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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第4章 私の運命?

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姉と陛下は表面上は和やかな会話をして終わった。

陛下は姉に好意的な態度ではあったけど、姉の態度や言葉からは、終始、棘を感じていた。

にこやかではあるけど、目は笑っておらず、私が選んだ護衛が外され、役にも立たない護衛がつけられていることにし対しても嫌味を言っていた。

つけた護衛が役に立たないということにすら気づけない。そのことに対して姉は怒っていたのだ。

もちろん、鈍い陛下がそのことに気づくはずもなく、姉や私も教えてあげるほどの親切心は存在しない。


◇◇◇


表面上は和やかなまま私の二度目のお披露目会は幕を閉じた。

招待客たちは明日、順次出立するので今日は王宮に泊まる。

私は侍女を下がらせた後、バルコニーに出た。

疲れてはいるけど、なかなか寝付けなくて、夜風に当たりたかったのだ。

ひんやりとした空気が気持ちいい。

「不用心だな」

不意に聞こえた声に私は身構え、ナイトドレスの中に隠していた短剣を取り出す。

「テレイシアの女は勇ましいことだ」

とん。と、軽い音を立てて、手すりの前に降り立ったのは姉がお披露目会の時に紹介してくれたノワールという男。

お披露目会の時は無言を貫いていたので気づかなかったけど、この声には聞き覚えがあった。

「あなた、もしかして誘拐の時に助けてくれた」

にやりとノワールが笑ったのがフードの隙間から見えた。

「お前は仮にもこの国の王妃だろ。なのに、ここまで来るのに民間人の家に侵入するぐらい簡単だったぞ」

「・・・・・民間人の家に侵入したことがあるんですか?」

「・・・・・」

あるんだ。この人、姉が連れていたということは敵ではないんだろうけど、どういう立場の人なんだろう。姉は知人としか教えてくれなかったし、陛下も姉と話すときにノワールのことに関しては深く聞いてはいなかった。

仮にも他国を招いたパーティの主催者で王ならば不審人物として深く聞いてほしかった。

「王妃の住まう棟の入り口には必ず護衛がいる。もちろん、この部屋の前にもな。だが、そんな奴はどこにもいなかったぞ」

そうでしょうね。ユミルの時は陛下と寝室を共にしていたから後宮にもそこまで仰々しい護衛はつかなかった。何よりも竜族は最強部族。自分の身は自分で守るのが定石。

他国の王侯貴族にそれが通用しないとは思わなかったのだろう。だから、護衛のことまで頭が回らない。

まぁ、敵ではなかったけど、結果的に仲良くしているのなら私の精神衛生上、問題はない。

「それで、何の御用ですか?」

「一緒に来てもらおうと思って」

どこに?という言葉を言い終えることはできなかった。目の前に現れた男が姉の知人で私のボディーガードのような役割を果たしてくれることは知っていた。でも、そんなことが本当にあり得るのだろうか。

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