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第3話 サバイバル!
僕はいい歳をして非正規労働者だった。
正社員でないことに少なからず、心の何処かで劣等感を抱いていた。
その頃からだろうか。自分の年齢を忘れてしまったのは。人に年齢を聞かれるたびに緊張した。
恥ずかしかったのだ。
何とかして自分の道を切り開かなければならない!
その想いにかられ、繰り返し自分の進路について悩む中、非正規労働という社会システムに流され、いいように搾取され、疲弊した日々。
神経は次第に磨り減っていき、僕は疲れ果ててしまっていた。
今では労働意欲どころか、生きる気力さえ失っていた。
いつ、死んだっていいと思っていた、というか早く楽になりたいと思っていた。
僕が女性ならば社会に適応できないのなら、結婚して家庭に入るという選択肢も可能性もあるにはあった。
だけど僕は男だ。男には何処にも逃げ場はないのだ。
社会に適応できないなら、死ぬしかないのだ。
ところが、どうだ。今の自分はどうにかしてゾンビから逃げて生き延びることを考えている。
不思議なものだ。あんなにも死を待ち焦がれていたというのに!
『よぉし、一か八かだ!』