序章ノ参 『移界』
「…あのですね。今回お邪魔させて
いただいたのは…とある理由が
ありまして…」
「へー?一体どういう?」
…楽しそうだなー(棒)
案の定俺が喋ると井筒ちゃん凍るしさ。
美衣から喋んなって言われちまったし。
…てか口ガムテープで縛られてるし。(泣)
だから私不知火連珠、こうして楽しそうな
お話を聞いているしかないという屈辱プレイの
真っ只中でございます(´・ω・`)
…俺、なんか悪いことした?
‥あ、あなた方も私の話に興味無い?
すみません、ちゃんとあっちの話聞きます。
「…ええ。それが…『移界』について
のご提案になるのですが…」
「…『移界』?」
「はい。…あ、私『異世界紹介所』に務めて
いるのでs……」
……!!!!!????
びっくりしすぎて体が宙を舞った。
…今『異世界紹介所』っつったか?
いや、言った、100%言ったぞ。
俺の頭の中にある謎組織No.1。『異世界紹介所』
天谷 井筒は今確かにそう言った。…はず。
…とまぁいつにも増して激しく
動揺してみた俺を見て美衣が
「…うっせぇんだよ黙っとけ(小声)」
…はい、すいません美衣さん。
「…コホン。とまぁ我々『異世界紹介所』は、
主に[今いる世界に退屈した方々]に
"新しい世界での生活"すなわち、
『異世界転移』をして頂き、その方々に
新しい生活を提供する、といった
仕事をしています。そこで今回、あなた方が
世界に退屈していらっしゃるようだったので
こちらからお伺いに参った、という訳です」
…ビリッ。ビリリッ。
あー心配すんな。耐えきれなくなった俺が
ガムテープ剥がしただけだから。…と。
「おい待て、いくら何でも話に
ついていけないんだが。そもそもなんだ?
『異世界転移』だって?
…冷やかしならもう十分だから
帰ってもらっても…」
「はい?…これが私らの『商売』ですよ?」
…本気らしい。おいおいマジか。
案の定、美衣も震えてる。そりゃそうだろうな。
…こんなに『良い話』が舞い込んでくるとは。
世界も案外捨てたもんじゃねえな。ハハ。
「わかった。とりあえずあんたの話は
一旦信じよう。…でだ。もう一度その
『移界』について色々教えてくれないか?
商売って言うからには‥色々契約事があるんだろ?」
そう言うと井筒は…ただ不敵に微笑んだ。