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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第9章 聖書を利用するのは神だけではなく悪魔も同じ

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「前までは頻繁に予言していたみたいだけど、最近は全くないみたいね。どうして?」

「分からないわ。さっきも言ったように私でコントロールできることじゃないし。神様のお告げみたいな感じかな。急に情景が浮かんで、それをみんなに教えていたの。気が付いたら聖女なんて呼ばれるようになっていたわ。私みたいなものが聖女だなんておこがましいと思ったんだけどね。でもおかげでいろんな人と知り合えたし、仲良くなれて嬉しいわ。好きな人もできたし。本当はね、この力をもっとみんなの為に使っていきたいの。この国の役に立ちたいし、みんなが幸せになれるお手伝いをしたいの」

「‥…そう」

急に饒舌になったわね。聞いていないことまでもペラペラと話し出すし。

人は嘘を隠す為により多くのことを語るものだ。

彼女は明らかに嘘をついている。

本当に予言はあったのだろうか?

ラヒトゥム共和国という国がある。現在は内戦状態が続いているが、この国の歴史には彼女と同じように未来を予知することができる少女がいた。

その国で少女は神子と呼ばれていた。

少女が「死ぬ」と予言した人は実際に死んだし、少女が「破滅する」と予言した人は実際に破滅した。

けれど、それは予言などではなかった。

少女を崇拝する信者共が少女の為に実行していたのだ。

全ての予言が信者によるものかは分からない。信者の行動を少女が把握していたかも分からないが、予言という言葉の力を借りて命令に等しいことを口にしていた姿は幾度も目撃されていた。

少女は最後まで自らの無実を訴えたが、最終的に断罪されたそうだ。

聖女フィリミナ、あなたはどっちかしら?

私は実際に彼女が予言する状態を見たことがないので何とも言えないけど、先ほどからの応対を見るに予言に対する信憑性はかなり薄いわね。

「予言をしている時のあなたって周りから見たらどんな感じなの?」

「どんなって?」

「急に情景が浮かぶのでしょう?」

「ええ」

「こうやって話している最中に何かを予知したら、急に黙って虚空を見るようになるのかしら?」

「‥‥さぁ、周りからどう見られているかなんて分からないわ」

「周りからは何も言われないの?」

「ええ」

「そう」

「随分と予言に興味があるのね」

「当たり前じゃない。私は人族。あなた方天族のように人の傷を癒す力があるわけではないし、魔族のように魔法があるわけでもないわ。何の力も持たない私からしたら未来が予言できるなんて不思議な感じだもの」

「そう。でも、別に特別なことではないわ。私にとってはね」

満更でもなさそうね。

自分は特別なのだと態度や目、にじみ出ている表情から分からる。

何一つ本心を隠せていない。

2021/2/15、コミック1巻発売!


挿絵(By みてみん)


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