こちらからして、ごめんだわ
ワタシ以外の同性の存在が、
カレのプライベートゾーンに視覚を通して
あからさまに、その存在を
さらけ出していたのは、
カレのマンションの玄関に、
お行儀よく並んでいた。
ワタシには履きこなせない
ベロア調のピンクのハイヒール。
スニーカーやローファーを履いているワタシとは、次元の異なるヒトだと憶測で察した。
浮気。
その言葉に当てはめて良いのだろうか?
キミの、その行動は、
本気なの?
もしくは、
ワタシが遊ばれてたの?
両方行けると思ったの?
思考や胸の中は、沸騰したようなシチューのように、熱くふつふつと煮えくり返っている。
今、それ飲み込んだら、
火傷するかもね。
そんなふうに、問いただしたい気持ちもあるけど。
時間を置いてカレと再会。
深呼吸をひとつ、ふたつ。
いや、
みっつ、よっつした。
ワタシへの粗雑感はたっぷり。
パンケーキの? あんみつの? シロップくらいに、たっぷりに。
あからさまな素振りを目の当たりにして。
いやいや、
こちらからして、ごめんだわ。
そんな、オトコ。
キミは、そんな器用なヒトじゃ無いんだよ? と、
教えてあげたかった。
なんだろう。
浮気されたのに。
ワタシはとても、清々しく、
カレの元を離れて、足を踏み出した。
春なので、終わりと始まりのような、そんなそれを描いてみました。
短文。
春は、好きです。
木蓮の花がとくに。
蕾の状態が一番好きなのですが、今年は暖かく、すっかり花開いてしまいました。
エッセイというよりは、詩に近いかもしれません。
現在、執筆中の“f値〜”もどうぞ、よろしくお願いします。