序章ノ弐 『紙切れと美少女と異世界紹介所』
…え?
もはや俺の頭は真っ白を通り越して
フリーズ状態と化していた。
いやまぁこうなるのも無理はないと思うけど。
みなさんもご想像いただきたい。
うわー誰かに引っ張られたら
手に紙切れ持ちながら自宅の前に
戻ってきちゃったぞー?大変だー!
…って時に自分がどうなるか。
我ながら酷いくらいの棒読みである。
と、茶番はこれくらいにしておこうか。
とりあえず紙切れの内容だ。
もう一度読み返していこう。
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ー不知火兄妹へー
我々『異世界紹介所』一同が
異世界をご紹介いたします。
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…わっかんね。まじわっかんね。
異世界紹介所?異世界ご紹介?
…知らねぇよ(´・ω・`)
まぁそんな愚痴言っても何も進展しないのは
目に見えているわけでして。
とりあえず進展させるためにやること。
これを考えるのが重要になるだろう。
…うん。状況的に家に帰るしかないよね。
ー困惑のまま自宅に 午前十時半ー
ガチャッ。タダイマー。久しぶりのただいまである。
いかに俺が焦っているかが見て取れるだろう。
見て取られて欲しくはないものだが。…と。
「ちょっとお兄ちゃーん?」
遠くから声が聞こえてきた。我が親愛なゲフンゲフン
我が妹の声である。何やら問題らしい。
少し急ぎ目にそっちに行くことにした。
場所はやはり俺の部屋。いい加減自分の部屋に
戻りなさい。邪魔だから。…って、え?
誰か…いや言い直そう。
『超絶可愛いロリロリ美少女』がいる。
…今自分で言って後悔したわ。
とまぁ俺の部屋には美衣と俺、そして
『超絶可愛いロリロリ美少女』がいる訳だ。
…今日はサプライズのバーゲンセールですか。
まぁいい。とりあえず話と経緯を聞かないと。
「‥えーと、お名前は?」
「………ぇ…ぇ」
「え?」
「……!!」
結論。極度の人見知り属性。
まぁそれはそれで可愛いんだけど。マジ天使。
…だが話せないままだと何もわからないままだ。
とりあえずどうにかしなければ。
「…もう少し大きな声で
言ってもらってもいい?」
なるべく優しいお兄さん風に言ってみたが…
「‥すみません!!…(小声)」
あちゃー。逆効果か。
攻略できんのか?これ…。
…と。
「ごめんねー?あのお兄ちゃん怖かったねー。
どれどれ。お姉ちゃんにお名前教えて
くれるかなー?」
え?美衣さん嘘でしょ?そんなんで釣れるわけ…
「…えと、『天谷 井筒』です」
教えちゃったよ。いやフラグ臭はしてたけどさ。
…まぁいいや。話は進んだし。