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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
二章 求める者と授かる者
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デートの下準備

今回短めです。すみません

朝、柔らかな光と共に風に吹かれ葉が揺れる音で目が覚める。


今日か…今日という日が来てしまった。今日はセレナとの初デートの日である。


昨日のセレナを見ていた感じでは特に浮かれた様子などなく普段通りだった。だが今朝はどうだろうか?あの性格だ。楽しみすぎて寝れなかったとか有るんじゃないだろうか。まさかな…まぁ、そのためにデートの時間を夕食時間に回した訳だし結構しっかり者のセレナの事だ。大丈夫だろう。


俺とセレナは今日休みだってことは前以てブルース達に知らせてある。既にダンジョンへと行ったのかブルースたちの姿がない。勤勉だなぁ。


クロッセアに来て早起きの習慣が付いた為か二度寝出来そうにないな…。前世では九時くらいまで寝てたんだけど自分の事ながら健康的になったもんだ。顔を洗いシャツとズボンに着替える。とりあえず散歩がてら街を見回る事にした。


部屋から出ると朝だというのに俺の泊まってる宿【小鳥の囀り亭】は賑わっていた。見るからに商人のような服装をした、それも裕福そうな者たちが列を成し受付の女性は忙しそうだった。



「一部屋を十日分頼む!」


「申し訳御座いません!現在個室は満員となっておりまして!十人用の大部屋のみとなっております!」



「おいおい、マジかよ?!もうすぐ緋龍祭だってのに!大部屋なんてまっぴらだ!どこも空き部屋ないなんてついてない!」


「ん?ひりゅうさい?」


俺は列で会話している商人の言葉が引っ掛かった。さいと付くからにはお祭りか何かなのだろうと当たりを付ける。


「なぁ!ちょっと尋ねたいんだがひりゅうさいってなんだ?」



「あん?兄ちゃんそんなことも知らないのかい?なら教えてやろう、ここクロッセアでは五年に一度伝説の五龍王の一体、緋竜様を祀る奉納祭ってのがあってな!わしら商人にとっちゃ掻き入れ時なんだよ!」


「ふぅーん…」


良いことを聞いたな。いつからやるんだろうかと思いそれも尋ねると四日後から五日間開催されるらしい。うちにもつい昨日その五龍王って称号がついた生意気な幼女がいるんだが…まぁいい。


お金もとりあえずは貯まってきたし休みにしても良いかもしれない。



「ありがとなおっちゃん!えーと名前は?」

銀貨を一枚手渡しながら礼を言って名前を尋ねる。チップの習慣には慣れてないがここでは当たり前らしい。俺もすっかり異世界に染まってきたらしい。



「へへ、まいどあり!わしはフォスターだ。お前さんは?見たとこ冒険者のようだが」


「俺はソラトだ。あぁ、一応こんな身形でも銀級をやらせてもらってる。」


「やはりそうか。わしは冒険者相手に商売をしてるから何か入用なら声をかけてくれ!」


「そいつは良いことを聞いた。また会う機会が在ればよろしく頼む!」


俺はおっさんの手を握り握手を交わす。ここでの人脈はないし増やす分には良いだろう。



別れの挨拶を交わしフォスターのおっさんと別れた。


▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


「暇だなぁ…ギルドにでも行くかな。」


宿を出てその辺をぶらぶらし始めたは良いが粗方見回ってしまったので手持ち無沙汰になってしまった。特に用事があるわけでもないしギルドへ行けば話し相手くらい見つかるだろう。



ギルドの押戸を潜り中へと入る繁忙期を過ぎたのか職員が数名、冒険者も疎らにしか居なかった。


「おう、坊主じゃねえか!」



俺に声を掛けながら近付いてくる見知った人物。一見ずんぐりむっくりな体型に見えるが服の上からでも鋼の様に鍛えられた筋肉が見て取れる。鍛冶屋のベニートのおっさんだった。



「おう、おっさん!こんなとこで何してんだ?」


「なに、依頼を出してたのさ。逆にお前さんはこんなとこで何してんだ?」


「今日休みなんだが早く起きすぎて暇を持て余してるとこだ。」


「はっはっは、そいつぁいいや!おう、だったら儂の依頼を受けてくれよ!二十八層で採れる緑色に光る鉱石をこの袋一杯まで採って来るだけだ」


なんでも装飾用に用いられる鉱石らしくそこら辺に落ちてるので銀級に依頼を出しているらしい。銅級以下だと実力面で問題が有るためそこはギルドと話を擦り合わせているのだとか。


「なるほど、簡単そうだな。じゃあ俺が受ける。あ、それで頼みが有るんだが…」



▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼



ベニートのおっさんなの依頼を受けたあと、一人でダンジョンの入口へとやって来た。前に来た三十層まで下りそこから石板の前にある階段を上がれば良いのでここまでは余裕だ。だが、油断してはいけない。出てくる魔物は大した事がないがこの階層には罠が仕掛けられているらしい。転移罠と設置罠の二通りが仕掛けられている。


魔方陣は風景に溶け込むように巧妙に隠された魔方陣があり同種の魔方陣が描かれてある魔方陣の場所へと飛ばされる。それは宝部屋だったり大部屋だったり色々だ。当たり外れあるが一番分かりやすいのは宝部屋が隠されている大部屋、外れは魔物部屋だろう。


「うおぉぉお!【アイシクル・バースト】!!」


そして現在俺はその転移罠に掛かってしまい魔物と乱戦中。敵は鉱石系(ゴーレムやばくだ○岩もどき)、蛇、蜥蜴系や蜘蛛みたいな虫型の魔物もうじゃうじゃ居る。



「うおぉぉりゃぁー!」


ゴーレムが突っ込んでくるのを左に避け周り込んで拳を放つ。狙いは一点。頭部に仕込まれた魔石だ。なぜ知ってるかって?


ついさっきスキルの【解析】が【鑑定】に進化したのだ。

ついに手に入れました、ファンタジー世界なら定番のチートスキル!本当にゲーム染みて来たな…!



それによるとゴーレムのステータスはこうだった。


名前 無し

種族 ストーンゴーレム

レベル 35

収穫品ドロップアイテム 魔石 良質な石材 砥石

スキル 豪腕LV3 怪力LV4 鈍感LV2

弱点 頭部(魔石位置)


まだ鑑定のレベルが低いからか細かい能力値などは表示されないがここまででも十分といえば十分だ。


この世界は魔石を粉々に粉砕しても倒せばそれがドロップする様な不思議な世界だ。要するに弱点をぶら下げてる状態であり倒すのは容易い。戦い馴れしていない俺でも余裕だ。負ける要素がない。



「ヨシッ…!なんとか片付いたな…ふぅ…。」


ブルースウォッチに回収を頼み腰を岩の上に降ろした。そろそろ昼ぐらいか…目的のものも拾い集めたし回収が終わった頃を見計らって木戸を潜り【地図】スキルを発動した。


よし、こっちで合ってるみたいだ。一時間ほど掛けてダンジョンを後にしてベニートのおっさんの工房へと向かう。


「おう、戻ったか!」


「これが依頼の品だ。転移罠で少しやばかったが何とかなったよ。それで頼んでたやつは出来てるか?」



「その辺に置いといてくれ!おう、後は仕上げに磨いてお仕舞いよ!ちょっと待ってな」


ベニートのおっさんはカウンターの端と客用の椅子を指差しながら奥へと引っ込んで行った。


十分後商品を眺めながら待っていたらおっさんは木箱を片手に持ち戻ってきた。


「こいつが注文の品だ。どうだ?装飾品は専門外だが儂の手に掛かりゃ片手間よ。」


「恩に着る。」


「気にするな、依頼の報酬として受け持ったんだからお合いこよ。行くんだろ?また来い」


「ああ、また厄介になる」


俺はそう声を掛けてベニートのおっさんの店を後にして俺はヴァネッサの店へと向かった。


「いらっしゃい。あらソラト?どうしたの?」


「あぁ、少し聞きたい事があってな」


俺はヴァネッサに事情を説明して協力を仰いだ。ヴァネッサはにやにやしているがここは恥を掻いてでも押し通すべきだ。



「あら、相当お熱みたいね?私という者がありながらイケない人。」


「うるせぇ…どうだ?何か良い能力を持った魔物居ないか?」


「そうねぇ…ならあの子たちはどうかしら?」


「おぉ!」


ヴァネッサが指を向けた先には六足の黒毛で三メートル近い高さの大きな馬と頭に花を持つ以外は普通の小さな女の子みたいな魔物だった。



「スレイプニルのハヤセとアルラウネのメリッサよ。」


「ハヤセだ。宜しく頼む。」


「メリッサです~!よろしくです~!」


ヴァネッサのハヤセは静かに名乗りメリッサは元気良く答えた。


「あぁ、二人とも宜しく!短い時間だが二人とも頼りにしてるからな!」


「ほう?」


ハヤセが俺の言葉に反応した。どういうことだ?


「私のことを人扱いか。なるほどな。主人が見込んだ男なだけはある。」


「ですです~!メリッサも張り切りますですよ!」


なんか認められた様だ、良かった…。



「今回は貸出しになるから一人頭銀貨十枚だけどティアを貸し出してるお得意様だから二人で銀貨五枚におまけしとくわね」


「良いのか?」


何と75%OFFである。これには俺もビビったが詳しく聞くとティアの分の支払いがと滞っては元も子もないのでそうゆう処置にしたらしい。ありがたや~。しっかりティアの代金金貨三十枚を手渡した。


「それじゃあ二人ともがんばってね」


「ああ!」「は~い!」


赤いスカーフを巻いたハヤセとメリッサを連れて今度はユリアンに会うためギルドに向かう。この赤いスカーフはテイムしてある印らしい。ハヤセは尻尾に、メリッサは右手にりぼんの様に結んでいた。


ギルドに着くと時刻は昼下がり。ここで食事を取ってない事に気付いたので二人に尋ねるともう食べているらしい。とりあえずユリアンに声を掛け合流するとユリアンの店の場所を下見に行った。


「随分手の込んだ準備をするんだね君は。」


「ん?まぁな…相手の事を考えるとどうしてもやり過ぎてしまうんだ。良い思い出になってくれりゃ良いんだが。」


「ソラトに愛される人が羨ましいよ。近くで見てるだけで大切に思われてる感情がひしひし伝わってくる。」


「俺は失敗したくないだけだ。」


「ははは、素直じゃないな!ここが僕のお店、【ポワゾンキス】だよ。」


大通り沿いの高立地に立派な建物の前に着くとユリアンがそう話した。


「すげえ!でけぇな…!それで今日のレースの段取りはどうなってる?」


「抜かりなく準備は万端だよ。」


「流石だな」


それから段取りへと入る。途中食事を少し取って何とか終わらせた。中々時間が掛かったがやれることはやった。セレナは喜んでくれるだろうか…。





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