4章 勝つために
あの日から僕はパチンコ店へ休みをもらう度に出かけるようになっていた。
そして最初の頃は勝てていたのに回数を重ねるたびに少しずつ負けが重なっていき、気がつくと15,000円も負けてしまっていた。こうなってしまうと何をしていてもパチンコのことが頭から離れなくなってしまい、どうすれば勝つことが出来るのかということやこれ以上負けたらヤバいよなぁといった事しか考えられなくなっていった。
そんなある日のこと、いつものようにパチンコへ向かおうとしているとA先輩に呼び止められた。
A「お前最近調子はどう?勝っとんかいな。」
「いえ、一万と少し負けてます。」
A「今日も行くんか、打ちに?」
「そのつもりです、負けた分を取り戻さないといけませんから。」
A「少し落ち着いて考えてみよーや、な?そんなにムキになってもいい事ないで?」
「僕はムキになんてなっていません。冷静ですよ。」
A「なら良いんだよ、頑張ってな」
そう言って先輩は自分の部屋へと入っていった。そして僕はこの日7,000円負けたのだった。イライラしていた。世界の何もかもが自分に都合の悪い方に進んでいくような感じがした。
寮に戻ると同じフロアの人が交流スペースで笑いながら話していた。僕を見つけた先輩がおかえりーと言ってくれたのに僕は、
「先輩、なんで朝あった時にパチンコ行くの無理矢理にでも止めてくれなかったんですか!」と八つ当たりして部屋に入ってしまった。何もかもが嫌だった。虚しかった。お金を失うこともだけど、人として大切な何かが失われていくような気がしていた。そこでパチンコを止めるという考えではなく、僕はどうやれば本当に勝てるのかという事を考え始め、結論がA先輩だった。A先輩の部屋をノックする。
A「はいよー、誰?」
「僕です。先程はすいませんでした。先輩にお願いがあってきました。」
A「大体の予想はつくけど言ってみ?」
「先輩、パチンコで勝つためにはどうすれば良いですか?」
次の第5章は主人公達の学校生活を書こうと思います。