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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう  作者: 音無砂月
第6章 邪魔で邪魔で仕方がない
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「いいんじゃないか」

ノワールの許可は割とあっさり出た。

まぁ、彼からあまり「ダメだ」と言われたことはないけど。

「流行を作るのも弱者を支援するのも貴族や王族の役目。皇妃の公務にも入っているしな。それにその件に関する問題は正直、行き詰っていた。お前が成功させれば皇妃として良い実績になるしな。何か必要なら言え。力添えはする」

「分かったわ。ありがとう」

執務室でノワールは大量の資料の山に囲まれていた。

先王の影響が抜けきらないせいで仕事を任せられる人材が不足しているのだろう。

早く彼の負担が減ればいいと思うけど人材の育成は一朝一夕にはいかない。

「お茶会でこの件を広めるつもりか」

「ええ。貴族の間で話題になれば孤児のやる店でも何とか回せると思うの。孤児というだけで忌避される見方も変えてゆければいいと思うわ」

ノワールは資料を置き、少し難しい顔をした。

「父の影響で貴族の発言力が一度は高まった。俺の代で王族の威厳は取り戻せつつあるが高位貴族の中にはまだ勘違いした馬鹿もいる。気をつけろよ」

そういう気遣いの仕方は今までされたことがないから新鮮ね。だって社交界にもお茶会にも女の戦いはある。その戦いに男は基本、不参加。

それぐらいこなして見せろが当たり前。だから純粋に心配してかけてくれる彼の言葉が嬉しい。

「ええ。ありがとう」


◇◇◇


そして私は幾つかパッチワークを作り、孤児たちにもそれを見せる。

販売のやり方やお客様の接し方、計算の仕方も含めて教えて行った。意外なことに一番、積極的に学んでいたのは反抗的な態度が目立つゼブラだった。

彼は頭が良いからいろんなものが見えて、卑屈になっていたのかもしれない。卑屈になった彼を責めることはできない。

どんなに頑張ったって正しい評価を得られないと分かっていて頑張り続けられる人なんていないと思うから。

お店の確保や従業員の確保をノワールの支援の下行う。

国が大々的に孤児の支援を行い始めていることを示す為に。

お店の横にはパッチワークを作る工場もある。

最初から全ての従業員を孤児にすることはできない。その為、平民からも従業員を募集した。

貧しい国というわけでもないけど、それでも働きたくても職にありつけない人っていうのはどこの国にも存在する。

何でもいいから働きたいと言う人や、王家が支援しているお店で働けば箔がつくと思って面接に来る人。様々だったけど、従業員の確保には困らなかった。

順調に進んでいるみたいなので私は貴族の方でも動き出すことにした。

他国から来た私は一から社交界での自分の地位を確立させなければいけない。このパッチワークはその足掛かりでもある。

私につくと利益があると思わせないとけない。

何かあった時の為の手足は必要だ。その為の味方づくり。

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