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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第3章 運命の赤い糸は切るためにあります

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41.カルラ視点

エレミヤ様の侍女をしています、カルラです。お久しぶりです。

私は誰もいなくなった地下で氷漬けにされたユミル様の元へ行き、そっと氷に触れます。すると、氷はみるまに溶けていき、ユミル様の体はそのまま石畳に落下しました。

氷漬けにされてすぐに死ぬわけではありませんが念のため確認してみます。

良かった。まだ生きています。ゴキブリはやはり生命力がお強いですね。

でも、このままでは出血死してしまいますので、私は石壁に備え付けられている松明を持ち、ユミル様の腕に押し付けます。

鼻につく嫌な匂いがしました。これで止血は完了です。

私は転移魔法でユミル様と一緒に地下から脱出します。そう、私も魔族なのです。


◇◇◇


ユミル様を結界内に閉じ込め、空中に浮かべて固定します。

そして頭から水をぶっかけます。

「うっ。ここは?」

お目覚めの様です。

「おはようございます、ユミル様」

「誰よ、あんた」

妃殿下の侍女として何度もユミル様と顔を合わせたことがあるのですが、覚えていないのも仕方がありません。

我が主や妃殿下とも違い、この方の頭の中は可哀そうなほど隙間が多いですから。

「ユミル様、あなたは我が主のお気に入りとなった妃殿下に手を出されました。その罰は受けていただきます」

「はぁ!?何訳の分かんないこと言って、ぎゃあ」

「何て下品な悲鳴でしょう」

私は鞭でユミル様の体を叩きます。この鞭には棘がついており、叩くたびにユミル様の体に食い込みます。

それだけではありません。

この鞭はなんと相手に怪我を負わせた後に治癒させてしまうのです。なので体には一切傷が残りません。しかし、鞭についた棘では死にはしないけど相手に苦痛を与える毒が仕込まれております。

傷はないのに、痛み続ける傷をその体に刻むことができるという優れものです。

「いだい、いだい、いだいって言ってんじゃん。やめてよぉ」

「この状況で、そう言われて止める人はいません」

バシンっ

「あなただって止めなかったではありませんか」

バシンっ

「顔の良い魔族を侍らせて、道具のように扱うのはどんな気持ちですか?」

バシンっ

「あなただって同じ道具なのに」

バシンっ

「カルヴァンを満足させるための道具。公爵の地位を絶対のものにさせるための権力の道具。滑稽ですね。道具が道具を道具として使う様は」

バシンっ

ああ、やり過ぎてしまいました。あまりの痛みに気を失ってしまったユミル様の頭から再び水をぶっかけます。

何回かかけるとユミル様は目を覚まされました。

「この程度の痛みで気を失わないでください。あなたが我が同胞に与えた苦痛はこの程度のものではないのですから」

「ひっ」

ああ、いけませんね。殺気を抑えなくては。でないと、この弱者はすぐに気を失ってしまう。なんて扱いづらいんでしょう。まだショーは始まったばかりなのに。

「随分と精が出るな」

フードを目深に被った男が来た。フードから見えるのは黒い髪と金色の瞳。そして褐色の肌。私の主、ノワール様だ。

「こんなバカ女がよくエレミヤに楯突こうと思ったものだ。いや、馬鹿ゆえか」

ノワール様はユミル様をまじまじと見つめる。ユミル様にはもう言葉を発する気力もないみたいで、ただノワール様を睨みつけるだけだ。

「女、ここに助けは来ない。ここは俺の国だからな。カルラが転移魔法でお前を俺の国に飛ばしたんだ。気づかなかっただろう。ここは俺の城の地下だ。因みにお前の愛しの陛下は自分の国でまだ夢の中だろう。自分の番がこんな目に遭っているとも知らずにな。だが、安心しろ。お前は俺の国で可愛がってやる。カルラ、この女に奴隷の首輪を。自害を禁じろ。絶対に死なせるな。気が狂うことも許すな」

「畏まりました」

「俺はエレミヤを存外気に入っている。お前如きが手を出すのは許さない。身の程を弁えろ、ブタ」

そう言ってノワール様は地下から出て行かれました。

私はノワール様に言われた通りユミル様に奴隷の首輪を嵌め、自害を禁じました。そして、どのような状況になろうと正気を保てるように心に保護の魔法を施しました。

「大丈夫ですよ、ユミル様。ノワール様の仰った通り。あなたはこの国でたくさん可愛がってあげますね。ああ、でも勘違いしないでくださいね。あなたのような薄汚い女をノワール様が相手にすることはありませんから」

この愚かな女はちゃんと言わないと分からないだろうからそこだけは釘を刺しておいた。

我が主は無駄に顔だけは良いので、この女はころっと騙されてしまいそうです。

しかも自分が可愛いと思っているみたいで、不敬にもノワール様を自分の色香で惑わせたなどど愚かな妄想をした挙句、あの国のように我が物顔でこの国に居つきそうなのでそこだけははっきりさせないといけませんね。

ユミル様は可哀そうに生まれてから一度もご自分の顔を鏡で見たことがないのでしょう。

だからあれほど神々しい容姿をしている妃殿下に対しても容姿で勝てるなどと思いあがってしまわれたのですね。

貧乏というのはとんでもない悲劇を招いてしまうということを今回身をもって知りました。

なので、ノワール様に貧困問題の改善を早めに取り掛かるようお願いをしてみましょう。

ユミル様のような可哀そうなお方を作り出さないために。

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