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13/34

第13回戦 武蔵野西陵戦①

武蔵野西陵が勝ち、昼過ぎに埼玉光栄高校インターハイ初戦が始まった。

シングルス1早坂、シングルス2大石、ダブルス天堂・大石、シングルス4天堂、シングルス5鹿鳴館。

できるだけロクは温存したかったが、小田切先生の采配を信じるしか無い。


S1、早坂の相手は望月だった。

ペンホルダー表の前陣速攻、主将としての貫禄を見せつけてくるタイプだと聞いていた。


試合が始まると、早坂は持ち前のフットワークで、望月の速攻に食らいついていった。

決して受け身にならず、拾って拾って、隙があれば果敢にバックハンドスマッシュを振り抜く。

ベンチから見ていても、随分と成長したな、と思わされる内容だった。


回り込んでのスマッシュ、ドライブ、ブロック。絶滅危惧種の日ペンドラは、望月を十分に翻弄した。

ツッツキからの台上ドライブ、バックハンドのスマッシュ、いわゆる「右打ち左押し」を存分に活かした攻撃。


最終ゲームまでもつれたが、11-8で早坂が制した。


「よっしゃあああああ!」


ベンチに戻ってきた早坂に、天堂が「その意気だ」と声をかける。

1勝目。良いスタートだった。


S2の大石は、藤山を相手にストレート勝ち。ハンドソウラケットという初見殺しに、大石の技術。

バックハンドはフラットかつカット気味にカーブドライブを多めに、フォアは豪快に振っていった。

すでに見た通りの、丁寧で崩れない試合運びだった。


これで2連勝。


ダブルス。天堂・大石のペアが、千葉・多々良の組み合わせと当たった。

序盤は互角の展開だったが、多々良の得意なロブに何度も粘られ、決定打を欠いたまま競り負けた。


「すまん、みんな」

「やられた。悪い。頼む」

天堂と大石が頭を垂れる。

「大河、シュウ、謝るのは試合の後でいいわ。千葉くんと多々良くんのことをできるだけ伝えて」

小田切先生が指示を飛ばす。

「千葉はフラット気味に打ってくる。表面がやっかいだ。赤面だな。あとは多々良はカット気味のタイプだ。お互いにサインを決めて、どっちが打つか、攻撃するか決めてる。千葉はフラットだから、粒高のロクが……」

「でもさあ、4番は橋本って選手だし、5番は高安って選手だよ~。天堂、次も試合だから、ほい、ドリンク飲んでけば~」


ロクの何気ない一言に、ちょっと場が和んだ。

「みんな。頼むな。行ってくる」


1勝1敗のイーブンに、S2までの貯金を持っていかれる形になった。


S4、天堂の相手は橋本。反転ペンホルダーの粒高ブロッカーだった。

「俺、粒高相手も初めてかもな、公式戦」


台に向かう前、天堂がそんなことを呟いていた。

確かに粒高は垂木とロクがいるが、垂木はまだまだだし、ロクは粒高をメインにしていない。


慎重に攻めるが、橋本のブロックが繰り出す変化に何度もリズムを崩され、決めきれないラリーが続く。

最終ゲームまでもつれたが、僅差で橋本に軍配が上がった。



「くっっっっっっっっっっっっそ……」

戻る途中に、天堂が何度も天を仰いだ。


2勝2敗。

ここまで、苦しむとは思っていなかった。


勝負は、S4の大将・ロクに託された。


「ま、やるだけのことしかできないから、応援よろ~」

気だるげに、いつもの様子で、ロクは台ヘ向かった。

試合が終わったのか、女子部の田中や岸田、若松も応援に来ていた。

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