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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第1章 夫には既に運命の赤い糸で結ばれた相手がいました
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追加2

「妃殿下は容姿も内面もとても美しい方です。ご自身の立場もよく弁え、義務に対して誠実な方。どなたかのように何かを強請ることもありませんし」

ぎろりとフォンティーヌが商人を睨むと、商人たちは気まずそうに視線を逸らした。

隠すことのない嫌味に、けれどユミルは気づかない。

「私と違って買わなくてもたくさん持っているのね」

そういうことを言いたかったわけじゃないとフォンティーヌの顔が言っている。

「今は大人しいだけだろう。そのうちすぐに化けの皮が剥がれるさ」

カルヴァンは吐き捨てるように言う。

商人の前だということを彼は忘れているのだろうか。

下手な貴族や情報屋よりも情報を持っている彼ら。彼らによって広められる情報だってある。そんな彼らの前で私を貶める発言をするなど。

きっとフォンティーヌは後で彼らに口止め料を払うことになるだろう。

「ねぇ、フォンティーヌ。見て、綺麗でしょう」

ユミルはカルヴァンから離れて一番気に入ったと思われるドレスを自分に当てて嬉しそうに近づく。

「どう?似合う?」

コロコロ笑うユミルにフォンティーヌは目もくれない。

ユミルがフォンティーヌに近づくのが気に入らないのかカルヴァンは不機嫌な顔をしてユミルの腰を抱く。それ以上近づくことを許さないとカルヴァンがフォンティーヌを牽制する。

獣人は独占欲が強い。中でも竜族が一番強いと言われている。

フォンティーヌはカルヴァンの牽制をとても煩わしそうに無視をする。

「国費は国を運営するために使われるもの。そのお金がどこから出ているかご存知ですか?」

フォンティーヌがユミルに問うと、ユミルはきょとんした顔をしている。こういう顔も可愛いから男はきっところっとやられるんでしょうね。

「国民が働いて稼いだ金です。あなたの贅沢に使われていいものではありません」

「贅沢だなんて、そんなぁ」

ユミルは傷ついた顔をする。それに怒ったカルヴァンがフォンティーヌに掴みかかろうとするがフォンティーヌはあっさり避ける。

商人たちは巻き込まれてはたまらないとばかりに片づけを始めている。

「衣裳部屋におさまりきらないほどのドレスは必要ありません。宝石もです。あなたは妃殿下と違って公務などないのですから。ただ、陛下の寵愛を受けて、怠惰に暮らしていればいい」

「ひどい」

「フォンティーヌ、いくらお前でも俺の番を侮辱することは許さないぞ」

「なら投獄しますか?それとも処刑しますか?」

「っ」

できるはずがないと私はことの成り行きを見ながら思っていた。

今、フォンティーヌを失えば執務が滞る。それに、貴族との軋轢を緩和しているのはフォンティーヌだ。彼らはカルヴァンについているというよりもフォンティーヌの顔を立てて仕方がなく我慢しているだけにすぎない。

彼がそこまで分かっているかは分からないけど、少なくとも執務に支障が出ることぐらいは分かっているのだろう。

その証拠に彼は苦虫を噛み潰したような顔でフォンティーヌを見ている。

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