が悪いせいかもしれませんがいろんな解釈ができるところが面白いと思いました。こうかな、こういうことかな、と考えながら読むのがたの…
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