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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第2章 媚びを売るべき相手が誰かを分からせて差し上げましょう

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追加 暗殺者視点

俺はある人の命令でエレミヤ王妃を殺そうとした。

簡単な仕事だと思った。

王妃様なんて争いごととは無縁の存在だし、剣なんて持ったこともないだろうと高を括った。

だって貴族の令嬢や王族の女なんてフォークよりも重たいものを持ったことがないなんて例え話が大げさではないほど甘い世界の住人だろ。

でも、その考えはすぐに覆った。

まず、王妃の寝室に侵入した時点で嫌な予感がした。

王妃がこの国の王に蔑ろにされているというのは本当だろう。まさか、護衛の一人もついていないなんて。しかも、こんなにあっさり入り込めるなんてこの王城内では殺し放題じゃないかと思った。

俺の嫌な予感もことが順調に進み過ぎているせいだろうと自分に言い聞かせた。

それでも俺の勘が警鐘を鳴らす。

だから俺は一緒に忍び込んだ奴らの後ろに控えていることにした。

それは正解だった。

ばさりと俺たちの視界を一枚の布団が覆った。

「ぐあぁっ」

一番最初に王妃を殺そうと突っ込んだ仲間の悲鳴が上がり、血が宙を舞った。俺たちの仲間が一人殺された。

ベッドの中に入っているのは王妃じゃなくて、護衛だったんだと身構えた。

けど、予想はまたもや外れた。

月光に照らされた銀色の髪。

華奢な体をしているのに、敵わないと一瞬で思わせてしまう威圧。

これが何も知らない甘ちゃんの世界で生きている女だと言うのか。

仲間が次々に倒れて行く。

俺たちはいつだって狩る側の人間だった。でも、今日は違う。俺たちは人生の最期、人生で初めて狩られる側になった。


◇◇◇


「たくさんの外道を見てきたけど、この国の貴族どもは本当にどうしようもないな」

あの日、俺はエレミヤ王妃に殺されなかった。

彼女の気まぐれなのか、戦いながら見極めていたのか。その結果、俺が選ばれたのか分からない。

エレミヤ王妃を暗殺しに行った日、仲間を全員、彼女に殺された。

最後に残った俺にエレミヤ王妃は自分の手足になるのなら殺さないと言ってきた。

もちろん、直ぐには俺のことを信じられないからと暫くは監視付きだったけど。

今ももしかしたら監視が付いているかもしれない。それは分からないけど、とにかく俺は生かしてもらう代わりにエレミヤ王妃の手足になった。

そして今は彼女の命令でホワイエルディ伯爵の邸に忍び込んでいる。

そこで伯爵の犯した罪の証拠探しだ。出るわ出るわ。まるで犯罪の宝庫のような邸だった。

使用人の中にも奴隷がいるし。

伯爵は毎日、綺麗な奴隷の女と楽しんでいるようだ。こんなのが貴族なんてこの国、よく持ってるよな。

俺は必要な証拠を全て持ってエレミヤ王妃の元へ戻る。

俺たちみたいなのは使い捨ての駒にされやすいが、何となくエレミヤ王妃は俺を個人として見てくれている気がする。彼女は立場上、俺を捨て駒にする可能性もある。でも、無駄死にはさせないような気がする。

そういう人に仕えるのも悪くはないと思う。

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