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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第2章 媚びを売るべき相手が誰かを分からせて差し上げましょう

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「は?」

伯爵の件から一週間後、私は陛下に執務室に呼び出された。

珍しすぎて嫌な予感しかしないと思っていたら案の定だった。

因みにフォンティーヌは視察で帰って来るのは来月になる。

宰相が視察に行くことはあまりないのだけど、陛下は田舎に行きたがらないだろうし、行ったところでユミルと旅行を楽しんで終わるだろう。

部下に行かせるのもいいけど、部下に行かせるよりは自分がいない間にボロを出した馬鹿を部下に取り締まらせることにしたようだ。

この国にはたくさんの膿があるから。

この国の宰相は大変だと他人事のように思っていたけど他人事で笑えないことが起こった。

「今、何と仰いましたか?」

「王妃主催のお茶会をしろ。期日は一か月後だ」

ぴきりと額に青筋が立ったのが分かったけど何とか笑顔を保つ。

「フォンティーヌがお前を対等に扱えと言った。そのことをよく考えてみた」

テレイシアとの同盟について漸く考えられるようになったのですね。それはとても喜ばしいことです。ええ、とても。で、何でその結論に至った?

「フォンティーヌの言っていることは(もっと)もだと理解した。私は自分の番を得て、浮かれていたのだ。許せ」

口先だけの謝罪を淡々と述べる陛下の顔面を殴りたくなったけど、それは妄想の中に留めて置いた。

「それで王妃にも公務をさせた方が良いと思ってな。この国に来たばかりでまだ知り合いもいないだろう。手っ取り早く茶会でも開いてはどうかと思ってな」

「では陛下はかなり大掛かりなお茶会を望んでいるということですか?」

「ああ」

ああって、あっさり言う。しかもフォンティーヌがいない時に。見計らって行う嫌がらせのようにしか見えないのだけど。

彼からは悪意は感じない。

真正の馬鹿なのだ。だから、無理難題を出来て当然の顔で言っているのだろう。

「誰を呼ぶかはお前に任せる。分からなければ女官長とでも相談してくれ」

いたのね、女官長。私、ここに来て二か月になるけど会ったことないのだけど。つまり、一度も挨拶に来ていないということだ。

「陛下、準備には通常、最低でも三か月はかかります」

庭の手入れやお菓子、お茶の用意もそうだし、招待客もお茶会に合わせてドレスを新調するし。招待される方も準備に一か月は短すぎる。

それに誰を招待するかも勢力図を考えて厳選しないといけないのだ。一か月では到底無理。

「三か月も必要ないだろう。一か月で何とかしろ。これは王命だ。そもそも、本来ならお前が自分から言って行わなければならなかった公務だ。全てはお前の怠惰のせいだろう」

テレイシアの同盟についてお前は何を考えてその結論にいたったんだ。と、心の中で絶叫した。

私に指摘されたことが気に入らなかったのか逆切れもするし。でも、王命と言われたら仕方がない。これでもこの男は王なのだから。

「・・・・畏まりました」

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