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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第5章 天然トラブルメーカー

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王宮内で私がアヘンを吸っているという噂が出回っている。

「困ったわね」

貴族の関係者がアヘン中毒になるのは別段、珍しい話ではない。だから流していた。

アヘンはお金がかかる。だから売人はお金のある人間の元へ行く。取り分け危機管理能力の低い貴族の令嬢や子息は格好の餌食となる。

だから気にしなかった。

ところが状況が変わった。

リーゼロッテが王宮の廊下のど真ん中で発した言葉。彼女に悪意はなくとも広める人間に悪意は当然だが備わっている。

テレイシアと帝国は幾度となく戦争を繰り返してきた。今でこそ姉とノワールが一計を案じて平和条約が結ばれているが元は敵国。

おまけに私は一度カルディアスに嫁いでいる身。つまりは傷物。

娘を持っている親や野心家な令嬢。純粋にテレイシアを恨んでいる者。

私をよく思っていない人間はこの国には多い。でもそれは私を知らないからというのも大きい。

だからお茶会を開催して味方を増やそうとした矢先の出来事だった。おかげさまで招待状は減ったし、私が開催するお茶会の参加も断られるようになった。

常識のある貴族なら正しい判断だ。

何もする気はなかったけど。動かざるを得ないわね。

「マクベス」

「はい」

私以外誰もいなかった部屋に音もなく降り立った男がいた。彼の名前はマクベス。

カルディアスの王妃をしていた時に私を殺しに来た暗殺者の一人。

お姉様に仕えているハク。カルディアスの時にとても役に立ったから私も一人ぐらいは欲しいと思って勧誘したのだ。

「アヘンの出所について調査をして」

「畏まりました」

マクベスは現れた時と同様に音もなく姿を消した。

再び一人になった部屋で私は考える。

どう動くべきか。

「お待ちください」

考えているとノルンの声が聞こえた。カルラがノックをしたので入室を許可すると無表情だけど、付き合いが長くなったおかげで彼女の機嫌があまり良くないのが分かる。

「どうしたの?」

「リーゼロッテ皇女がお見えです」

本来なら訪問の前に先ぶれを出すのが礼儀だ。だが、今回はそれを取っ払った訪問だ。

よほど緊急性が高いのか、ただの猪突猛進か。

どのみち皇女を門前払いするわけにもいかない。

「ノルンにリーゼロッテ様を通すように言って。それからカルラはお茶の準備を」

「畏まりました」

「ディーノとシュヴァリエは中で待機。キスリングはノワールを呼んできて頂戴」

「はい」

「分かった」

「畏まりました」

シュヴァリエ、ディーノ、キスリングの順に返事をしてそれぞれの持ち場に戻った。

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