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第2話 行き止まり!
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ここまでか!!と思ったが、運良く電車が駅に停車して扉が開いた。プシュゥー。
『王宮駅だ。』
自分の住んでいる街の最寄り駅だ。
僕は電車を飛び降り階段をかけ上がり、改札を出た。
誰もいない。
後ろを振り向くとやはり、全力疾走で奴が追いかけてきている。
『ガァァァァー!』
すごい声だ、まるで悪夢だ。
どうすればいいんだ?!
僕は走りながら考えていた。
無我夢中だったせいか、家とは正反対の方向に走っていた。
普段、通らない道だ。
『ん?あれはなんだ?』
100メートル前方にものすごい高さの黒い壁がそびえ立っていた。
『行き止まりだ!』
とても登れそうもない。
このまま壁に向かって走っても袋の鼠だ。
後ろを振り返る。奴が7、80メートル後方にいる。
どうしよう?!
よし、こうなったら奴の方に向かって走るしかない!
身体を反転させ、こっちに向かってくる奴を睨む。
うまくいってくれよ!
僕は一応、空手の経験者だった。実戦経験はないのだが…