第26試合 成嶺高校戦②
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第二試合。天堂の相手は中村直樹。中国式ペンに裏ソフトと、裏に表ソフトを張るタイプ。
この場合は、2パターンある。
まずは、表ソフトで打ちまくり、サーブは裏ソフトで切るタイプ。
裏面のドライブも使用できるしカットも使える。
もうひとつは、ドライブマンが途中で表ソフト速攻に戦形を切り替えてくるタイプ。
裏面ドライブなども織り交ぜることができる。(※1)
「よろしくお願いします」
「お願いします!」
相手は早坂系の元気タイプのようだ。しかし天堂も相当元気な、悪く言えばあまり考えていないタイプだ。体が先に動くというか……
第一セット。中村は表ソフトを表面に持って、速攻で右に左に振りまくった。
サーブは反転させて裏ソフトのブチ切れ、あとは回転を受けにくい表ソフトで三球目(※2)を決める表ソフト典型のパターン。
しかし天堂も、そうはさせない。
三球目をバックの、サイド深くにドライブで沈めたり、ストップで前に落としたりと、表ソフトの得意なスマッシュになかなか持っていかせない。
天堂の長いロング横サーブとショート下回転、横下、カーブドライブと惜しみなく武器を出し切り、台から出たら猛烈なドライブ。さっきの吉田と同じだ。
11-5。第一セットは、天堂に軍配。
「あれをやるべきだったんですね」
俺は思わず、小田切先生に呟いた。
「そうね。とにかくドライバーは台から出さないか、2バウンド目のギリギリの迷うところに落とす。もしくはロブやカットで全部拾う水谷隼選手(※3)のような覚悟で後陣に下がるか、ってとこ」
第二セット。サーブは中村。黒い面が見えているので、サーブはいつも通り裏ソフト……と思ったら裏面でスピードロングサーブを出してきた。あんな芸当もできるのか。
天堂が追い付けずにエース。
同じく同じ腕の振りから下回転。
天堂のツッツキを表で仕留めるかと思いきや黒のまま。
今度はドライブ主戦に切り替えたようだ。相手を混乱させる意図もあるかもしれない。
しかし、相手はもともとドライブ主戦の天堂。
経験値の差がそのまま出た。
早坂のペンドラよりは上手いが、さすがに限界がある。
11-7で天堂が連取した。
「いいぞ!!がんばれー!天堂!!」
上のほうからでかい声がした。田中だ。横に岸田も内田も梶も丸山もいる。もちろん若松も。
「声、大きいよともり……」
岸田があきれたように言うが、
「聞こえないと応援って意味ないの!がんばれ!」
応援の声も、次第に増えてきた。
「成嶺!意地見せろ!」
「天堂頑張れ!光栄、復活だ!」
第三セット。
天堂のサーブ。珍しくバックサーブから。ロングがサイドを切るように飛ぶ。
天堂は意外にもサーブが上手い。自分のドライブが打ちやすい方向、回転を考えている。
学校の成績はいつも赤点ギリギリだが、卓球のことに関してはものすごく冷静にアタマが回る。
「くっっっっ……」
何とか返したが、もうフォアハンドを振りかぶっている。
中村の届かないフォアサイドを綺麗なドライブが切り裂いていった。
天堂は、三種類のドライブが打てる。
スピードドライブ、角度を小さくし速さを重視したドライブ。
カーブドライブ。大石もこれをメインにしているが、ラケットをボールの横を擦るように回転をかけ曲がって飛んでいく。
そしてループドライブ。スマッシュの餌食になりそうな山なりのボールだが、スマッシュをうつと回転量が多すぎてオーバーする。
この三種類を見事に打ち分けている。
しかもバックハンドでも打てるのだから大したもんだ。
最終的には戦意喪失した中村にループからのスマッシュを打ち込んで、ストレートで勝ち切った。11-5。
「ナイス!天堂!」
「さすがッショ。ダブルスも頼むッショ」
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しかし、ダブルスはやはり病み上がりのシュウにはつらかったか。
早坂は安定してドライブを打ち込んだが、そこからなかなか粘れない。
そのまま、8-11、7-11、11-8、11-7、5-11とフルセットまで粘ったが、敗れた。
ゲームカウント1-2。
後一個、負けたら終了。
廣瀬が向かう。
「廣瀬、頼むぞ」
俺が言うと、二ヤっと笑って、
「垂木には、負けられませんから」
※1 一時期の筆者がこれ。
※2 サーブ→レシーブ→強打の組み合わせのこと。
逆にレシーブ→返球→攻撃のことを四球目攻撃という。
※3 卓球競技日本男子初の団体でのオリンピックメダリスト。卓球競技混合ダブルスの初代オリンピック金メダリスト。幼少期はどんなスポーツをしてもそつなくこなせたという。投資家としても有名。




