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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
五章 魔王と勇者
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始動

遅くなりました…

ユグドラちゃんを連れスイートキッスの二階に上がり店員に残り六人ほど来ると伝えると私は用意された紅茶に口を付けた。


ユグドラちゃんも並べられたお菓子を目の前に、オォッ…と小声を漏らし驚いている。


「制御しなくていいよ、今日は好きなだけ食べて?その代わり私のお願いを聞いて欲しいんだ。」


「マジかよ?これ全部食べちゃうぜ?うんめぇ~!!やっぱ甘いもんは最高だぜぇ!…ってお願い?どういうお願いだ?」


「うん、実はねーー」


私は秩序管理委員会の説明をする。


ユグドラちゃんは美味しそうにパンケーキを頬張りながら、喉に詰まらせかけつつもうんうんと相づちを打って真摯に聞いてくれる。


何が何でもユグドラたんには入って欲しいのだ。


彼女の持つ特殊技能が迷宮探索には必須なのである。


「それでね、才能溢れるユグドラちゃんに是非入会して欲しいなぁー、なんて思ってるんだけど…どうかな?」


「仕方ねぇなぁー!まぁ、わたしの力が必要だってんなら貸してやらねえ事はねえ。お前の崇高な使命に感動したよ!それに毎日菓子食べ放題なんだろ?決して菓子に釣られた訳じゃ断じてないからな!入らない理由が見当たらねえし、わたしの力が必要だって言ってくれるお前が居るしな!その気持ちに答えてやるよ!」


フッ…ちょろい…ちょろすぎるよ、ユグドラたん!


流石ヒロイン一のチョロインと目された方はちょろ具合が違うなぁ。


「ありがと、ユグドラちゃん!活動は明後日の放課後から始めるから宜しくね!1Aの教室待ち合わせだよ?」


「おう!任せとけ!…ん?誰だ!」


物音に気付いたのか、ユグドラたんが扉に振り返り声を上げる。


「リリー、お待たせしました!ユグドラさん、ご無沙汰しております。」


扉を開けた最前列のレインが頭を下げるとタニアちゃんが釣られて頭を下げる。アンちゃんは軽く手を振り上げルルはズカズカと中に入り、無言で私の隣に座った。


その後ろからニコニコとした微笑みを携えたイシスちゃんと木刀を担ぎ私を見つけると嬉しそうな表情をしたサレナちゃんも続いた。


「皆揃ったみたいだね。それじゃあ一度説明するね。同じ説明になるからユグドラちゃんは帰って貰っても大丈夫だけどどうする?」


わたしのことは気にするな。菓子でも食べて暇を潰してるからな。」


「わかった、それじゃーー」


私は二人に説明を始める。ユグドラたんは隅っこに移動してシュークリームを口一杯に頬張りながらご機嫌らしく満面の笑顔だ。


二人の反応はそれぞれだった。


サレナちゃんは右手を拳にして左手に打ち付けやる気の表情を見せ、イシスちゃんは左手を口に添えいつものようにニコニコとお上品に微笑んでいた。


「リリアナ殿!迷宮に挑むとは血が騒ぐな!その秩序なんたら委員会というのに所属すれば必然的にリリアナ殿と手合わせ出来るのであろう?私は入会するぞ!」


「うふふ、サレナちゃんたらとても嬉しそう。わたくしを指名してくれるなんてとても光栄だけど上手く出来るかしら?」


「サレナちゃんありがとう!イシスちゃんなら出来るよ!私やルルと同じで魔法の才能もあるもん!このチームなら絶対上手く行く!」


「そういう事でしたら…分かりました。わたくしも入会させていただきます。リリアナさん、皆さん、不束者ですが宜しくお願いしますね?」


イシスちゃんは満面の笑みを浮かべてそう告げた。


こうして初期設立メンバーは揃った。



▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


二日後、早速私はメンバーを集めて教室に居た。


この二日間忙しかった。あの後皆を残して私は学園に戻り新メンバーの加入の報告をリアスティーナにしてメンバーの実家を全て回り、説明を施した。


何家かは難色を示したもののルルの実家とアンちゃんの実家が根回ししてくれていたらしくすんなりと受諾してくれたのだ。


皆の適性を確認するためである。

この二日間、ルルには無理をお願いして鑑定魔法を覚えてもらった。天才魔術師の名は伊達ではない。


いつもより目の下の隈がひどいのは私の無茶なお願いのせいだが、ルルは

「このくらい大丈夫よ?それに鑑定魔法という新たな魔術の境地に達する事が出来た自分が誇らしいの!身体もいつもより軽いし!同志には感謝しているわ!」

と珍しく鼻息荒く興奮していた。


ルル、ごめんね。ありがとう。私は心の中で謝罪と感謝を呟いた。


皆に説明を終え誰から鑑定しようか悩んでいるとスッ…とレインが手を差し伸べてくる。


「リリー、私から鑑定して頂けますか?」


「あー、ズルい!じゃあルルイアさん私の事鑑定してー!」


私はレインと目を合わせ微笑しながらレインの手を取った。ルルも無言で頷くとタニアちゃんの手を取って魔法を構築しはじめた。



その後ユグドラたん、サレナちゃんの鑑定を私が行い、ルルは残ったアンちゃんとイシスちゃんに鑑定を行った。


それぞれの鑑定結果を紙に書き起こした。


レイン レベル7

細剣術【熟練度2】 火魔法【熟練度1】


タニア レベル4

斧術【潜在】 土魔法【潜在】


アン レベル3

水魔法【潜在】 光魔法【潜在】 使役魔法【潜在】


ユグドラ レベル6

短剣術【潜在】 槍術【熟練度3】 斥候【潜在】 風魔法


サレナ レベル12

剣術【熟練度10】 聖剣術【熟練度3】雷魔法


イシス レベル9

炎魔法【熟練度3】 水魔法【熟練度4】 土魔法【熟練度2】 風魔法【熟練度1】 光魔法【熟練度3】


といった感じだ。


アンちゃんタニアちゃんユグドラたんはほぼ戦闘経験のない素人で皆で大事に育てなくちゃいけない。


だけどユグドラたんのもつ特殊技能(皆に見せる時は敢えて外した)のお陰で皆直ぐに迷宮へ入る程度には育つだろう。


センティス領軍の幹部を総動員して一週間も訓練すればレベル20前後までは成長するはずだ。


レインにはパルメラを、サレナちゃんにはジョセフを、タニアちゃんにはレオパルドを、ユグドラたんにはホセを付けようかな。


流石に魔法を教えるとなると私とルルが教えることになるだろうが、そこは分担すれば何とかなるだろう。


私は皆を引き連れジョセフ達の居る訓練場へと移動した。

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