表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第4章 私の運命?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/199

58

「それに一時的とはいえ、他国の人間を政治に関わらせた。勘の良い者は既に勘づいているだろう。宰相を味方につけたのも良かったな。お前の手足となって、根回しをしている。あれはもう完全に王を見限ったな」

ククッとノワールは喉を鳴らして笑う。

私からお姉様に渡している情報がそのままノワールに漏れている。彼が独自に全てを調べ上げたものではないだろう。

私がここにいるのも、私の側近がここにいるのも全てお姉様の采配。そして、カルラは最初から私の傍に居た。これは全てお姉様の計画通りということ。

最初から帝国と手を組むつもりだった。カルディアス王国はその為の贄。ぬかったな。ここまでは考えが及んでいなかった。そうよね、ただ純粋に資源が豊富なカルディアス王国をお姉様が欲しているはずないもの。

そう考えると私の次の立ち回りは。

私を値踏みするように見ているノワールに視線を向ける。

「陛下には弟がいらっしゃいましたね」

「ああ」

「私にはまだ嫁いでいない姉がおります。私が離婚後は陛下の弟君と私の姉が婚姻してカルディアス王国の新たな王と王妃になるのですね」

「その通りだ。お前はやはり、敏いな。テレイシア女王がお前をカルディアスに嫁がせた理由がよく分かる」

私は初めから捨て駒だったのね。

まぁ、お姉様のことだから離婚後の私の嫁ぎ先も既に決めているのでしょうね。

冷酷で無慈悲と言われることもあるけど、家族に対してきちんと愛情を持っている人だからそんなにおかしなところには嫁がせないはず。

ただちょっと気になる点がある。ノルンたちがここにいる理由だ。

「私がここにいるのは万が一に備えてと考えてよろしいんですか?国の乗っ取りです。多少のいざこざはあるでしょう。それに巻き込まれないために帝国に保護されていると」

「それもあるが、お前を俺の妃に迎えるつもりだ」

「は?」

「言っただろう。祝杯をあげようと」

確かにさっき言っていた。思いっきりスルーしたけど。何の祝杯だ?と思ったけど。

「・・・・・なぜ?王弟殿下と私の姉が婚姻することで両国の絆は確固たるものになります。そこで私とあなたの婚姻が必要ですか?」

「俺とお前が結ばれれば絆はより強固になる。それに俺はお前を気に入った。剣を片手に戦う姿はまるで戦場を駆ける戦女神のようで実に優美だった。最初はその姿に一目ぼれをした。次に策を弄する姿、俺に対して物おじしない度胸が気に入った」

そこまで言って立ち上がったノワールはツカツカと私の元まで来て、私の手首を掴んだ。あっと、思った時にはとても近い距離にノワールの顔があって思わずドキッとしてしまった。

私も年頃の、それも王族に生まれたってだけの普通の少女だからね。イケメンにキスされそうな距離までに近づかれたら鼓動が早くなるのは仕方がない。生理現象よ。

「俺はなかなかお買い得だと思うぞ。お前に苦労はさせないし、魔族に番なんてものはないしな」

「・・・・そうですね。ですが、私はまだ王妃なので」

「安心しろ。今頃はお前の姉がトカゲにも分かるように丁寧に離婚について話し中だろう」

トカゲって陛下のこと?っていうか、当事者置き去りでいろいろ進められて、頭がパンクしそう。

「お前だってあんな男の嫁はいい加減うんざりしていただろう。このままいけば跡継ぎ問題もあるしな。初夜も迎えてはいないのだろう」

「なっ」

あけすけに言いますね。事実ですけど。どうしてそこまで知っているのよ。

分かっていたけど、あそこいろんな情報駄々洩れよね。

「そうですか。取り合えず、いったん休ませていただいてよろしいですか」

「ああ。お前の回答がどうであれ、お前が俺の妃になる以外の道を用意してやるつもりはないが、情報を整理させる時間ぐらいはやるから。よく飲み込むことだ」

「ありがとうございます」

「それと、お前の側近たちは本日をもって帝国の臣下となった。これから先は妃となるお前の側近だ。もちろん、カルラも今まで通りお前につけさせる。安心しろ、辞職届は既に出させているから」

「・・・・・そうですか。何から何まで準備がよろしいですね」

「欲しいものを手に入れる為なら手間は惜しまない主義だからな」

「・・・・っ。そ、それでは失礼させていただきます」

「ああ」

未だかつてそんなことを言われたことがないので調子が狂う。

王女として貞節を守る為に最低限の男性としか関わらなかったし、嫁いだ男が男だったので男に免疫がないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ