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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第8章 黒白弁せず~リーゼロッテ、最後の騒動~

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ファーム・クロルツェル。

聖力が高く、五歳の時に無理やり両親から離されて教会に預けられた。現在はマナートの護衛になっているけどそれは表向き。

マクベスの調べによると彼は王から密命を受けている。その内容はマナートの監視。

まぁ、あの性格と頭じゃあね。監視をつけて様子見をしているだけなんて神聖国の王は優しいのね。

監視をつけるということはあの性格から考えて既に自国でいろいろやらかしているだろう。公爵令嬢との婚約破棄然り。

その時点で、姉上なら廃嫡にするか戦場に送り込んで殉死させる。無能な王族や高官は害悪だと姉上は常日頃から言っている。なぜなら、私たちは言葉一つで人の人生を狂わせることも命を奪うことも容易にできてしまうからだ。

「マナート、そこがファームの良いところですわ」

フィリミナがファームを庇うとマナートはあからさまに不機嫌になった。面倒くさい。三角関係?あれ?でもフィリミナってアミエルにかなりアプローチしてたよね。しかも番っぽいし。てことは四角関係?うわっ。更に面倒くさいな。

「ファーム、こちらに来て一緒にお茶をしましょう」

は?

何言っているの、この女は。従者や侍女も止めなさいよ。何でこれだけいるのに誰一人動かないのよ。

護衛中の騎士と護衛対象である王族が一緒の席に着いてお茶ってあり得ないでしょう。仮にするにしてもまずはマナートの許可を取るべきでしょう。

この女の教育係は何をしていたの。

「いいえ、自分は護衛中ですので」

ファームはフィリミナの誘いを断った。当然でしょう。

「そんなぁ。一緒にお茶がしたかったのにな」

残念そうにフィリミナが言うとマナートを始め、部屋にいる使用人たちからも厳しい目がファームに向けられた。

えっ?意味が分らない。

「折角フィリミナが誘っているのに断るとは何事か」

と、マナートが一喝。使用人たちもうんうんと頷く。頭痛がしそうだ。

ファームは当然のことを言っただけじゃない。あんたが怒る相手はフィリミナでしょう。馬鹿じゃないの。

庇ってあげたいけど、目立つわけにはいかないから黙って成り行きを見守ることにする。

「申し訳ありません。しかし、護衛中ですので。お茶をしている間に何かあっては対処が遅れることに繋がります。場合によっては命にも関わることです。ご容赦ください」

淡々とファームは告げる。まるで予め用意されている台本を読むかのように。彼の目には一切の感情が宿っていなかった。心を殺しているのか、すでに死んでいるのかは彼のことを何も知らない私には現時点で判断のしようがないけど。

ファーム・クロルツェル‥…念のため、気にかけておこう。もしかしたら、何かに使えるかもしれない。

「ファームって真面目なのね。いいわ。仕事中に誘った私がいけないんだもの。ごめんなさいね」

「気にかけてくださりとても光栄でした」

光栄だと思っていない温度のない声で彼はそう言ったけどフィリミナは満足だったようで直ぐにマナートとの楽しいお茶会を再開した。

マナートはまだファームが気に入らないようだ。

男の嫉妬って醜いわね。

そもそもフィリミナって誰が本命?

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