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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第6章 邪魔で邪魔で仕方がない

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気配がする。

足音は消せているけど、呼吸が乱れている。完全に素人だ。プロなら対象者に呼吸音なんて聞かせない。

ズブリと音がした。

闇夜に包まれている部屋でも夜目が利く為、何が行われたか分かった。だから私は部屋に居る者に確認して明かりをつける。

明るくなった部屋にいたのはアウロだ。彼女は私のベッドに短剣を突き刺していた。

「捕縛しろ」

部屋には私、ノワール、シュヴァリエ、ディーノ、カルラ、ノルンがいた。そしてノワールの命令で私の部屋に近衛兵が入り込み、アウロを捕縛する。

「アウロ、エレミヤ殺害未遂でお前を捕縛する。他にも罪状はあるが一つ一つをここで明かすには時間がかかるので後でしよう」

「っ。どうして」

暗殺が成功すると思っていたアウロは急な展開についていけていないようだった。

部屋に護衛がいないことを訝しむべきだけど箱入り娘であるアウロは疑問にすら思わなかったのかもしれない。

「お前には監視がついていたんだ」

「監視?」

「私ですわ、アウロ様」

そう言って入って来たのはフィグネリアだった。

ノワールに聞かされた時は正直驚いた。

フィグネリアは身分違いの恋をしている。ノワールがそれを成就させるためにコーク侯爵に口添えをしてくれることになっている。

当然だけど無償ではない。

彼女は代わりに自分を哀れみ、この国を、そして先代皇帝陛下の息子であるノワールを恨み何かを企んでいるのは明白だったアウロのスパイ活動をしていた。

時に煽り、行動を起こさせさっさと彼女を排除しようと働きかけたりもした。そして私の存在と私の行動によって彼女は今回の暴挙に出たのだ。

つまりアウロは初めからノワールの掌の上で踊らされていたのだ。

「私を裏切ったのね、フィグネリア」

「裏切るも何も、私は初めからあなたの敵ですわ。あなたにもう少し考える頭があれば後少しは生き永らえたかもしれませんわね」

にっこりと笑って言うフィグネリアはまるで悪女のようだ。

「私は悪くないわ」

「は?何言ってんの?エレミヤを殺そうとしたくせに」

アウロの言葉にディーノは不快気に言う。

「あんたの過去は知ってる。だからこの国やこの国の皇帝を恨むのは分かるよ。でもエレミヤは関係ないじゃん。だけどあんたはエレミヤを殺そうとした。その時点であんたの正当性は崩れてる」

「どうして、あなたは愛されるの?どうしてあなたは大切にされるの?私はこの国に何もかも奪われたのに。この国から惨めな扱いを受けてきたのに。あなただけ、どうしてよ」

泣き叫ぶようにアウロは言う。

「私とあなたとでは立場が違いますわ。あなたは敗戦国。戦利品として王に献上された身分。対して私は自国とこの国の友好の証として嫁ぐことになりました。私を蔑ろにすれば戦争が起こります。その為、あなたと同じように扱われることはまずありえません」

ガルディアスが特殊だったたけだ。普通はあそこまで蔑ろにされない。

同レベルの国なのだから。

「それに卑屈になって全てを遠ざけたあなたの行いにも問題があります」

「うるさい!」

私に向かって来ようとしたのでディーノとシュヴァリエが即座に反応する。しかし、アウロは近衛騎士に捉えられているので実際は身じろぎすらできなかった。

「ただの嫉妬だろ。エレミヤ、これ以上は聞く必要はない。連れて行け」

ノワールの命令でアウロは近衛騎士に連行されていく。

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