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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第3章 運命の赤い糸は切るためにあります

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31.シュヴァリエ視点

時は少し前に遡る。


「妃殿下がどこにもいない?」

バカップルが会場でやらかし、 妃殿下は会場を退出したらしい。

会場での出来事を聞きつけたフォンティーヌ宰相から聞いたが、妃殿下はどこにもいない。

使用人の控え室にも来ておらず、部屋にも戻った形跡がない。

嫌な予感が頭に浮かぶ。

浮かんだ考えを否定するように首を左右に振ってフォンティーヌ宰相を見る。

彼は倒れてもおかしくないぐらい顔を青くしていた。

妹のノルンもガタガタと体を震わせている。だがここで倒れて無駄な時間を使うわけにはいかないので必死に踏ん張っていた。

誰しもに嫌な予感が浮かんでいるのは明白だ。しかし、ここに事態の最悪さを分かっていないのが数名いた。

「どうせ、どこかにいるだろう」

とは、陛下のお言葉だ。

「そうよ、大袈裟ね。きっと気に入った男でも見つけて、ほいほいついていったのよ。なんて、ふしだらなのかしら。同じ奥さんとして考えられないわ」

とは、番様の言葉。

怒りで今すぐ二人をぶん殴ってしまいそうだ。だが、この二人に関わっている暇はないので拳を握りしめ、必死に耐える。

「陛下、王妃様がどれ程危ういお立場におられるか分かっていますか?この国で彼女の後ろ盾となるはずだったあなたの後ろ盾を得られず、ろくな警護もつけられない王妃様がどれ程危険なお立場に身を置いているか分かっておいでですか?」

怒りを押し込めたような声がフォンティーヌ宰相から発せられた。だが陛下も番様もどこ吹く風だ。

「ふん。そんなの自業自得じゃないか」

「そうよ、そうよ。カルヴァン様は何も悪くないわ」

フォンティーヌ宰相は気持ちを落ち着かせる為に深呼吸をした。

ここでやり合っている暇はないのだ。この国が王を頂点として政を進める国である以上、上手く王を使って妃殿下を早く救出しなければならない。

「陛下、万が一のことを考えて王妃様捜索の為に近衛をお貸しください。指揮は私が取ります。決して陛下達のお手を煩わせることはしません」

「大袈裟な」

捜索など必要ないと言う陛下にフォンティーヌ宰相は頭を下げた。

私もノルンも頭を下げてお願いした。ここまでしないと捜索すらされない妃殿下を哀れに思う。


◇◇◇


フォンティーヌ宰相の指揮のもと、妃殿下の捜索が開始された。

不審な馬車はすぐに特定された。

パーティの途中で帰る客は珍しいからだ。

しかも門番をしていた連中の質が悪く、彼らはほとんど検査らしい検査もせずに馬車を通したようだ。

最悪だ。

馬車の足取りを追って何とか見つけた妃殿下に血がついていた。

ざっと様子を確認したところ怪我をしている様子はなさそうだ。

「殿下、その血は?」

「返り血よ。気にしないで」

「殿下がなさったのですか?」第三者の可能性でなくいきなり武道の心得云々を聞く事はないのでは、しかも拉致された状況で

「テレイシアの王族はみんなそうよ。守られているからってそれに甘んじてはいけないわ」

本当にどうしてこの人は王妃になってしまったのだろう。

「それより、助けに来てくれてありがとう。さぁ、戻りましょう」

殿下の背後にある小屋から微かに人の気配がするが殺気は感じない。

それに殿下が敢えて無視をしているようなのでその場で問いただすことはせず、後で聞くことにした。

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