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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
四章 攻める者と護る者
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ソラトとユリアン

遂にこの時が…!!

ずっと書きたかった話です。


「なんじゃこりゃあぁぁあーー!」


思わず叫んでしまった。

何だこのステータス?

何、職業魔王って?

え、世界の半分をお前にやろうとか言わないといけないの?

てか、俺の従魔の部分おかしいよね?

配下になってるし!

確実に進化してるのが、いるんだけど!

はぁはぁ…一人で突っ込みすぎて息が切れてきた。



「ソラト、どうかしたのか?」


セレナが髪をかき分け心配そうな表情で覗き込んでくる。

クソッ、可愛すぎる!


「あ、あぁ。こいつを見てくれ!どう思う?」


「すごく…じゃなくて、どうしたんだ突ぜ…ん…ーーはぁッ?!」



セレナは絶句した。


そりゃこうなるわな。

何だよ魔王って、何だよ大罪スキルって!

え?魔眼ってなに?遂に廚二病拗らせたか?


意味分かんねえよ!


「俺が叫んだ理由分かってくれたか?」


「あ、あぁ…何というか…その、うん…」


そりゃ言葉も出ねえわな。


あれか?

ミンストレイル軍に対して魔王プレイしてたからか?


俺の厨二病が憤怒スキルによって発動したからか?


それでもこれはねえよ。


あんまりだぁぁー!



「と、とりあえず水を飲んで落ち着けソラト。今、アリシアに頼んで紅茶を入れて貰おう。」


そう…だよな、俺はステータスをそっと閉じた。



はは、なんか一気に疲れが出たよ。


「ソラト。私は絶対にソラトを見捨てない。お前の隣は私のものだ」


おいおい、セレナ。


そんな哀れそうな顔で俺を見つめていたが、やがて決心したのかそんな事を言ってきた。


俺が魔王になっても絶対離れないという意思表明だろうな。


俺は深く溜め息を吐いて水を一気飲みしてセレナの頭に手をぽんと置くと席を立った。




▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


それから遅めの昼食を取ったが全く味がしなかった。


皆美味しい美味しいと食べていたが、素材の噛みごたえしか俺には感じられなかった。


何気なくポケットに手を突っ込む。中から小粒の魔石が出てきた。


あれ…何でだろ?魔石が凄く美味しそうに見える。


試しにぺろりと一舐め…なんじゃこりゃ!滅茶苦茶うめえ!


俺はそのまま口の中に魔石を放り込んだ。


「ソラト、この後少し時間をくれないか?」


食事を終えたユリアンが俺に声を掛けてきた。


俺はびっくりして魔石を飲み込む。


ほわー!何か力がみなぎってきたぞ!

とうとう人間辞めちゃったか俺…


俺は人間を辞めるぞージョ○ョー!


っと、ユリアンがどうやら大事な話が有るらしい。


真剣な表情をしてたし、無視する訳にはいかない。



「分かった、30分後に俺の部屋に来てくれ。」


セレナが心配そうな顔をしてたけどなんだろう?

ハッ?!まさか俺をホモだと思ってるのか?

いや、それはないな。

俺はノンケだからな!

ちゃんと友人として付き合ってるし、ユリアンも良い大人だ。

後でセレナの誤解も解いておこう。



それから20分。


俺はアリシアに借り受けている部屋でこの国の本を読んでいた。

セレナがお薦めだといって俺に貸してくれた本だ。

なんでも人気の恋愛小説で愛読書らしい。

その様子を見ていたアンリエッタが少し笑っていたけど、読みたいのかな?

セレナに言って後で貸すように言っておこう。

著者はえっと…エクレア・フランドール?

なんか甘そうな名前だな。


そんなしょうもない事を考えて居るとノックの音が聞こえた。


「ソラト、私だ。入って良いか?」


あれ?確かにユリアンの声だけど一人称【私】だったけ?

【僕】じゃなかったか?

まぁ、いいや。俺は返事をして続きを読み始めた。



「失礼する。なんだ?読書中か?」


「あぁ、少し待っててくれ。今良いとこ…ろ…で……どうしたんだその格好?」



答えながらユリアンの方を見ると何故か赤のドレス姿のユリアンが立っていた。

胸元ががっつり空いていて程よい腹筋がちらりと見える。

普段知的な印象を与えるユリアンにしてはかなり大胆な衣装だ。

こいつ、女っぽい奴だとは思ってたけど女装趣味が…!

胸にパッドまで入れてやがる。

モネはもちろん、セレナよりデカイんじゃないか?


「いや…その…話があるって言ったがこの格好も深い関係が有ってな。」


神妙な面持ちでこちらを見ては目を反らすユリアン。

なんか、赤くなってないか?

俺は膝に置いていた本を脇に置き、ユリアンに座る様、勧めめた。


「ソラト…その、な…ずっと黙ってたんだが私は…私は」


「もうそれ以上言うな。お前が言いづらいのは良く分かる。うんうん…人間、隠し事の一つや二つ、あるよな。」


女装趣味だってユリアンの立派な個性だ。

俺だって幼い頃は女性に興味を持って母親の口紅を塗っていたずらしたもんだ。


「ソラト、違うんだ!!」


「違くない。お前がどんな人間だろうと俺は受け入れるよ。親友だろ?」


俺はユリアンの肩に腕を回し抱き締める。

胸の感触が妙にリアルだな。すげー柔らかい。

暴れるユリアンが大人しくなるまで抱き締めてやると顔を真っ赤にしてふらついている。


なんだ?

熱でもあるのか?


「熱でもあるのか?少し横になった方が…」


「いや…大丈夫だ。ここまで鈍いとは…ソラト、私は女なんだよ。」


真剣な表情をしてユリアンは宣言した。

あれか、性同一性障害ってやつか?


「私は女で、元々はミンストレイル王国の人間。名はユリアンヌ・ソシエ・ミンストレイル。王家の人間だ。」


「おいおい、嘘だろ?そんなわけーー」


「この胸元の痣が証拠だ。代々王家の人間にはこの痣が体の何処かに出る。何なら父…王の左肩を調べるといい」


ユリアンはドレスの胸元を開き龍が杖を持った痣を見せる。

うっひょ…マジかよ!

胸デケェー!

いかんいかん。

マイサンがストレッチをする前に目線を外した。


『大罪スキル_色欲を獲得しました』


え?ちょい待て!

今日、自己主張激しすぎるよ電子音さん!



それはおいといて

ちょっと待て…てことはユリアンは男の格好してるけど女で、だけど理由があったから男になって、俺に女だと打ち明けた。

あれ?こんがらがってきたぞ…


「と、とりあえずユリアンが女で王族ってことは分かった。それでどうしたんだ?」



「驚かないのか?」


「いや、驚いてるよ。でも何でこのタイミングで俺に?」


かなり驚いてる。

けどまだユリアンは話したいことがあるんじゃないかなぁって思ってそう訊ねる。



「全くお前は…調子が狂うな……」


「はは、そりゃどうも」


「誉めてない!えと…その…私はだな、ソラトの事が…」


怒ったりモジモジしたり忙しいやつだな。

あれか!トイレ行きたいのか?



なんてベタな発想はしない。

俺も分かってるからな。

多分同じ事を考えてる。


こいつは俺の親友でセレナ達の次に長い付き合いだ。

女だってのは想定外だがそれでも俺の大切な人の中に含まれる。


「ユリアン。それ以上は言うな。」


俺はユリアンの手を取る。


「なっ!?」


「察してくれ。男の俺から言うのが筋ってもんだろ?」


「ソラ…ト…」


少し涙ぐんで俺の名を呼ぶユリアン。


うっ…こいつ、ただでさえ顔が良いのにその表情はズルいだろ…!


「俺さ、多分男とか女とか関係無くお前の事、好きだぜ。現に本当の事話してくれて嬉しく思ってる。けどさ、まだゴタゴタした事が色々残ってるからもう少しだけ時間をくれ。男のお前も女のお前も両方お前の個性だからさ。その時は俺の口から…な?」


「フッ…そうか。ならその時とやらが来たらまた私から話そう。それまで私のために三番目の席は開けといてくれるか?」


いつもの気障な表情に戻った。

それでこそ俺の親友だ。


「俺は序列なんか着けないよ。セレナもモネもブルースも、皆含めて俺の大切な人…家族だからな。」


「分かった。時間を割いてもらって悪いな。また夜に会おう。」


「おう、暇な時はいつでも遊びに来い。ユリアンヌなら大歓迎だ!」


「ッ…!ありがとう。」


ユリアンヌは扉を閉めて部屋を出ていった。

涙を堪えて部屋を出ていく姿がどうにも頭に焼き付いている。

窓の外を見ると夕焼けが赤く照らし段々と沈んでいく。

よしッ!身体を動かしに行くか。

この時間なら復興作業で疲れてる勇者と鉢合わせもないだろ。

明日には王都に向かうらしいし。

俺はあちこち解れたジャージに着替え、ランニングに出掛けた。

初期の構想の時には冒険者をしてる男装のお姫様を出すのは決めてました。


まぁ、セレナの次に思い入れの深いキャラですかね。


三位はキャラが一人歩きしてしまったモネとチトセでしょうか。

結構お気に入りになってしまいました。

没になりかけだったのに…ぐぬぬ…ロリババアめ…!勝手にキャラが独り歩きしていく…

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