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あとがき


弱肉強食の帝国主義が世界のスタンダードであった明治の初期は立ち上がったばかりの日本にとってはボタンをひとつ掛け間違えるとすぐにでも餌食にされてしまうような時代でも有った。


この「やらなければやられてしまう」という国家存亡の意識を平成の反戦教育を受けた現代人はとうてい理解し得ないであろう。


その危機を敏感に感じ取って行動に起こせた明治時代の特に長州人たちの感覚はまさに奇跡に等しい。


よく目先のことばかりで大局が見えないことを「木を見て森を見ず」と表現するが、長州人は「木を見て森を見てさらにその上の雲も見てる」という表現が使えるのではないかと思う。


その突出した長州人の中でも特に児玉源太郎は軍事、政治、教育、経済、科学、産業すべてにバランスがとれたまさにオールラウンドプレイヤーであり続け、それでいて名誉や名声にこだわる事は一切しなかった。


とかく後世に名を残す人物は自分の成したことの拡散に重きを置くものであるが源太郎は常に「本質」を追求し自分の本分を知り命を削って与えられた任務に邁進したと言える。


後世の我々もまた世間の評判や価値観に惑わされずに常に「本質」を追求する姿勢と自分の本分を理解し行動する必要があることを源太郎の姿勢から学ばなければならないと感じる次第である。



参考文献:


小林道彦 「児玉源太郎」

司馬遼太郎 「坂の上の雲」

ウイキペディア

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