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本完霊師  作者: 鵜梶
第3章【悲惨な過去と少年】
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11ページ目

魔夢バクと遭遇してから約一時間が経過しようとしていた。

現在優斗は先輩のアカザと、アカザの兄弟のツルボ、そして複数の紺色のローブを羽織った集団と一緒にリムジン並みの長い車に乗車し、共に行動をしている。優斗は車の椅子に座り、左右にアカザとツルボが座る形となっていた。

殆どの人が喋らずに、淡々と手元の書類と思われる紙の束を回し読みして行く。中には隣同士会話をしている者もいるが、聞き耳を立てる限りいい話ではないということだけはわかる。

話の内容は恐らく彼等にとっては当たり前、日常で起きた闘いの事だろう。が、優斗は昨日までこの様な世界は知りもしなかったのだ。死やそういった隠語が多く、正直グロい。


優斗は手を強く握る。


今までの事を整理すると、先輩にまた助けられた。そして優斗は魔夢バクと言うバケモノに狙われているらしく、先輩の私情もあったが、一時的に保護扱いとなった。


が、それだけではない。

優斗は昔から己の目のせいで、イジメや酷い目に散々あってきた。そして今回もこの目が原因で2度目は襲われた。


ずっと考え続けて来た。

何故自分の目は誰とも違うのだろうかと。



「大丈夫?顔色悪いけど・・・ごめんね。一時的に保護扱いととか言ってるけど、本当は君を少し調べる為の言い訳に過ぎない。悪いけど、本当に君が安全かを確かめるまでは、何度かこういう形で君を僕等と一緒に行動させるかもしれない。」


「俺が・・・人殺しでもするっていうのか?」


「君が人殺しになり得るかもしれない。何故なら君は僕等の義眼と同じ力を持っているからだ。」


「・・・義眼って、あんたも?」



アカザは優斗に見える様に髪を掻き分け、目を見せて来る。




「そうだよ。僕等は本完霊師ほんかんれいしになる際に義眼を両眼に埋め込む。それは昔からの風習みたいな物だけど、実質は君が見える様に、僕等も見えなくならないといけないんだ。」


「見える?俺、特に何も見えないけど・・・あ」


「君は何でそんなにも疎いのかな・・・君は僕の目の色、髪の色、そして恐らくはツルボの目の包帯も見えているんだろう?」


「包帯も他の奴には見えないのか?」


「やっぱり見えていのか・・・」



アカザは軽く苦笑をし、ツルボも隣で呆れてなのか溜め息を履いた。



「私の包帯が見える時点で、君の眼は特殊だ。他の人間には見えん。」



特殊。

それは普通ではないという事だと言うのは理解出来る、が、何故その様な包帯やら、目の色やら、頭部が消失しているのが見えるという事が特殊なのだろうか。

特別見えていても、あまり害はない気もするが・・・




車が停止したと同時に、一斉にローブを着た人達は立ち上がり車を降りて行く。優斗もアカザに手招きされ車を降りると、そこには昔の時代劇にでも出て来そうな屋敷がそびえ立っていた。

そのままアカザは歩き出し、屋敷内へ入る様にと優斗をこちらへと誘導される。


歩いていると、ふと足元に違和感があった。

チラッと足元に視線を送ると、そこには人の形をした1枚の紙が落ちていた。何気無くそれを拾い上げるが、拾い上げると同時に灰の様に崩れてしまった。



「・・・なにこれ?」


「何しているんだ?」



優斗の行動を不審に思ったツルボが、優斗に話し掛ける。



「あ、今変な紙が・・・」


「そんなは物ないが・・・皆君を待ってるんだ。そんな事より早く歩いてくれ。」


「ご・・・ごめん。」



そそくさとあとを追う。







この時、誰しもが気付かなかった。


優斗が何気無く触れた物がこの屋敷を戦場に変えることなど、優斗や周りの者は知る由もなかった。








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