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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第2章 媚びを売るべき相手が誰かを分からせて差し上げましょう

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伯爵はよほど追い詰められていたのだろう。

彼を挑発した日の夜に刺客が来た。

黒装束に身を包んだ男は躊躇いもなく私のベッドに剣を突き刺そうとした。

剣が振り下ろされる瞬間、男の視界をベッドのシーツが覆った。

慌ててシーツを払いのけ、戦闘態勢に入ろうとしたが既に遅い。

男の持っていた剣はシュヴァリエの剣で弾かれた。

シュヴァリエは男の背後に回り、男の動きを封じた。シュヴァリエによって床に叩きつけられた男の前に私は立つ。

殺意を向けられたが私は気にしない。

普通の令嬢ならプロが放つ殺気だけで失神しているだろうが、生憎私にはそんな繊細さは備わっていない。

テレイシアでは王女でも戦場に立つことがある。

私は実際に立ったことはないけど、実戦経験はある。

私だけではない。テレイシアの王族はみんな戦闘訓練をして、実戦も積むものだ。いざという時に備えて。

備えあれば憂いなし。これが我が家の家訓だ。

因みに私はクローゼットの中に居た。ベッドの中に居たのはシュヴァリエだ。

最初、私のベッドで寝ることに滅茶苦茶、抵抗していたけど任務と私を守るということで何とか説き伏せた。

「直ぐに来てくれて助かったわ。でなければ、私は暫くクローゼットの中で夜を過ごすことになっていたから」

いつ刺客が来るか分からないから数日はクローゼットの中で寝ることを覚悟していた。

「さて、いろいろ話してもらうわよ」

「はっ。俺が容易く話すとでも思ったのか。くっ」

男は小ばかにするように私に言う。

彼の態度が気に入らなかったのだろう。彼の腕をねじ伏せている手にシュヴァリエは力を込めた。シュヴァリエが彼の肩関節を封じているせいか、少し力を込めただけでも関節に痛みが走るようで男は僅かに呻いた。

「いいのよ、別に。人を思い通りにする方法なんて幾らでもあるもの」

私はシュヴァリエによってねじ伏せられている手とは逆の手をそっと触った。彼は私の動きを警戒するように見ている。警戒したところで今の彼には何もできないけど。

「ねぇ、知っている。人間を形成する骨が何本あるのか。赤ちゃんで約三〇五個。成長するにつれてくっついたり離れたりして大人になると二〇六個になるんですって。ねぇ、人は何本の骨を折られたら死ぬのかしらね」

「お、俺は何も話さないぞ」

「あなたの雇い主は誰?」

「誰がお前に話すものか。ぐっ」

私は彼の人差し指の骨を折った。

「今のは話さなかった罰よ。さぁ、もう一度聞くわ、あなたの雇い主は誰?」

「・・・・・」

彼はだんまりを決め込んだので私は次に中指を折った。男は唇を噛み締めて漏れそうになる悲鳴を堪えていた。

すぐに話すとは思っていないので問題はない。

「あなた、死にたいの?」

男は結局、指を全て折っても話さなかったので今度は手首の骨を折ってみた。

「お、俺が死ねば情報が手に入らないぞ」

痛みのせいか冷や汗をかきながらそれでも男は屈するまいと最初よりも鋭い殺気を私に向けてきた。大した男だ。

王宮にいる騎士よりも有能だなとちょっと場違いなことを思ってしまった。

「どのみち話さないのなら生きていようが死んでいようが同じことよ」

それに雇い主が誰か見当はついている。これは最終確認と可能であれば当事者の証言が欲しいだけだ。

「お前、本当に王妃かよ」

「ここの王族しか知らないのならご愁傷様。王族にだっていろいろいるのよ。あんなのばっかりではないわ」

「この、悪魔が」

「光栄ね」

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