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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第3章 運命の赤い糸は切るためにあります

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ユミルが男を連れて逃げたという噂は侍女長のジェット、それからエウロカの実家が経営している商会に頼んで流してもらった。

エウロカの実家にはエウロカを生かす代わりに流すようにお願いしたのだ。

ジュンティーレ公爵はユミルを管理できなかった不始末と王妃である私の毒殺未遂により、財産、領地を全て没収。地位は剥奪された。

ただ息子であるキスリングは近衛に所属している為、騎士爵位の地位が与えられている。

騎士爵位は一代限りのものであり、庶民よりかはましな暮らしができる。

貴族のくだらない柵もなければ、お茶会や社交界に参加する必要もないのでキスリングの母親には有難いことなのかもしれない。

因みに、キスリングは私の護衛騎士に任命した。それともう一人、地下で助けた魔族。薄水色の髪と瞳を持ったディーノ。

故郷に返してあげようと思ったけど、家族は既になく、幼い頃に奴隷になったので故郷がどこなのかも分からない。本人の強い希望によりこの度、私の護衛に任命。

彼の場合、身元が不確かなのでそこはフォンティーヌにお願いして身元保証人になってもらった。

王妃の護衛をするには常識的に人数が足りていないが、初めに比べたらマシだろう。

問題は公爵がいなくなったことにより、悪徳貴族の抑えが利かなくなってしまったことだ。良くも悪くも公爵は彼らの抑止力になっていた。

フォンティーヌは彼らのことを悪知恵が働くけど浅はかでボロが出やすいと評価し、嬉々として取り締まっていた。それともう一つ、今まで見向きもしなかった公爵派の貴族が私に媚を売りだしたことだ。

私を馬鹿に出来ていたのも、この国で権勢をほしいままにしていた公爵がいたからこそできたこと。

「そこを退け!」

エウロカがいなくなったので、カルラが代わりにお茶を淹れてくれた。私はカルラの淹れたお茶を飲みながらドアの外から聞こえる怒鳴り声にため息をついた。

外で怒鳴っているのは陛下だ。今にも殴りかかりそうな勢いで来たので私の護衛であるシュヴァリエに止められている。

ノルンはドアのすぐそこで待機している。何かあった場合、兄であるシュヴァリエをフォローできるように。

そしてディーノは私の傍で私を守るように控えている。

「あの男、殺してこようか」

陛下が来てからイライラが募っているディーノからは冷気が流れ出す。これは比喩ではない。彼は氷系の魔法を得意としているので、実際に出ているのだ。

「ダメよ、あれでもこの国の王なんだから」

私はお茶を飲もうとしてカップが空になっていることに気づく。すかさず、カルラがお茶を淹れてくれる。

「私の侍女も最初から仕えてくれているのはあなただけになってしまったわね」

私はそんな言葉を残しながらカルラのお茶を飲む。とても美味しい。

「ノルン、陛下を入れて頂戴。カルラ、陛下のお茶もお願い」

「畏まりました」

「畏まりました」

ノルンは嫌々、ドアの外にいるシュヴァリエに声をかける。

カルラは相変わらず無表情で何を考えているか分からないが、指示通りお茶を淹れる。

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