表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

ディルスター誕生

初めての小説投稿になります。

1週間に1回程度ののんびりとした更新になる予定です。

よろしくお願いします。

グローバル化社会


そう言われてから、もう何十年も経過した。

数十年前、日本をはじめとした世界各国は、グローバル化に対応するために、UTA(Universal Trade Agreement)を締結した。

グローバル化を進展させ、世界中でスムーズなビジネスを行えるように、世界統一ルールを設けようというものだった。

始めは発展途上国数か国だけの貿易協定に過ぎなかった。

しかし、アメリカやEU諸国や日本などの経済大国が参加することで、一気に参加国数は増加した。

今では、国連加盟国の9割以上の国が、このUTAに参加していた。

そして、UTA締結後、世界中でグローバル化が加速化した。

UTAの統一ルールに準拠するため、世界各国で法律が改正された。

しかし、UTA締結時、多くの国は不況で苦しんでいた状況だった。

不況を打破するために進展させたはずのグローバル競争は、結果的に、多くの敗者を生み出し、駆逐していった。

そのため、世界中は多くの失業者で溢れかえり、勝者と敗者の2極化が進み、結果として世界経済はさらに悪化した。

その結果、今まで何とか生き残ってきた企業ですら、そのままでは単独での存続が困難な状況に陥っていた。

多くの企業は、生き残りをかけてM&Aを始めた。

それは、最初は、単独で世界に対抗するのが困難な中小企業を中心に行われていたが、グローバル化の進展に伴い、やがては大企業までもがそれまで築いてきたブランドを捨ててまでも生き残りをかけて企業合併を行うようになった。

繰り返されるM&A

始めは関連企業間で行われていたが、それでも存続が困難になると、やがては無関連企業間での合併へと進展していく。

そしてその結果、一つの巨大なコングロマリット企業が世界を席巻することとなった。


巨大企業ディルスター


世界中の電気、ガス、水道などの公共インフラから、金融、IT、建設業、小売業、造船業、運輸業などの主要産業に加え、宇宙産業や兵器開発まで、今や主要産業のほとんどがディルスターの支配下にあった。

皮肉にも、自由競争の加速が巨大なモンスター企業を生み出す結果となったのだ。

ディルスターは各国で多くの政治家を送り込むことで、世界各国へ絶大な政治権力を持つようになり、政治力を使ってさらに勢力を拡大していった。

その結果、ディルスターに有利な政策が世界中で通り、ディルスター以外の企業はさらに窮地に追い込まれていき、それに伴い所得格差も、ディルスターとそれ以外で急激に拡大していった。

やがて、その格差は、世界中にディルスター選民思想を生み出すこととなった。

ディルスターの社員は優れた人間、それ以外は愚かな人間と言った選民思想は、子供達の未来まで左右することとなった。

ディルスター社員の家族は、ディルスターグループの一員として、様々な恩恵が得られるためだ。

子供達をディルスターに入社させるのが親の仕事となり、子供の将来の目標はディルスターに入社することに変わっていった。


一方で、その頃になると、権力を持ちすぎたディルスターに対して、世界中で非難や抗議活動が行われた。

しかし、どれだけ国民が集まろうが、政治力で勝るディルスターを止めることはできなかった。

ほとんどの国で過半数の議員を抑えていたディルスターは、次々と自分達に都合のいい法案を、民主主義の名の元に力で押し切っていった。

政治力でディルスターに叶わない。

となると、残された手段は武力行使しかない。

一部の国では、ディルスターを支持する政権を倒そうとクーデターが発生したり、テロも頻繁に発生し、治安は一気に悪化した。

だが、結局、クーデターもテロも、強大な力を持つディルスターの前には無力であった。

度重なる敗戦によって、ディルスターに抵抗していた人達の間に、無力感が漂い、抵抗をやめていく者達が増えた。


ディルスターは、度重なる国民の抵抗を押さえつけるために、超管理社会システムの構築に乗り出した。

それがDICT(DILSTAR Universal IC Technology)とゼウスネットワークシステムとよばれる巨大管理システムの導入だった。


「世界共通のICチップを体内に埋め込むことで、さらに素晴らしいサービスを人々は享受することができるでしょう。

銀行口座の管理から料金支払いまで、全てはこのDICT一つで管理することができます。

国民はDICT一つで、全ての情報を管理することができます。

また、DICTは体調管理からメンタルケアまでを行ってくれます。

血圧などの簡単な測定はDICTによって行うことができるので、皆さんは何もしなくても、健康状態をチェックできます。

健康上に問題が発生しても、DICTの情報を元に、病院で速やかに検査を受けることができます。

また、犯罪が起こっても、警察の捜査に、DICTとゼウスネットワークが加われば、犯罪者の早期特定も可能になるでしょう。

DICTは、住民生活の安全・安心にも貢献します。

また、DICTによる統一管理を行うことで、外国に行っても、国内と同じサービスを受けることができるようになります。

DICTとゼウスネットワークシステムによって、全ての人が、どこに行っても、何不自由なく生活することができるようになります。

DICTは、これからのグローバルな世界の発展には不可欠なものです。」


ディルスターのCEOアルシア・クルサードは、UTAの国際会議で世界中の首脳達に向かって、DICTとゼウスネットワークの素晴らしさを主張した。

それを絶賛する者もいれば、反対する者も当然いた。

DICT導入に関しては、世界中で大きな暴動まで起きたが、結局、ディルスターに全て鎮圧された。

そして、ディルスターの絶大な政治力の元でDICTは導入され、UTA加盟国の国民全員にDICTの埋め込みが義務化された。

新しく産まれてきた子供は、出産後すぐにDICTが埋め込まれ、ゼウスネットワークの監視下に置かれるようになった。


DICT導入で、確かに国民の利便性は上昇したが、それは超監視社会の始まりでもあった。

実は、DICTには公開されていない恐ろしい機能が埋め込まれていたのだ。

国民がそのことに気づいたのは、DICTが導入されてから数年経過してのことだった。

DICTを通じて、全ての国民は日々の行動から日常会話までを監視されることになってしまった。

テロや犯罪などは事前に潰され、ディルスターに批判的な発言をする者達は、すぐに逮捕されて連行された。

そのため、誰もディルスターに抵抗できなくなった。

ごく一部の、DICTをつけていないディルスターに対抗する勢力を除いては・・・

こうして、世界はディルスターによる超管理社会へと変わった。


そして、現在・・・

日本の首都大阪に、そのディルスターCEOのアルシアとその娘サリファがやってくるというニュースが、日本中に流れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ