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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
四章 攻める者と護る者
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クリマとソルダ

軍議を終え一時間後、バーストレウスが各兵科の隊長を呼びつけ軍議で決まった方針を伝えた。


大体午後10時くらいだろうか、穏やかに照らす月の下バーストレウスは声を張り上げる。


「では六時間の休息後、この地を発ちエルフの里方面へ進軍する。各自端々まで伝える様に!ユキヤ、マルス、クリマ、ソルダ、ソフィは待機。我と共に食事としよう。」


げぇ…バーストレウスと食事かよ…。最悪だ…。


俺が王宮で暮らしていた二ヶ月間、何度か食事を共にしたが、一々マナーにうるさいし、つまらない蘊蓄を延々と話すし、正直飽々しているのが本音だ。


まぁ、俺はこいつの家来じゃないから従う理由もないんだが、師匠も参加することだし俺も行こうかな。


三人娘たちも今頃適当に鹿でも狩って満腹になり夢の中のはずだ。


「分かりました、ご一緒しましょう。」



俺はそう言うと先を往くバーストレウスの背を追いかけた。



出されたコース料理を食べ終え予想通り延々と蘊蓄を語り始めるバーストレウスに全員苦笑いしている。


「さて、そろそろ俺は失礼するよ。早朝の行軍で迷惑を掛ける訳にはいかないからね。」


俺がそう口を開くとバーストレウスも己の行動を俯瞰し考えたのか立ち上がり口を開く。クリマなんかはさっさと立ち天幕を出ていた。


「ふむぅ…そうか。ならそろそろお開きとしよう。上がしっかりしている所を見せねば示しが付かんからな。」


よっぽど話足りないのか少し不満な顔をしつつも真逆な事を言ったバーストレウスを見て師匠が口を開いた。


「そういうこった。俺達もそろそろ休むとすっか。おう、馬鹿弟子!少し話があるから俺の天幕に来い!」


「了解師匠。ソルダ、王子、ソフィさんおやすみ!」



「はいはいーっと。」


「おう、童貞君またね!」


「はは、相変わらず辛辣ですねソフィさんは…師匠行きましょうか。」


俺はソフィさんに苦笑いしてから師匠の後に天幕を出た。



「ユキヤ、分かってるな?」 


「はい、見張りが四…多分冒険者ですかね?」


「あぁ、間違いねえ。王都から連れてきた小飼の奴等だろうな。気配を消してこっちの動きを探ってやがる。俺が気を引くからトト達連れてさっさと行け!」


暗闇の中天幕を移動する際師匠が肩を組むふりをして俺に耳打ちしてくる。バーストレウスの天幕を出てからずっと四つの気配が俺を追っている。


「師匠、でもそれでは師匠が…?!」


「俺を誰だと思ってやがる!英雄様だぜ?見張りはこっちで片付けるからさっさと行け。」


「クッ…!無茶しないで下さいね!?…恩に着ます!」



俺は師匠に任せその場から駆け出す。予め合流地点として決めていた近くの林に入るとワタメに呼び掛ける。



「ワタメ…聞こえるか?今すぐ移動するぞ!」


「分かってる、準備は万端。いつでも動ける。」


そう言って正面奥から寝ているトトとネムを抱き抱えたワタメを見付ける。


「すまん…予定が狂った。直ちにここから離脱してエルフの森へ行くぞ。こっちの計画がバレた可能性が高い。」


「りょーか~い」


間延びした独特な返事をしているワタメに触れると俺達四人は先程の林ではなく河の近くに立っていた。


転位魔法。


失われた古代の魔法を受け継ぎし者達の末裔…それがワタメの正体である。


災厄の魔女とも呼ばれる紫色の髪をした元英雄であり、後の世ではある事がきっかけで国を滅ぼす寸前まで貶めた者として畏怖と侮蔑を込めそう語られた。


俺が気付けたのはスキル【鑑定】のお陰だが、こいつが無ければこの子達三人の内二人には会えてすら居なかっただろう。


俺の鑑定はそこまで優秀じゃなく名前とその者の善意、悪意しか読み取れない。しかも何故か隠蔽されているためこの事を知っているのは俺以外に四人。師匠とこの三人だけだ。


「誰だ…!?出て来い!」


転移魔法を使ったのに誰かの気配がする。ここまで着いてきたって言うのか?いや、一体どうやって?元々この場に居た?そんな筈はない。ここはネムの両親が眠る場所で他の奴等は知り得ないはずだ。じゃあ一体…?


「はいは~い!ごめんねユキヤ!おねぇと先回りしちゃった!おいらも仕事だからねえ。その魔女の…失礼、その子を離してくれるととっても仕事しやすいんだよねぇ」



「なんだ…ソルダか。クリマも要るのか?」


「…呼んだか?」


背後からクリマの声が聞こえる。完全に挟まれたか。ならばもう一度転位して…


「動くな…魔力の動きを少しでも感じたら射つ。」


まぁそう来るよな…仕方ない説得を試みる。


「ソルダ、話を聞いてくれ!俺達はエルフを見殺しになんか出来ない!お前たちの故郷だろう?どうして見捨てようなんて思うんだ…!」


俺が問うと答えたのは目の前のソルダではなく後ろのクリマだった。


「あの里の奴等がどうなろうが関係ない…私達を…両親を見殺しにした奴等なんて…!根絶やしに!そうだ…根絶やしにしよう!アハハ、そりゃ良いねぇ!気分が高まって来ちまったよ…!」


「クリマ…!」


俺はクリマとソルダの過去を知らない。というよりも聞こうとしなかった。二人が嫌がるというのも有るがクリマとソルダの変わり様がおかしすぎると思った。


まるで何かに取り付いている様な…



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