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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
四章 攻める者と護る者
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サプライズ

魔人の女を拐ってクロッセアの屋敷に戻ると俺はセレナとユリアンからお小言を受けながらもそれをさらっと流し、空いている部屋の一つに魔人を投げ込んだ。


「痛っ!貴様!もっと丁重に扱わぬか?!」


「魔人ってのはそんな柔なのか?」

と愚痴ってやると押し黙ったので俺は部屋を後にする。


だが、俺はここで一つ失態に気付いた。


尋問出来るやつ居なくね?


俺は頭を悩ませながらも広間に戻り、メイドに食事や色々な世話を任せた。



二日後、ジンとカミツレが帝国方面から帰ってくる。


早速とばかりにジンに依頼をした。


「魔人捕まえたから尋問しといて」


と伝えるとジンは二つ返事で了承し、部屋に入って行った。


それから二日後、買い物帰りだというジンを呼び出し進捗を尋ねるとこう返された。


「関係は大分良好だ。クリティナの奴、案外お茶目さんでよ。旦那には良い女を紹介して貰ったよ」


などと返された?


え?何?


それも主人公力なの?

捕虜を口説いたの?


亡き奥さんに申し訳なくないの?


俺の頭には複数の疑問が浮かんではそれを噛み殺しジンに報告をさせた。


「それは良かったな。それで尋問は上手く行ったのか?」


「一緒に来てくれ。クリティナは何でも話すと言ってくれている。旦那が魔王だってのも信じたらしい」


「そうか…では案内しろ」


へいへいと適当に返すジンの後を追い魔人クリティナの元へ。中に入ると女特有の甘ったるい匂いが鼻を突く。


クリティナは紅茶を優雅に飲み何らかの本を読んでいた。捕虜の癖に随分余裕だな。


ジンに気付くと一瞬で笑顔になったが、後ろの俺には不快感丸出しの顔である。



「ジン、来てくれたのか!ん?何だ貴様か」


「ははっ、クリティナ。そんくらいで勘弁してやれ。大将がお前さんに色々と聞きたいらしい。話してくれるか?」


「むぅ…ジンの頼みならば仕方ない。おい、何が聞きたいんだ?」


おう…何だこの感情の落差の激しい女は…見ててムカつくんだが…


「あまり調子に乗るなよ?俺の命令一つでジンにお前を殺させる事など容易だ。勘違いするなよ」


「ジン…」


「すまねぇ、クリティナ。俺は旦那に忠誠を誓った身。例え愛するお前だろうと、俺は命令されれば抗えねえんだ…」



あー、この小芝居はいつまで続くのかな?面倒だ…はぁ…


「幾つか尋ねるぞ?正直に答えろ。まず一つ目、お前ら魔人は何を目的としているか。」


「……封印されし我が主、エリカ様の復活だ。」


ほう、エリカと来たか。


俺が日本人であろうと睨んでいる歴代の魔王の一人だ。


彼女は確かあの草原でひっそり暮らしてたはずだ。


部下が居るなんて話は聞いてないが…

何より気になるのは封印という言葉。


エリカは病で亡くなったと聞いているが…



「それはおかしいな。魔王エリカは病で亡くなり、生涯だれとも結婚することはなかったと記録されている。それに封印?どういう事だ!」


「ふん、馬鹿め!それは人間が都合よく歪めた嘘の話よ!エリカ様は大陸を次々と統一し後一歩の所まで行ったが、勇者とかいうゴミ屑に討たれこの世を去った…しかし、エリカ様には三人のお子が居た。私と他二人の重臣が一人ずつ託されたのだ。だが…ワタメ様は何処いずこに…あぁ、あの時私が目を放さなければ…」


おい、こいつすげえお喋りだな。


聞いてもない情報をペラペラと話してくれるんだが…


ワタメ?それって勇者んとこの紫髪幼女じゃね?


「そうか…次の質問だ。何故獣王国を攻めた?」


「三ヶ月前、ワタメ様が獣王国に居たという情報を手に入れたのだ。その情報を聞きに行っただけだ」


なるほどな、ワタメがどこに居るのか把握してないのか。


それで情報を集めに獣王国へ向かったと。


話を聞く限り魔人共は結構血気盛んな奴らぽいから穏便という言葉は辞書にないんだろう。


後でワタメを確保するようブルースに伝えよう。


あの時クリティナの背後から現れた勇者一行の中に居たはずだ。


「次の質問。お前らは帝国と繋がりはあるのか?」


「繋がりどころではない。帝国はエリカ様のお子、ハルト様の国だ。ハルト様の命令に従って何が悪い?」


あれー、俺確か帝国の皇帝を俺の前に連れてこいって命令したよな?多分そのうち…


コンコンと小気味よい音が響き扉が開かれた。


そこには若い少年と言っても良い、紫髪の仕立ての良い服を着た男を抱えたティアが立っていた。


「やっと見付けた。命令通り帝国の皇帝を連れてきたわよ?」


「話せ!貴様、この私に対してこの様に非礼な扱いをしてただで済むと思っているのか?!我が名はハルト!帝国皇帝であるぞ!」


「…うるさい、ちょっと黙って」


「はい…」


ティアの一睨みで黙る少年。

うーん、ティアは中々怖いからな。

微笑むと可愛らしいんだけど。



「ん?そこに居るのはクリティナではないか!何故お前がここに居る。」


慌てて隠そうとしたが、一足遅く見付かってしまった。

まぁ仕方ない。

強行手段と行くか。



「ティア、黙らせろ。」


「……了解」


「ぐぇっ」


「ハルト様ぁー!!」


ティアのチョークスリーパーがクリティカルヒットし、泡を吹きながら気を失うハルト少年。


うーん、面倒な事態になってきたぞ。




『主殿、ワタメを確保したでござる。そちらへ転移しお連れするでござるか?』


ここで我が忠臣ブルースから連絡が入る。


無事ワタメを確保したらしい。


『少し待ってろ。何ならダンジョンの海エリアにでも居てくれ』


『御意』



とりあえずブルースは88階層に護送してもらい、クリティナに交渉する。


「おいクリティナ。ワタメの情報を俺が持っていると言ったらどうする?」


「何?貴様ワタメ様を知っているのか?!」


「まぁな。それでどうする?何なら会わせてやっても良いぞ?あ、ティア。どっか空いてる部屋にその小僧を押し込んで寝かせてやってくれ」


「…分かった」


「グッ…貴様の目的は何だ?」


「目的?そうだな…魔王らしく世界征服ってところか。帝国には俺の興す国の属国にでもなってもらおうか」


悪役っぽくにやりと笑い、そう伝える。


別に世界征服とか考えてないけどな、大陸統一は考えてるけど。


さぁどう出る?



「私の一存では決め兼ねない…だが、ワタメ様の情報は欲しい…私はどうすれば…」


うーん…すげえ悩んでるな。


あー、クリティナの奴難しく考えすぎだな。


ここは逃げ道を作ってやるか。


「なら提案だ。俺に付き従うならば、ワタメの情報をくれてやろう。お前の上司にジンを付けてやるし、何なら結婚も許してやろう」


「だが…それは…」


「あぁ、お前はただあの小僧を裏切って俺に忠誠を誓えば良い。そうすれば女の幸せにワタメの救助も叶うぞ?」


「ワタメ様…私は…私は…」


大分揺らいでるみたいだな。


あと一押しってとこか。


俺はジンの方を見て頷き合図を送る。


察したのかジンはクリティナの肩を掴み真剣な表情で口を開いた。


「クリティナ、俺はお前と共に居たい。俺の主である旦那は良い人だ。お前がワタメに思ってる感情を俺も旦那に感じている。一緒にやってく事は出来ないか?」


ジンは懐から小箱を取り出すと中に入っていたのはダイヤの付いた指輪だ。


まぁ、俺の幹部ってことで金は沢山やっているからな。


『俺の前世では結婚したい相手に婚約指輪を送る風習がある』


っていう俺の以前話した言葉を思い出し、さっき買ってきていたのだろう。


どんだけクリティナに対して本気だったんだこいつ。


「ジン…これは婚約指輪…なのか?エリカ様が話していらっしゃったものと同じ…と言うことは…」



「あぁ、俺の主である旦那もお前さんの主だったエリカ様ってのと同郷の出だ。言っていただろ?エリカ様は大層綺麗な指輪をしていたって。急拵えで悪いがそれなりに良いもんは手に入ったんだ。結婚しよう、クリティナ」



うはっ…!


ジンの野郎プロポーズしやがった!


マジか、俺以外にティアとかセレナ隊とかユリアンとか帝国に出陣してた連中が騒ぎを聞き付けてぞろぞろ集まって来てるぞ?!


カミツレも居る。


「はい、喜んで!ソラト様、これよりこのクリティナはあなた様に忠誠を誓います。宜しくお引き立て下さいませ」


「あ、はい…よろしく」


俺はそれしか口に出来なかった。



「父ちゃんおめでとー!」


「おうよ、カミツレ!」


「「「おめでとー!」」」



カミツレさん、一番に祝福しちゃって良いの?


新しいお母さんが出来るんだよ?


まぁ、良いか。


そんなこんなで俺は魔人クリティナという新たな戦力を手に入れたのだった。


誰かこの状況を説明してほしい…まぁ、俺も悪乗りしたけどさ…

先週の日曜日は更新出来ず申し訳御座いません…


昼勤、夜勤が連続し満足な執筆時間が取れず少々短めとなってしまいました。


七月ごろには落ち着くと思うのでそれまでご不便をお掛けします。


ご理解とご了承のほどよろしくお願い致しします。

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