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「ぐっ」
「ぎゃあぁぁぁ」
「い゛っい゛だぁい、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
「何?」
「お前らどうしたっ」
「いやぁ、何が起こっているのっ!?」
ザガリアの高笑いを皮切りに高官たちが急に苦しみだした。体に黒いシミが出てきて、それが高官たちの体を覆いつくすと黒い水たまりのようなものができた。
「止めろぉ。うわぁぁっ」
「た、たすけ」
黒い水たまりから触手のようものが伸びて人々を襲う。
かなりおぞましい光景だった。黒い触手に捕まった人たちの体は真っ黒に染まり、黒い水たまりに溶けていく。
「これは一体」
私とノワールを守るように結界が張られる。ノルンとカルラだ。正体が分からない以上、結界が通じるかは分からない。その為、ディーノが分厚い氷の壁を作る。
私の前に剣を構えたシュヴァリエが立つ。
「アヘンだよ」
能天気な声でまるで世間話でもするようにアシューが言う。
彼はノワールの横に当たり前のように立つ。彼の仲間だろうか。
「アヘンだと?」
ノワールが眉間に皴を寄せてアシューを見る。
「神聖力というのは人の命を救う力。でも人の命を救う薬でも度を越せば毒薬になるのと同じ。反転呪文を唱えることによって人の命を奪う力へと姿を変える」
「それとアヘンとどう関係する?」
「アヘンに混ぜたんだよ。神聖力を宿した水は聖水と言われて、その水を体内に摂取すると体力回復や病気の治療が可能になるのと同じように。彼はその禁呪をアヘンに混ぜて与えた。だから今、体に変異を起こしているのはアヘン中毒者。マイク・リメンタール君は思い込みが激しい、ストーカー気質で、あの似非聖女様に纏わりついていたから大方口車に乗せられたんだろ」
アシューは随分と詳しい情報を知っているのね。しかも私たちにベラベラと話して良いことではないはず。そんな禁呪があるなんて私は知らなかった。
たぶん、トップシークレットに分類する内容ではないだろうか。
「彼は前々から似非聖女に付き纏う男たちをよく思っていなかった。あの坊ちゃんも含めて」
アシューがそう言って顎で示したのはマナート殿下だった。
「彼らを排除するために禁呪に手を出した。それをザガリアが利用した」
「随分と詳しいのね。これはザガリアの復讐のようだけど、一組織だけでそこまで暗躍できるものかしら?」
目を細めて私を見るアシューは愉快だと言わんばかりに笑っていたけどその目は背筋が凍り付くほど冷たかった。
「さすがは、ノワール陛下が惚れるだけある。そう、あの坊ちゃんは兎も角、アルセン殿下も神聖国の国王も愚かではない。これだけのことを何も掴ませずにやってのけるのはまず無理だ」
ということは、やはりバックに強大な闇組織がいるということになる。ザガリアと一緒にオルファーノがいたということは妖狐が関係してくる。
妖狐の主が彼らのバックにいる組織の中にいるのだろうか?本当の雇い主が。
「あんたの姉さんだよ、エレミヤ王女殿下」
「えっ」




