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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第1章 夫には既に運命の赤い糸で結ばれた相手がいました
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追加 カルラ視点

私の名前はカルラ。カルディアスに嫁いできたテレイシアの王女、エレミヤ様の侍女をしてます。

誰もが寝静まった時間帯。

辺りは深淵に包まれ、静寂が支配していました。

昨夜、エレミヤ様の部屋に暗殺者が侵入しました。もちろん、私はそのことに気づいていました。

エレミヤ様がどう対処されるのか興味があり、私は彼女を助ける力を持ちながら何もせず黙って成り行きを見ていました。

月夜に輝く美しい銀色の髪が宙を舞う姿はまるで女神のように美しく、思わず膝を折ってしまいそうになりました。

このお方は私が敬愛するあの人と通じるものがあります。

正直言って、カルヴァン陛下にはもったいない方です。彼ではエレミヤ様の手綱を握ることは不可能でしょう。

そしてカルヴァン陛下の番であるユミルもエレミヤ様には勝てない。

何を思っているのかは分からないがあのバカ女は自分の方が格上だと考えている。

一度、頭をかち割って中を取り出し、ぐちゃぐちゃにかき混ぜた方が良い。そうしたら少しはマシな思考ができるかもしれない。

そんなことを考えながら私はランタンを片手にいつもの部屋に入る。

誰もいないことを確認して私はここではない別の場所に転移する。敬愛すべき本当の君主がいる場所に。

「ではいつもの定期報告を」

ワインを飲みながら優雅に椅子に座る君主に一礼して私はエレミヤ様のことやカルヴァン陛下たちのことを報告した。

「ククククッ」

喉を鳴らしながら主はとても楽しそうに私の報告を聞く。どうやらエレミヤ様のことが気に入ったようだ。私の主と似たような気質だからだろう。

「暗殺者を仕留める姫とは。さすがはスーリヤの妹だな。あそこの王族教育は凄まじいからな。それにしてもあのトカゲにはもったいない女だ。あのユミルとか言う人間も随分と頭のイカレた女のようだな」

くいっと主はワインを飲み干す。

「引き続き、監視をしろ」

「・・・・・エレミヤ様をどうされるのですか?」

私が聞くと主はとても驚いた顔をした。

「珍しいな、お前がそんなことを言うなんて。気に入ったのか?」

主に問われて考えてみる。

「分かりません」

感情の機微に疎いし、育った環境のせいで感情が欠落していたりもするので自分でもエレミヤ様のことをどう思っているのかは分からなかった。

「そうか。俺は休む。お前も戻れ」

「はい」

結局、エレミヤ様をどうするのか教えてはくれなかった。

私はただの侍女なので主が何を考え、何をしようとしているのかは分からないし教えてはもらえない。

ただ本気で主がカルディアスを欲しているのならエレミヤ様とは敵対関係になるだろう。残念だ。彼女は私の主にとても似合うと思ったのに。

そう思いながら私は戻って、寝ることにした。

侍女の朝は早い。あまり夜更かしをしていると明日の仕事に差し障る。

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