2 立花氏は「脅迫の前科があること」が響くか?
◇立花氏の「色々な」経歴
質問者:
立花さんってたびたび問題を起こしている印象があるんですけど……。
筆者:
立花氏のこれまで注目された一件としては、
2022年に日本に居住していないガーシー(東谷義和)氏を参議院議員選挙に擁立したり(後に国会に出席しないことから議員から除名され、常習的脅迫による有罪が確定。懲役3年、執行猶予5年)
2024年の東京都知事選挙では選挙ポスター掲示板の枠を販売
2024年の兵庫県知事選挙では「2馬力選挙」であったりと、
公職選挙法で明確に禁じられてはいないが倫理的に敬遠されてきた抜け道をみつけることに非常に長けていると言えると思います。
これらの行為は権利の濫用と言われかねないものの違法行為として規定されていないために今後も新たな「抜け道探し」をし続けることでしょう。
質問者:
それぞれの時に「お騒がせした」イメージしかないですね。
いったいどいう言うことでこのようなことを続けているのでしょうか?
筆者:
僕の分析では立花氏は非常に自己顕示欲が強い方なのではないかと思います。
2019年には参議院議員に比例代表で当選しましたが、参議院埼玉県選挙区の補欠選挙に立候補する意向を表明したために辞職(失職)し、わずか3か月しか参議院議員ではありませんでした(さらに落選した)。
24年の兵庫県知事選挙でも2馬力といった当選を目的にしないで出馬するなんて通常では考えられず、紙面に自分の名前が載ることやSNSなど話題に挙がることで大きな快感が得られる方なのではないかと思います。
◇妻が取り下げない限り、立花氏は厳しい情勢
質問者:
確かに同じ参議院議員に立候補するために3か月で辞任はちょっと常識では考えにくいですね……。
そんな「法の抜け道」に詳しい立花さんですが、今回の逮捕では一体何が問題になったのでしょうか?
筆者:
25年1月に自死された元兵庫県議の竹内英明氏(享年50)の名誉を毀損した疑いがかけられています。
竹内氏の妻が提出した立花容疑者に対する告訴状によりますと、
竹内氏は立花氏のSNS上での誹謗中傷から精神の不調に陥り、鬱症状が悪化、更にはネット上で自身が犯罪者扱いされていることを知り、症状をさらに悪くして、25年1月18日自宅で自殺した――といった内容がありました。
質問者:
実際にはどのような投稿が立花さんからされたんですか?
筆者:
神戸新聞NEXTの11月14日配信の『亡くなった竹内元県議に対するSNS投稿、ピークは6回 その多くに立花容疑者の発信が関係』という記事によりますと、
『(24年)12月1日には立花容疑者が「竹内が県議会議員を辞めた理由! 現在竹内は警察からいろいろ聞かれている模様!」』
『翌(1月)18日、竹内氏は亡くなった。19日に報道されると投稿は11万件を超えた。最も拡散されたのは竹内氏を悼む言葉だった。
一方、立花容疑者は「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました。こんな事なら、逮捕してあげた方が良かったのに」と投稿。削除されるまでに2639回リポスト(引用投稿)され、容疑事実の一つとなった。』
とあり、警察から聴取を受けていることが(それも本当かどうか不明)、あたかもすでに犯罪者かのように扱ったのです。
質問者:
なるほど、それはいけませんね……。
筆者:
更に11月14日の関テレの記事では立花氏は「真実相当性の争いをしない。自白する方針になりました。示談をさせていただきたい」という申し入れを竹内氏の妻に申し入れたものの、立花氏の妻はこれを拒否した模様です。
質問者:
逮捕というとまるで有罪みたいな扱いですけど、立花さんも有罪にはなっていないですよね?
斎藤兵庫県知事のように不起訴になる可能性というのは無いんですか?
筆者:
まず、竹内氏の妻が亡き夫の名誉棄損を取り下げないと厳しいと思います。
この点については立花氏側が和解を申し入れたのに拒否されているから厳しいです。
更に「真実相当性を争わないで自白」ということは事実上、悪いことをしたことを認めているに等しいですからね。
この点からも起訴されて無罪を勝ち取ることすら難しいと思います。
また、立花氏は2023年にNHKと受信契約を結ぶ顧客の情報を不正に取得したとして不正競争防止法違反、それに伴う東京都中央区議への脅迫などの罪として懲役2年6か月、執行猶予4年の実刑判決を受けています。
そして現在、今回と類似している脅迫の罪での執行猶予中の上に事実上の自白をしたことから、
多少刑が軽くなる可能性はあると思いますが今度は執行猶予なしでの懲役刑になる可能性は高いです。
質問者:
ふぅんなるほど……。
でも、こういった際には大抵の場合は在宅起訴になると思うんですけど、どうして今回はわざわざ逮捕という形になったのでしょうか?
何かネットでは「陰謀があるからだ」みたいな話もあるみたいなんですけど……。
筆者:
逮捕には「勾留の必要性」が要求されます。
その必要性は「逃亡のおそれ」や「罪証隠滅のおそれ」があることが重要です。
立花氏はドバイに25年10月27日に渡航し、現地の人脈の層の厚さについてSNSで公開していたそうです。
その後に帰国しましたが「逃亡のための下調べ」と兵庫県警は判断したのだと思います。
NHK党で当選したガーシー氏もドバイで滞在して逮捕を逃れ、国際刑事警察機構(ICPO)よる国際手配などを経て逮捕状が出てから3か月経ってようやく帰国と同時の逮捕となっています。
「仲間」の同じような過去を思い起こせば、証拠が揃った段階で逮捕もやむなしということなのだと思います。
質問者:
国際手配の手続きをしている暇があったら他の捜査をしたいでしょうしね……。
筆者:
また立花氏は学歴詐称問題で失職した伊東市長選挙に出馬する予定でした。
法律上の規定はありませんが
『選挙に立候補したら選挙終了まで立件が見送られる』という慣例や慣習を利用してきた節があるので立候補を宣言される前に(翌日記者会見の予定だった)逮捕に踏み切ったものと思われます。
この点は斎藤知事とは対照的に現職の議員や知事ではないことが大きく響いている可能性があります。やはり、民主的に選ばれた議員を司法が引き摺り下ろすことは憚られるのでしょう。
質問者:
立花さんは法律に規定されていないことならなんでも利用される方みたいですからそういった懸念を持たれてもやむを得ないということなんですね……。
筆者:
ただ、これまでの立花氏の言動からすると、どういう形であるとはいえ、知名度を上げることができれば本人としては「成功」と思っておられるのかもしれません。
また何か「政治的な大きなこと」をやる可能性もあると思うので、今後も立花氏の動向について注目したいと思います。
次に去年の兵庫県知事や今年の参議院選挙を皮切りに「選挙に関するSNS規制」について議論が白熱していますのでそれについて解説していこうと思います。




