ヴァネッサの魔物屋
前回のあらすじ
ベニートにアダマンタイトの鎧の金額、金貨十枚を支払ったソラト。その帰りに道に迷ってしまう。偶々通り掛かった路地裏で謎の少女、ヴァネッサと出会う。喫茶店で食事をしていると先日見掛けた魔物屋という看板の店の主だということが分かったため店を見に行く事に。か、サキュバスのヴァネッサに屋敷に拉致され性的食べられてしまった。異世界初の貞操を美味しく頂かれたソラトだが………
ヴァネッサに言われるまま風呂を借りて準備をする。
はぁ…まじか…異世界での初体験がこんな夢も希望もない形で終わってしまうとはというか俺、おやつじゃなくてがっつり食べられたよな…。
…やめよう。センチメンタルになるのは仕方ないがこれからヴァネッサの店に向かうのだ。さっさと切り替えよう。
風呂を上がり篭に入れてた俺の服を着ようと目を写すと俺の服は無く代わりにフォーマルなスーツがあった。え?俺の服と鎧何処?これを着ろって事なのかな?そうだよな。仕方ない。
んー…スーツなんか着るの初めてなんだけど…ご丁寧にサイズぴったりだし、髪に付ける香油まで置いてある。それにさっきから視線を感じるんだよな…。
「あのー、見てるのは構わないんだが、何か言いたい事があるんじゃないか?気になって仕方ないんだが」
「ふひゃあ…!え、えと、ご主人様からあなた様の仕度のお、お手伝いをしてこいと仰せられまして…ひゃっ…!」
俺が尋ねると視線の主は扉から入ってきて涙目でそう言った。十四才くらいの少女で短く整えられたボブの金髪が良く似合っている。ちょっと目が合っただけなのにそんな声出さないで欲しいんだが…
「そうか、手伝いは良いから少し見ててくれるか?自分じゃどんな髪型が良いのか分からなくてな」
「あ、そ、それならご主人様に言われて来てます。全部後ろに流す様に伝える様聞かされてますぅ…」
教えてくれたのは有り難いんだがさっきから目線を合わせてくれない。男が苦手なんだろうか。とりあえず会話してみよう。
「そうか、有難う。君の名前を教えてくれるかな?あとでヴァネッサによく働いてくれたと伝えておくから」
「そ、そんな!恐れ多いです…」
「良いから良いから。俺はソラト。君の名前は?」
「は、はひぃ…私はアンナって言いますぅ…」
「よし、じゃあアンナ。ご主人様の所に連れてってくれるかな?」
名前を聞き出した頃には髪型もとりあえずは決まったのでそのままアンナに案内してもらうことにした。
「こっちですぅ…」
うんうん、素直な子じゃないか。後でお菓子を買ってあげよう。
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馬車に乗り込み、ヴァネッサと向かい合わせで座る。侍女としてアンナもヴァネッサの隣に座っている。さて、どう切り出そうか。
「なぁ、ヴァネッサ。アンナが俺と目を合わせてくれないんだが、どうしてだ?俺、嫌われてるのか?」
「違うわ、私が目を合わさない様言い付けてるのよ。貴方と目を合わせると孕んでしまうって」
「なっ…!冗談でも言っちゃいけないことくらい分かるだろ?今すぐ訂正してやってくれ」
「ええ、冗談よ。この子、私が経営する娼館で生まれた子でね。ゴルゴーンの血を引いてるのよ。後は分かるでしょ?」
ゴルゴーン…確か目を合わせた者を石化してしまう瞳を持つという魔物だったか。あれ?前世では女神の一柱だっけ?まぁ、とにかくその石化の魔眼があるから俺と目を合わせると俺が石化するからって所だろうな。なんだ、勘違いしてたのは俺だったか。
「そっか、悪かった。どうやら間違ってたのは俺だった様だな。アンナもごめんな?あ、馬車止めて貰って良いか?」
ヴァネッサに声を掛け馬車を停めて貰い、近くのクレープ屋でフルーツと生クリームが入ってるのを二つ購入する。それを持って馬車に戻るとひとつをヴァネッサにもうひとつをアンナに手渡す。
「詫びの代わりだ。本当はドーナツが良かったんだけど、すげえ行列だからさ。とりあえず食べてくれ。」
「あ、あの、ご主人様…私なんかが食べて良いんですか…?」
「折角の厚意なんだから貰っておきなさい。男性に恥を掻かせるもんじゃないわ」
「あうぅ…はい、ありがとです。」
うんうん…目線は合わないけど、素敵な笑顔頂きました!やっぱ子供は笑顔じゃなきゃな。
あいつも…優海もクレープが好きだったっけ。年頃も同じくらいだな。あー…なに感傷に浸ってんだろ。さっき会ったばかりのアンナと死んだ妹を重ね合わせるとか、らしくねえ。割り切れるもんじゃないけど俺もあいつも死んだんだ。今は関係ない。
「あら…泣いてるの?」
「何でもねえ。少し感傷に浸っただけだよ」
「そう」
その後ヴァネッサの商店に着くまで俺は無言だった。
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馬車が大通りで停まりアンナ、俺、ヴァネッサの順で降りていく。ヴァネッサの後を着いていくと路地を抜けると開けた場所に辿り着く。
立派な店構えをしており広々とした店内を歩き始める。おー!ゲームで見たことあるやつがいっぱい居る!ラミアにシルキー、あれは真っ赤で全身とげとげな奴もいる。あれは魔族だろうか?檻に繋がれてるのでは無く皆首輪をしており店内でのびのびと生活している。 リストを手渡されるが知らない種族も多い。
「あの首輪には特別な魔法が施されてるの。彼らは奴隷じゃない。だけど貴重な商品だからストレスが溜まらないように工夫してるわ」
「へぇー…ん?」
店内の隅っこに膝を抱えた小さな少女がいる。首輪をしておらず1人でそこに佇んでる。あの子は確か…この前見掛けた白い少女だよな?
「なぁ、ヴァネッサ!あの隅にいる小さな少女は?」
「何処?あぁ、あの子は雪ん子の生き残りね。つい先日北の雪山で保護したばかりで馴染めないみたい。でも暴れたりしないから首輪もしないで放置してる訳。たまに買いに来る客がいるけど言うこと聞かないし戻しに来る人が多発してね。少し扱いに困ってるのよ。気に入ったの?」
「いや…ま、まぁな」
この前外で見掛けたのは言わないでおこう。罰とか受けさせられたら可哀想だ。
「ふーん、ああいうのが好きなんだ。アンナ、お茶の準備と雪ん子をここに連れてきなさい」
「わ、分かりました」
おっ、連れてきてくれんのか?それは有り難い。けど、雪ん子って日本の妖怪だよな?雪女の別称とかで関東より北の東北である伝承だっけ?異世界にも居るんだな。というか俺は関東育ちだからそんな昔話聞いたことないけどな。確か、吹雪の夜に遭難した若い男を捕まえて食っちゃう(物理・特殊)とかなんとかだったな。(諸説あります)
近くのテーブルに案内されアンナが用意してくれたお茶と茶菓子を手に付ける。サクサクしたクッキーと香ばしい香りのお茶が合う。美味い!
「お待たせしました」
「自己紹介しなさい。くれぐれもお客さまに失礼の無いようにしなさい」
目の前に白い少女が立つ。感情を出さないその表情はどこか悲しげだ。だが俺の顔を見て少し笑った気がする(ソラト談)。
「……ティア。よろしく」
「ソラトだ。」
「なあにぃ、その短い挨拶は?こら、雪ん子!失礼な態度したらダメでしょ」
「……これ以上無理。……私の許容量を超える。」
あまり話さない子なのかな。表情も読めないし、大丈夫かな?あれ?俺いつの間にか彼女を買おうとしてるけど大丈夫かな?ブルース達に文句言われそうだ。
「ティアちゃんだったね。甘いものは好きかな?あ、年は幾つかな?俺は二十なんだけどさ、あはははは」
なんかナンパみたいになってるけどこの際構わないか。
「ちゃんは不要…。甘いものは……好き……。年は二十二歳。つまり貴方より年上。」
「あ、あはは、そうなんだ。へぇー俺より年上なのかー。」
なんと合法ロリでした。危ねえー!未知の扉を開き掛けたぞ
「どうやらソラトはかなり気に入ってるみたいね。どうする?戦闘は出来るみたいだし、短期間なら貸し出しするわよ?」
「ちなみに買取りだと幾らなんだ?」
なんか人をもの扱いしてるみたいでやだなぁ…けど、日本とは違う。異世界なんだから慣れないと…。
「そうね…買取りだと金貨五百枚ね。まぁ、貴方には少し割引して金貨三百が妥当かしらね」
なんと金貨二百枚も割引してくれた。それでも円換算で三億かよ…どんだけ高いんだ!
「そんな安くしてもらって良いのか?いや、まぁ全然足りないんだがな」
「この子見た目はいいんだけど、愛想悪いでしょ?他のお客さんが気味悪がっちゃって」
「そうなのか?別に愛想悪いとか思わないんだけどな。」
「どうやら貴方には懐いてるみたいね。まぁ、不思議な魅力があるからそれのせいかしら?」
「そうなのかティア?」
「……貴方の魔力…温かい。一緒、悪くない」
「だ、そうよ?」
「そ、そうか。だが今は持ち合わせが無くてな…」
手元には金貨三枚と銀貨三十八枚しかない。朝にブルースとカミツレに銀貨を五枚ずつ渡してるのであまりないのだ。
「あら、幾らくらいあるの?」
「金貨三枚だ。」
「なら…分割で良いわ。一日銀貨三枚、十日で銀貨三十枚よ三ヶ月と十日で丁度金貨三枚。金貨二百九十七枚を貸しにする。毎月の終わりに三十枚、今月は二十七枚でいいから払いなさい。ここまで譲歩してるんだからさっさと決めて!」
むぅ…困ったな…。俺としては払っても良いのではと思うがブルース達になんて説明しよう。ええい、男は度胸だ。理由なんていらない!
そう、ティアは大事な戦力になるんだ。今後の事を考えるとここで買わないのはあり得ない。そう思うことにしよう。
「わかった。その条件でティアを預かろう。」
「あら、即決ね。そういう気風の良い男、好きよ?」
「まぁ、散々悩んだけどな。ティア、俺に力を貸してくれるか?」
「…ん。ソラトになら貸してあげる。……お姉さんに任せなさい」
「ありがとう、頼りにしてるよ!…ん?」
何やら外が騒がしい。人の叫ぶ声が店内の外から聞こえる。ギャーとかギョエーとか主殿ーとかソラトーとか。ん?どこかで聞いたような声…というか確実に知り合いだよね…?
「主殿!このブルース、助太刀に参上したでござる!何処に居られる!?主殿ー!」
「ソラトー!迎えに来たぞー」
やべぇのが殴り込み(カチコミ)に来た。このお店跡形もなく壊されるんじゃ…?でもなんで?………あ。パーティー編成切るの忘れてた。
「よ、よぉ。ブルース、カミツレ…。余所様の敷地で勝手に暴れちゃ駄目だろ?」
声が震えてるのが自分でも分かる。けど、ここは主(狂犬の)たる威厳を見せなければ…!
「そちらに居られたでござるか!さぁ、帰りましょう!」
「ソラトー!腹減ったー。肉ー」
二人が俺の方に近付いてくる。やべえ…ティアが俺から離れないんだけど。上着の裾をちょんと摘まんで離さない。
「あれが貴方の連れかしら?あらあら、皆可愛い子じゃない。コボルト…じゃないわね。上位種かしら。それと…あれは一体何かしら?スライム?けど、あんなスライム見たことないわ」
どうやらヴァネッサの気を引いてしまったようだ。鋭い観察眼だ。
「あぁ、紹介しよう。ヒューマ・スライムのブルースと人狼のカミツレだ。ブルース、カミツレ。こちらはサキュバスのヴァネッサ、魔物や魔族を貸したり売ってる商人だ。今日はここに居るティアを買いに来た。まぁ、傭兵だな。これから一緒に戦う仲間だ。仲良くしてやってくれ」
「むぅ…主殿は拙者とカミツレ、セレナに飽き足らず新たな女を買うとは…自分が不甲斐ないでござる」
「オレ捨てられる?ソラト置いてかないで…」
うっ…カミツレの視線が痛い…。まるで捨てられた子犬の様な表情だ
「安心しろ。二人とも俺の従魔だからな、これまで以上に頑張らないといけない。それにティアのお金があと金貨二百九十七枚必要なんだ。力を貸してくれるか?」
「…主殿……!承知したでござる!」
「オレ、捨てられない?…分かった!オレ頑張る!」
そんな決意をしたと思ったらティアと話を始めた。俺と寝る順番とか頭を撫でてもらうにはどうするかとかそんなことを話してる様な気がするが聞き間違いだろう。今夜は少し飲みに行こうかな…?目がマジになってるよ、え?俺食われちゃう?蹂躙されちゃうの?
「良い子達ね、妬けちゃうわ?」
「あぁ、自慢の娘達だ。」
他の魔族や魔物が怖がってるのでさっさと帰ろう。途中で生活品や雑貨を買わないと。あ、カミツレに串焼き買ってやらないとな。もう夕方だが少し休んだらダンジョンに出向かなきゃ。借金もあるしな…。さっさとティアを本当の仲間にするぞ!
ソラト・ユウキ
借金残り金貨二百九十七枚
日本円換算 297,000,000円
ティア
スノーチルドレン(別名 雪ん子) 22歳
顔 ☆☆☆☆★
武力☆★★★★
魔法☆☆☆★★
会話★★★★★
北方の雪山にてヴァネッサの手の者に保護された雪ん子。目の前で親兄弟を魔物に食べられ感情を失ってしまう。ヴァネッサに保護されてから復讐を誓う。色々な冒険者に買われるがその魅力に狂ってしまう冒険者を返り討ちにしてしまい売り戻されてしまう。表情がないが笑ったり怒ったりする事はある。
アンナが仲間になると思った?思ったでしょ?
残念、雪ん子のティアでしたー!(うざめ)
はい、ということで新キャラ、ティアちゃんです。これからの活躍に乞うご期待!!




