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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
三章 挑みし者と立ちはだかる者
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私の二人の憧れの人

モネ視点の話です。

少し切なめ…。


モネを好きになっていただければなぁ考えながら書きました。

私の名前はモネ。王都で商人を営んでいて家族構成は両親と四人姉妹で私は末っ子です。


商人といっても冒険者相手の雑貨を売ってる小さなお店ですけど…


そんな小さい店だから成人してすぐに私は騎士団の門を叩きました。余分な人間を食べさせるお金はありませんから…。


お店は一番上のお姉ちゃん夫婦が継ぐし、もうすぐ新しい命が生まれます。二番目のお姉ちゃんは冒険者になっても実家暮らし。三番目のお姉ちゃんは結婚が嫌で家を飛び出して何処かに消えちゃって…!


特にやりたいことは無かった私は実家が大変だからと、健康な体と成人してれば誰でも入れる、広い戸口を開いてる騎士団に入ることに決めました。両親の強い薦めもありましたが…。


でも理由はそれだけじゃないんです。数々の功績を収めたことで一躍有名となった女騎士さまがきっかけでした。町で凱旋のパレードをたまたま見掛けたとき一目見てこんなかっこいい女性になりたい。そう思いました。


それから思ってたよりもすんなり騎士団に入団した私は今まで武器の類いを持ったこともなく落ちこぼれでした。


それでも騎士団暮らしは別に不満はありませんでした。寮暮らしだけど朝夕食事付きだし、毎日清潔なお風呂にも入れるし、先輩も優しい人ばかりで文句はありませんでした。


けど一般的な家庭の娘と差し支えない私の体力じゃ騎士団のキツい訓練には着いていくのがやっと…


毎日食事を終えて風呂に入ったらすぐに寝て誰よりも早く起きて一人で剣の特訓をして時間が来たら新人仲間と先輩方の食事や鎧の手入れをするのが当たり前でした。




そんな生活を続けて一年、騎士見習いとなった私は部隊に配属されることになりました。


私の配属された部隊の隊長は私が騎士団に入団しようと決めたきっかけの【白銀の剣姫】と名高いセレナ・クッコローゼ騎士爵さまの隊でした。


憧れの人の部隊に入れて私は有頂天でした!

第二騎士団第三分隊というのが私の配属された部隊でした。


「次!名前を言え!」


「は、はい!えと、モ、モネです!白銀の剣姫さまの部隊に配属されたこと光栄に存じます!精一杯頑張らせて頂くのでよろしくお願いしましゅっ…!」


「ん?モモネと言うのか?珍しい名前だな。」


「失礼しました隊長殿!自分はモネと申します!」


「ははは、そうだったか。からかってすまんな。何度か朝の修練場で見掛けたな。まぁ見知った顔も居ると思うが今日からよろしく頼むぞ?」


初遭遇でいきなり噛んでしまいましたが剣姫さまは笑って流してくれました。隊長は剣姫と呼ばれるのが嫌らしく気軽にセレナと呼んでくれと言ってくれました。でも恐れ多くて隊長と呼ぶのがやっとでした。



私が配属されて半年、やっと隊の皆さんと馴染みはじめた頃、軍上層部から任務が出ました。


『ダンジョン都市クロッセアを偵察せよ。途中のエルフ開拓村や魔物の分布図なども任務に該当する。』


というものでした。


隊長は渋い顔をしながらも作戦委細を話し始めました。


最初は真剣に説明して下さったのですけれど、粗方終わると副隊長と愚痴の言い合いを始めました。


「まったく上部にも困ったものだ先月の盗賊壊滅戦のこともそうだが無理をいいすぎだ。たった十人では首が回らなくなる…この任務が終わったらのんびりセルーヌにでも観光に行きたいものだ。なぁ、アンリエッタよ。」


「ええ、そうですね。湖畔近くに私の実家の別荘があるのでゆったりと過ごしたいものです。あそこは年中快適な気温なので私はとても好きです。」


「あぁ、私も野盗の捕縛任務で行ったことがあるがあそこは良いところだ。是非アンリエッタの別荘に行きたいな。」


話が二転三転して誰も着いていけませんでしたが、二人は笑い合うと荷物を纏めるため翌朝早くの出発に備え寮へと戻っていった。


この隊に入って何が一番驚いたのかというと隊員全員が騎士団全体を見回しても頭一つ抜けているのです。


それは武勇にしても作戦立案にしてもどれを取っても他の部隊には決して真似できないものです。


改めて凄い部隊に配属されたものだと痛感しました。私なんかがここに居て良いのかなと思った日もありました。その事を隊長に話したら私は怒られてしまいました。



「馬鹿を言うな!お前を欲しがったのは私自身だ!毎朝誰よりも早く起き剣の稽古をしていたのを知っている。今でも続けてるのもな!それに誰もが最初から優れていた訳じゃない。私だってそうだ!だが人を見る目はあると自負している。だからどんと構えておけ!」


こう言われて私はとても救われた気持ちになりました。この人に憧れて騎士団に入って良かった、と心底思いました。



翌朝、北門の前に集合した私達は北へと進路を進めました。


王都から徒歩で十日、馬なら七日の位置にあるダンジョン都市クロッセアはまだまだ先です。


道中にある村や集落を街道を進んで三日、森に入り野宿をして三日、都合六日目の深夜、悲劇は突然起きました。



時間も深夜ということで就寝していた私は突然けたたましい音に驚き飛び起きました。


見張り番のポーラ先輩とホーリー先輩が話に夢中になっていた隙を着いた一瞬の出来事でした。


緊張と興奮の中、皆武器を構え警戒しましたが暗い森の中、突如として周囲を囲んできた豚面の魔物に必死に抵抗しましたが多勢に無勢…。


私達は敢えなく捕らえられ意識を失ってしまいました。


目覚めた時には周囲には誰もおらずオークが一匹私の上に馬乗りになっていました。こんなところで春を散らしてしまうのか…そんな事がふっと頭に過りました。


『クッ…殺せ!』

何処かで聞き覚えのある声が響きました。これは…間違いない!セレナ隊長の声だ!隊長も捕まってしまったのですか…私は一気に絶望の淵へと落とされた。



お父さんお母さんごめんなさい…


私は良い娘じゃなかったけど大好きでした。


手は組めないけど心で女神さまにお祈りを捧げながら最後の時を待ってた時です。



ズドォォォーン!


物凄い音がしたと同時に凄い早さで私の上のオークを切り捨てたのです。


「生きているでござるね?」


青い透き通った肌をした女の子がそんな事を言うと私を簀巻きにしていた蔦を切り助けてくれたのだ。


「あ、ありがとうござい…ま…す」



お礼を良い掛けたのを最後に、安堵したのか私は意識を手放してしまいました。





次に目を覚ますと知らない男の人が私を覗き込んでいた。


「おっ?目が覚めたか?ブルース!こっちにも一杯くれ!」


そんな風に八重歯を見せながらにこりと笑うと誰かを呼んだみたいです。



「さぁ、これを飲んで。」


手渡されたカップの中には私を気遣ってくれたのか白湯が入っていました。男の人はカップを手渡すと何処かへ行ってしまいました。


「すごく…かっこいい人だな…!」


これが私とソラトさん、お兄ちゃんの出会いでした。密かに恋心を寄せる様になりました。


長女の夫、義兄が居ましたがあの人は私や他の姉達、果ては年頃の町娘にまで声を掛けるような人だから信用なりません。後にこの出会いを私は運命だと信じ始めます。


何度かお兄ちゃん…まだ当時はソラトさんか、ソラトさんに必死でアピールしましたが隊長の方が私より推しが強く中々相手にされません…



エルフの里では変な魔族に絡まれてソラトさんに迷惑を掛け、遂にはクロッセアにたどり着き、二週間ほどで隊長とソラトさんは付き合ってしまいました…!


私はその晩、宴会に顔を出したもののソラトさんに進められた氷が入った果実酒のみしか飲みませんでした。幸せそうに微笑む二人を見てると胸が苦しくて、切なくて…!


その後は宿の部屋で延々と泣き続け、朝になってしまいました。


正直顔を合わせたくない…そんなわがままを浮かべながら表面上は明るく接しました。


ソラトさんから隊全員をテイムしてしまったと聞かされたのには驚いたけど内心すごく嬉しかった…。


これで理由が無くても彼の側にいることが出来る。終わった恋だけれど少しくらい夢見ても良いよね?




その日の午後、28階層に足を踏み入れた時事件は起きました。


私が罠を踏んでしまい苦手な蜘蛛型の魔物が無数に壁を突き抜け飛び出したのです。


気が動転した私はその場から遠ざかることだけを考えひたすら走り続けました。追いかけてくれたソラトさんを省みず無我夢中だったんです。


行き止まりまで辿り着くと私はやっとのことでソラトさんの声に気付きました。


私はソラトさんにすがり付きました。


怖かったと、子供の様に泣きじゃくりました。



ソラトさんはもう私のものにはなってくれない。


常に側に従魔の誰かか隊長がいる。


だけど…だけど今だけはこの人を独占出来るこの時間を大切にしたかったんです。


そんな風に思ったのがいけなかったのでしょうか?


一歩足をずらした瞬間、私とソラトさんは落とし穴に嵌まってしまい奈落の底へと落ちてしまったのです。


きっと女神さまの天罰が下ったのでしょう…。


決して願ってはいけない恋を願ってしまったのだから…。

次回もモネ視点です。


モネ辛すぎんだろ…!

少し体験談を取り入れながら書きました。

深夜に書いてるから変なテンションです。

これでも色んな経験してるんだぜ?ドヤ


当然好きな子をntr…

おっと誰か来たみたいだ、これ以上はやめとこう。

心の傷を自分で抉ることになっちまう。


まぁ、面白いと思って頂ければ幸いです。

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