有名人になりました。
鬼から聞き出したところによると、今の天国は人口増加の煽りを受けて新たに人を入れることが出来ない状態らしい。
仕方なく、死者に因縁を付けて地獄に落とし増加をくい止めているんだとか。
「しかし、どうしたものか」
鬼を拷問して5時間が経つ。そこかしこに俺と朝貴の顔写真が貼られ、鬼達は血眼になって探し回っている。
すっかり有名人になってしまった。
「すべて敵になろうと一生ついて行きますっ!」
と、勝手に盛り上がっている朝貴。お前の一生はすでに終わってるから。
「やはり、鬼を首だけだして埋めたのはまずかったか」
「全部埋めるべきでしたね」
朝貴がさらっと怖いことを言う。こいつを怒らせないように決意を固くする。
美形の男だと思ってムカついたから女扱いしました。なんて事実が知れたら髪の毛一本すら地上に残さず埋められそうだ。
「刑期も縮みますし、いっそのこと鬼達を返り討ちにしますか?」
俺は肘と手首の間に刻まれた刑期を見る。今の刑期は一万とんで九十年、朝貴の言う通り十年短縮していた。
「いや、さっきは不意をついて武器も取り上げたから勝てたんだ。警戒してる鬼相手じゃ返り討ちに遭うのが関の山だ」
力も強く体の大きさは倍以上、急所でもなければまともに痛みも感じない。反則キャラである。
「確かにあの数は難しそうですねぇ」
タイマンなら勝てるのかお前は? あぁ勝ってたな。
とにかく俺は一般人、鬼と正面切って戦うつもりはない!
「何を考えてるんですか」
俺のあくどい笑みを気味悪そうに見上げる朝貴。
多分、こいつは鬼を痛めつけるのに夢中で俺があれこれ聞き出していた事に気付いてないんだろうな。
「楽しい事さ」
俺はニヤニヤと笑いながら答えた。
さあ、まずは準備を始めよう。
企んでいるようです。