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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第1章 夫には既に運命の赤い糸で結ばれた相手がいました
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ポール・ホワイエルディ伯爵令嬢。

赤い髪に緑の瞳を持つ。釣り目で意地の悪そうな顔をした彼女は実際、見た目通りの性格をしている。癇癪持ちで苛烈。侍女が何度も変わっている。噂では自分よりも可愛い侍女や気に入らない侍女は奴隷商人に売っているとか。ホワイエルディ伯爵家には何人かお抱えの奴隷がいるとか。

この国では奴隷を禁止にしている。それは獣人が何百年も前は奴隷売買されるのが当たり前の日常があったからだ。それは獣人の中で最強と言われている竜族も例外ではない。

そして、それは噂ではなく真実。ホワイエルディは奴隷を買っている。その証拠も既に手にある。彼らが持っている奴隷のリストの中に興味深い子が一人いた。

「・・・・ノルン」

紫暗色の髪と目をしている。女の子の奴隷。

次にホワイトベル・ロコス子爵令嬢。

地位は低いけど、長く存在する歴史深い貴族であり、貿易で財政を立てているので下級貴族の中でも一番いい暮らしをしている。お金はあるので彼女の両親が次に望むのは上級貴族のコネ。

ユミルは陛下の寵愛が深く、しかも養父は陛下の摂政。だからホワイトベルは両親の命令でユミルの取り巻きになっている。つまり、それは相手が大物なら誰でもいいということだ。何も彼女じゃなくても、私でも良いということだろう。

「ホワイトベル。彼女は使えるわね」

私はハクが調べ上げたユミルの取り巻きの書類に目を通し、ポールの資料は左に、ホワイトベルの資料は右に置いた。

ハクが用意した資料に目を通しただけでこの国の貴族がどれだけ腐っているのかが分かる。国という名の大蛇であっても頭が馬鹿なら別の大蛇に飲み込まれるだけ。それが国の運命というものだ。

「手にしても掃除が大変そうね」

カルディアスをテレイシアに呑み込ませるのか、お姉様の欲しいものだけを手にするのか。その見極めもお姉様から課せられた任務。

「実の妹に対して本当に容赦がない」

間違えれば死ぬかもしれないのに、お姉様は笑顔で私にこの任務を言い渡した。


『大丈夫よ、エレミヤ。そなたの代わりは幾らでもいるから』


それはつまり死んでも問題はないということだ。

ここだけ聞けば姉妹仲が破綻しているように見えるが、そういうわけでもない。私たち三人姉妹はとても仲が良い。

ただ女王である一番上の姉は欲しいものを手にする為なら手段は選ばない。必要なら妹を戦場にだって送る。

国の王というものは人であって、人ではない。

人間を治める王が人の心を失えばただの暴君。だが、逆に人の心を殺せない優しいだけの王では国を混乱させる暗愚王となる。

清濁併せのむ王こそが真の君主となるのだ。

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