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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第3章 運命の赤い糸は切るためにあります

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キスリングが出ていった後、私はシュヴァリエとノルンを呼んだ。

「ユミルがおかしな動きをしている情報を得たわ」

「懲りないですね」

ノルンは呆れながら言う。

「それで、どうされるおつもりですか?」

私の対応で動きが変わるのでシュヴァリエはユミルの始末について聞いてきた。

「利用して彼女を完全に潰す」

「逃げられない証拠を持ってきたところで認められませんよ。番の為なら例え非人道的なことすらも躊躇いなく行ってしまう。番が望めば世界すらも手に入れようとする。獣人にとって番とはそういう存在です」

「まるで呪いね。陛下にユミルが裁けるなんて期待はしていないわ」

「では、どうなさるつもりですか?」

首をこてんと傾けてノルンが聞く。ユミルがするとあざといけどノルンがすると純粋に可愛いわね。

「ユミルは行方不明になるわ。いい男を見つけて城を出て行くの。人間の女は恋多き生き物。純粋無垢で子供のように無邪気な言動を普段から取っているならユミルが感情のまま衝動的に動いても何もおかしなことはないでしょ」

養女とは言えユミルが正妃に危害を加えようとして証拠が見つかれば幾ら公爵でも処罰は免れない。

彼の派閥から徐々に人が抜け出ていることは確認済。その状況でユミルが今から起こそうとしていることが明るみに出れば致命的ね。

権力を完全に削いで失脚させれれば後は息子のキスリングが公爵家を継げばいい。

「二人には悪いけど何かあってもギリギリまで手は出さないでね」

「分かりました。念の為にこれを身につけてください。一度だけですが物理攻撃を防いでくれます」

「ありがとう」

ノルンは赤い石のついた指輪の魔導具をくれた。

魔導具は魔力の込められた物で魔族でなくても魔法を使うことができる。

私はそれを左の中指に嵌めた。

そう言えば婚姻式の時に指輪交換しなかったな。

愛を誓い合う二人が互いに用意して指輪を互いに嵌め合うけど陛下が用意してくれた婚姻式にはそれがなかった。

まぁ、すると決められた儀式でないけど女性なら誰でも憧れるし、普通はするものだ。

形だけでもしたくなかったんだろうな。愛を誓い合うなんて行為。

私は左の中指に嵌めた指輪を見て苦笑した。

「どうかされましたか?」

ノルンは眉を下げ、心配そうな顔をしていた。シュヴァリエを見ると彼もノルンと同じで私を心配しているようだった。

私は彼らを心配させまいと笑顔を作って「何でもない」と答えた。

しかしノルンもシュヴァリエも納得はしてくれなかったので「本当に些細なことよ」と前置きをした。

「ただ、政略結婚だと分かっていても夢だったなと思って。指輪交換」

私の言葉に二人は息を飲み、続いて悲しげに顔を歪めた。

「ね、些細なことだと言ったでしょ」

部屋に充満する何とも言えない空気を払拭したくて私は敢えて明るく言った。

私の意図を察してくれた二人は苦笑ではあるけど笑い返してくれた。

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