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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
四章 攻める者と護る者
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物件探し

クロッセアに戻ってきた。


出発直前になって王族の子供達も連れていくとユリアンが言い出した為予定より人数は増えたが特に問題なくクロッセアに着いた。


着いて早々衛兵が総勢でお出迎えである。

四天王の一人である衛兵長バズ自ら俺にお礼を言ってきた。

なんともまぁ、嬉しい限りである。

俺に衛兵を鍛えてくれないかと言ってきたのには少し眉を寄せたが…



来てそうそう宿を取ろうか悩んだがそういえばユリアンに家を頼んでたんだった。


その話をユリアンに話すともう準備は出来てるらしく何ヵ所か候補地は見繕っているとのこと。


ユリアンが面倒を見ると言っていた王族の子供達はクロッセアについて早々大きな馬車に乗せるとそのまま走り去っていった。

多分ユリアンの屋敷へと向かったのだろう。元々手紙を出していたのかもしれない。


皆には自由行動を与え、そのまま俺はセレナと二人、ユリアンの紹介で商人ギルドに足を進めた。



「いらっしゃいませ。これはこれはユリアン様、お久し振りにございます。」


受付をしていた髭のおっさんがこちらに愛想を振り撒く。

内装は華美な装飾が施されあちこちに贅をこらした絵画や美術品が飾られている。


一階は受付、二階は個室が幾つかあるみたいだ。

三階が商業ギルドマスターとか幹部の部屋らしいな。

流石はクロッセアの海千山千の商人の総本山ってとこか。


「御託は良い。ローアインを呼んでくれないか?」


「畏まりました。そちらにお掛けになって御待ちください。」


結構強気な対応をしているユリアンだが男は嫌そうな顔は見せず、にこにこしていた。

後ろに置かれたソファに腰付けると待っていたかの様に茶と菓子を持ったメイドがやってきた。

うむ、味がしない。やはり魔王化の影響なんだろうか…

美味しい美味しいと菓子をつまみ談笑するセレナとユリアンが羨まし…くないぞ…?

これは強がりなんかじゃない…!

俺は魔石をポッケから取り出しポリポリ食べた。うん、甘い!


そうやって茶と菓子を挟み談笑を楽しんでいると屈強な肉体を持った初老のザ・執事みたいな人が貴服を身に纏いやって来る。


ユリアンからは、

ユリアンの執事で商業ギルドのギルマスをしていると事前に聞いている。


これでクロッセアの政治的舵取りをしている四天王全員に会ったことになる。


「お待たせ致しました。わたくし、ローアインと申します。ぼっちゃま、ご無事で何よりでした。」


「ローアイン、挨拶は良い。二人とも全て知っている。個室へ案内してくれ。」


「畏まりました。」



ローアインと名乗った初老の男性に付き従い階段を上がる。


二階だと思っていたがそのまま階段を上がり三階の一番大きな部屋へと辿り着いた。


「中へどうぞ。只今お茶を用意致します、寛いでお待ち下さい。」


「お、おぉ…」


初老男性の魅力ってやつか、俺はその見事な所作に見とれてしまった。


「さぁ、中へ。セレナも。」


「あぁ、ありがとう。ユリアン。」


なんかこの二人も仲が良くなってるな。前はセレナ嬢とか卿とか呼んでた筈だが…

まぁ仲良いなら困ることはないか。


俺はそう思うとソファに腰かけた。

やわらけぇ…これは人をダメにするソファだ。


跳ねたり、頬を擦り付けてみたりしたが反発せず、かといって包み込む様な程よい柔らかさを持つ…


ブルースみたいに身体が溶け出すんじゃないだろうか…?


そんなバカな事を考えているとローアインが押し車にティーセットと茶菓子を乗せ戻ってくる。


「改めてご挨拶させて頂きます。わたくしはローアイン、ここでは商人ギルドのマスターをやらせて貰っております。それ以前は姫様の専属執事兼近衛騎士をやっておりました。ソラト様、セレナ夫人様、以後お見知り置きを。」


「ふっ…夫人…あわわわわ…ソ、ソラト…!」


セレナが嬉しそうだが照れ隠しに嬉しそうな困ったような曖昧な顔をして俺の肩を殴ってくる。

いてぇ…最近ステータスが急激に上がってるからまだ力加減が出来てないみたいだ。

だが無意識とはいえこの痛さも愛情の裏返しと思えば嬉しかった。

なんだこの生き物、可愛い…!


「あー…ローアインさん、俺たちはまだ婚約した訳じゃないんだ。彼女が戸惑っているから普通に呼んでやってくれ。」


「なるほど…まだ姫様の付け入る隙はある…と。これは良いことをお聞きしました。」


ククッと笑いからかう様な表情をする初老男性。

クソッ…ちょっとかっこいいな…って思ったのは内緒だ!


「ちょっ…!ローアイン!いい加減にしないか!全く…うちの執事がすまない。こいつは人をからかうのが趣味なんだ。」


慌ててるけど、それを隠すユリアン。

最近は男の言葉遣いではなく女言葉が出始めた。

なんだこの生き物、貴い…!


「あぁ、気にすんな。まぁ、そこまで畏まって接するつもりはないから普段通りで話すぞ?さっそくだがギルドマスターさん、商談と行こうか。」


「ええ、わたくしの方でも話は伺っております。ソラト様のお屋敷の件でございますね。広めのお屋敷をお探しとか。こちらが条件に見合う物件の資料でございます。」



ローアインに手渡された書類はかなり細かく書き記してある。

立地、部屋数、利便性、欠点などあらゆる方面から視野を広げ点数が書かれている。


流石は商業ギルドマスターの仕事だ。丁寧さが行き届いている

どれもぱっとしないが、一つ気になるものを見つける。



「ん?なんだこれ…」


そこにはこう書かれていた。


とある貴族が建てた屋敷で部屋数、敷地の広さに付いては最高評価を与えるが、立地、利便性は悪い。

過去の屋敷の持ち主が自殺した為値段は安いが買った者の半数以上は行方不明になるか謎の変死を遂げている。

周辺の住民からは幽霊を見たとの報告が多く上がっている。



「どれどれ、そちらですか。あまりお薦め出来ませんが、そちらの物件ならばソラト様の条件に見合うのでは?手入れや掃除なども済んでおりますし、備え付けの家具もありますのですぐに住む事は可能です。如何でしょうか?」


場所は北門の方、中心地からかなり離れているがそれはどうでもいい。

所謂曰く付き物件とか言うやつか。

前世の俺ならビクついていたと思うが、あまり恐怖は感じない。

まぁ、そんな物件を客に勧めるローアインの商人としての胆力は恐ろしいな…まぁ、見てみるか。


「ソ、ソラト…や、やめておこう…嫌な予感がする…」


「はは、面白そうじゃない!是非行ってみようじゃないか!」


「セレナ、何か有っても俺が守る。ローアイン、案内してくれ。」


「畏まりました。」


「それと念のためブルースを呼んでおこう。霊が出たら浄化してもらおう。」


俺はそう呟くとブルースウォッチを使いブルースに連絡した。

最近は多少の自我があるのか、情報伝達くらいなら出来るようになっている。どんどん高性能化してるな、ブルースウォッチ…!

場所は伝えといたからそのうち姿を現すはず。





「おお…如何にも出ますって感じだな。」


馬車に乗り移動した俺の目の前には立派な屋敷があった。

蔦が這い屋敷のすぐ裏に高い城壁があるからか日当たりが悪く暗い印象を受ける。庭も雑草だらけである。

その分広い敷地が有るんだけどな。


北区にはあまり足を伸ばさないが、周辺は富裕層と貧困層の中間と言った感じだろうか。

大きな屋敷もあるが、ボロボロの家と呼べない様なものまである。

何だか不思議な場所だ。


「ここは他国の貴族が争った場所の跡地に建てられた屋敷になります。栄枯盛衰、栄えるか枯れるか、その両極端を凝縮したかの様な土地柄を見せております。」


俺が不思議そうに周囲を眺めているとローアインがそう教えてくれた。

なるほどなぁ…俺は屋敷に向き直し歩を進めた。

入り口の門は鉄製でぐるりと塀がある。庭には大きな噴水が有り、小さな庭園、東屋が見える。

石畳の歩道を行くと立派な屋敷の入り口に立つ。

そこで後ろからブルースの声が聞こえる。


「あーるじどのー!」


「おう、こっちだこっち!」


「お待たせしたでござる。主殿のお呼びと聞き馳せ参じたでござる。」


「あぁ、わりぃな自由行動だったのに。」


「いえ、お気になさらず。我が指名は主殿の剣。お呼びとあれば火の中水の中、何処なりとも駆け付けます。」


相変わらず忠義の厚いスライムだ。後で何か褒美をやろう。


「すまない、ローアイン。こいつも一緒に見学させてくれ。」


「承知しました。ではどうぞ中へ」


ローアインに勧められるまま中へと入る。

ボーボーの雑草をブルースがちょちょいと刈り取り、屋敷までの道を作る。

三階建てらしく入り口から広く昔は舞踏会でもしていたのであろう事は察せる。

一階の扉は十個ほどでローアインの説明によれば、食堂、台所、風呂場、使用人部屋、門番部屋、脱衣所、洗濯場、風呂場とあった。

風呂場を覗くと大きな浴槽と外の貯水タンクに繋がっているのかシャワーがある。

風呂…風呂か!

日本式ではないにしろ浴槽は日本人の魂だ。

何処かに露天風呂があれば…いや、作れば良いか。


「あれ?」


浴槽の裏に扉が有り、その戸に手を掛ける。

すると重い音と一緒に開いた先には埃っぽい臭いと共に石を積んで出来た竈と木製のベンチが有った。


「ここはサウナですね、あまり使われてなかったみたいですが、まだ稼働するようです。魔石を交換すればすぐに動くでしょう。」


「サウナか…」


前世の俺はサウナが好きだった。

汗を掻き限界まで身体の老廃物を流し、水風呂に入り熱を冷ます。

あの時の快感が病み付きになるんだよなぁ…


「気に入った。まぁ、置いとくとして二階三階を見とくか。ローアイン、頼む。」


「畏まりました、旦那様」


「ローアイン、悪ふざけは止してくれ。」


「失礼いたしました。」


なんて会話をしながら俺は風呂場を後にする。


旦那様か…急に金持ちになった気分だ。

悪くない。

こうゆう心理操作は一流の執事ならお手のものってか?

なんてことを考えているとブルースが爛々と輝く瞳で俺を見ている。


「主殿、流石でございまする!何時の間に商業ギルドマスターを篭絡したのでござるか?」


「ローアインはユリアンの執事だ。それに彼は少し悪戯好きなだけだ。」


「そうでござるか!ですが拙者!益々主殿を尊敬したでござる。」


んー…未だにこいつの思考回路が掴み取れん…

俺との付き合いは一番長い筈なんだがな…長所が多い分多小の違和感は気にならないが。


俺は流して階段を上がって部屋を確認することにした。

やっと拠点探し…かなり大きい屋敷です。


ここまで長かった…!

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