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真性のヘンタイ、その名は・・・

主人公はかなりヘンタイですが、どこか不思議な性格をしています。

これからどんどん面白くなって、テーマに沿った甘ずっぱい物語(まあ

、最初はすごくすっぱいだけですが)になりますので、よろしくおねが

いします。



4月18日。

入学式から5日が過ぎたこの日、俺たちピカピカの一年生より一足遅く入学して来た男がいた。

そいつは来て早々に、自分のどっかが壊れてる所を見せ付けてきた。

そりゃあもう驚きの連続で、どこか人間離れしていて、あの伝説のGTOも、このクラスが担任ならさぞかし苦労したことだろう。

けれど、そんなあいつこそが、俺を含めた十数名の運命をびみょーないい具合に狂わせていくなんて事は、100年くらい昔の人間が、鉄で出来た飛行機を飛ばす、なんて事を考えたか否かというぐらい。予測できなかったことだ。

そんなあいつの、一足遅れた入学時のクラス挨拶は、こんな第一声から始まった。


「どうも、大木梅男です!16歳なんです!2月28日生まれで、血液型はB型。好きな食べ物は牛タン、嫌いな

のは特にないです。えへへー、えらいだろ。ちなみに友達は愛と勇気だけ。どうぞ皆さん、よろしくお願げーしやすです!あ、それと好きな女性の好みは貧乳です。ビバロリコン!みんなもこれからはロリコン梅男君、略してロリ梅君と呼んでくれてよろしくてよ!ああ…!ロリ、貧乳…!想像するだけで(ビクビクッ)」


このセリフから、これからあいつに関わる人間の苦労と怒りを感じてほしい。

その挨拶からぴったり2分間、クラスは沈黙していた。その間に考えいたことを今でも俺は、はっきり覚えている。


な、なんだあいつ?ただの目立ちたがり屋か?いやっ、そんなこと今時の高校でやったら、思いっきり引かれる事ぐらいわかんないのかっ!?あー絶対、あいつ浮くわ。あんなこと胸張って言う奴だからな・・・!

つか担任教師なにやってんだ?早くこの空気どうにかしろっての。

 

 (チラッ)


 (担任、汗ダラダラ、体ガチガチ)


あ、固まってる。そうかぁ、だよな、今年入って来たばっかりだって言ってたもんな。ならいきなりこんな厄介な奴の初担任になったことに同情してやるべきだよな。

ん?それにしても、さっきからあの大木ってアホに熱烈な視線を送っているクラスメイトがいるよう気がするんだが?


 (チラッ)


 (大木に熱いキラキラビームを直線発射する、えっーと、同級生の赤宮さん)


うん、今のは無視しよう。きっと彼女はちょっと壊れてる人が好きな、変わった趣味か性癖の持ち主なんだろう。

そうこう考えている内に、やっと担任の、確か磯貝?先生が動きはじめた。

「あ、あーというわけで、ちょっとみんなより遅なったけど、これで大木も1年3組の仲間や。な、なかようしたってやりやー」

先生、肝心な言葉が裏返ってます。

「どうも~、なかよく夜露死苦~」

おまえは黙っていてくれ・・・!

「大木の席は、そやなー、どこにしようか・・・」

うげっ!俺の後ろの席が空いてる!そういやここに座るはずだった夜村君は、入学して入学式に参加する前にダブル受験してた名門私立高校の入学が決まってそっちに行ってしまったんだった!

た、頼む!空いてる席なら他にもあるんだ。お願いします神様!お願いですからこっちじゃなくて別の、別の席にあいつを導いてやってください!

た、例えば、あそこで先生の話聞いてる振りしてマンガ読んでる金倉君とか!その隣で一緒にサボって音楽聴いてる猫塚君とか!他にいるじゃありませんか!?

あー!お願いします、神様。一生のお願いです!神様は何でもできるでしょう!?

「ん。決めた」

けれど、先生は意を決したように俺の後ろら辺を指さした。

「田山、笹島の後ろの席、空いてるやろ?」

「・・・へ?はい、空いてます」

「ほなら大木、あそこ座り、ちなみになえっと、鞄は椅子の下に置きや」

「はいはい、どうも先生、あんがと、と僕はお礼を言うでせう」

「いやいや、どういたしまして」


・・・・・・・・・・・・・。


ひぎゃああああああ!!夜村君!カムバアアアアアアック!!

どこかで、『いや、神様も万能じゃないからね?』という声が聞こえた気がした。

・・・もはや神も仏もないんですね。

てか先生、大木の性格に順応早すぎじゃないですか!?

はっ!?こっち来た!

「よろしく、名前なんていうんでしょうか?ちなみに僕はロリ梅君ですよ」

もうそっちが本名なの!?

と、とりあえず名前くらいは・・・。

「さ、笹島賢治だけど・・・」

ふん?と大木は不思議そうな顔をした。

「なんだよ・・・、俺の顔になんか付いてんのか?」

「もしかして、賢治の名前って賢治のママが昔文学少女で、宮沢賢治に憧れて付けた名前じゃないのかなって思いまして」

「なっ!?」

な、なんていい勘してやがる・・・!確かに、俺の名前は母さんが宮沢賢治が好きでこの名前を付けたわけだけど、

昔から本が好きだから文学少女と呼ばれていたことが、なんでこいつにわかるんだぁ!?

あれ、そういやこいつ俺のこと賢治って・・・。はっ!いきなり呼び捨て!?

俺がうううぅぅと頭を抱えていると、誰かが肩をトントン・・・って誰だよ!どうせ大木だよ!

「ねえねえ、賢治の女性の好みって何ですか?僕のおすすめは貧乳ね。で、どんなのが好きですか?」

「ああ?好み?おまえのおすすめはどうでもいいけど、俺は・・そうだな・・・、巨乳にメガネかな?」

「君はエロい!」

「何故に!?」

そりゃ確かに巨乳とメガネはエロいかもしれないけど!

「エロい君に聞こう。どんなことをしてくれる巨乳メガネがいいんだ」

丁寧語から命令形にランクアップですか、えらい出世ですね。

というか、どんなことって・・・。そんなの考えたことも、

「あ、いや。あれかな・・抱きついてくるとか」

「やっぱりエロいね、賢治も」

悔しい事この上ないが、反論はできない。

「ん?「も」ってことはおもえは自分の性格に自覚があるのか?」

「あるよ、ちなみに僕は、いざという時に自分の貧乳さを魅せつける人がいいね」

その『いざという時』がどういうことなのかは聞かないことにして。

「案外ふつうな意見だな」

「そしてさらに露出が大好きな日常的にすっぽんぽんで男を求めて歩く。そんな貧乳がいいよね!」

「ただの貧乳じゃダメなのか!?しかもいないし!絶対そんな人!」

やっぱり恐ろしい奴だ。

真性の変態はこいつじゃないか。


 キーンコーンカーンコーン


と授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

「もうそんな時間か。・・・へ?」

気がつくと、大量の視線はこっちに集中していた。

あ!妙に静かだと思ったら、みんなして俺らの会話を聞いてやがったのか!?

「Wow!恥ずかしい!」

「おまえが言うな!おまえが!というか、そんなの全然気にしてないだろ!」

くそう、さっき話してた内容はなんだった?どう見ても変態同士の会話じゃねえか。

言い訳できねぇ・・・。

すると、担任の磯貝先生は、パンパンと手を叩いて、

「さて、放課後やで。新入生の大木にも友達ができたことやさかいに、ほなみんなここら辺でおひらきにしよか。ほな代表、お願いします」

どうしてその、『この場を切り抜けるスキル』をさっき使えなかったんだ。

そして代表の青嶋さんは立ち上がり、

「きりーつ、れーい」

「さよーならー!」(みんなで元気よく)

俺も大木もつられて、さよーならー・・・って

「ちょ!?先生!何がここら辺ですか!どこら辺ですかまったく!つかみんなも、今見たもの聞いた

もの、全部なかった事にしようとしてるだろ!おまえらが忘れても、こいつは消えねぇぞ!?ああ、おい聞いてんのか!無視して帰ろうとしないでくれ、お願いですから聞いてください。あ、なんだよ金倉君。おまえは関係ないだろ、マンガ読んでたんだから・・・ってなに肩に手を置いて、親指をグゥ!?いやいや、なんでグットラック的な行為を、え?その通り?ウソでしょ?え、こ、今度は猫塚君?なになに、今朝食べ欠けたあんパンをくれてやる?いるかぁ!そんなもん!!ちゃんと食い切れや!そこぉ!赤宮さん!?大木に向かってウインクしながら帰らないの!アホがうつるよ!ああ、もうみんなー!俺の、俺の・・・」

「おれのはなしをきけ~♪」

「歌うなぁ!」


・・・・・・・・・・・・。


沈黙する教室。残るのは、二人の男子生徒。(一人は完璧な被害者)

「帰ろうか賢治。気にすることないよ、あんなの」

「・・・・んぶ」

「ほへ?」

「全部おまえのせいじゃああああぁぁぁ!!」

泣きながら帰るのは、何年ぶりだろう?

涙が夕日に照らされて眩しいや。

「ちくしょおお!大木のアホがっ!覚えてろよ!無視してやる。絶対無視してやる!あんな奴のことなんて知るか!どチクショめえええ!」


こうして、俺と梅男の初めて出会った日は終わった。

結局、あんなこんな言いながら、あいつと俺達は関わっていくわけだけど。

それはまた、別のお話という事で。




















 





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