1 斎藤知事について「不思議なところ」
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回はちょうど昨年の今頃(24年11月17日)に行われました色々と話題になった兵庫県知事選挙で「勝者」となった斎藤知事と立花孝志氏がそれぞれ明暗が分かれたこと。
兵庫県知事選挙と25年の参議院選挙の影響でSNS規制が取り沙汰されていることについて触れていこうと思います。
◇斎藤知事にかけられた4つの疑惑のうち3つが不起訴
質問者:
斎藤知事は24年の選挙やその前の100条委員会で色々と言われていましたが、
それらが全て不起訴になったということなんですか?
筆者:
いえ、4つのうち3つが不起訴で1つが捜査継続中だということです。
不起訴は
・斎藤知事からPR会社への報酬の問題(買収疑惑)
・プロ野球優勝パレードをめぐる不正支出の疑惑(背任疑惑)
・県に贈与されたワインの持ち帰り(背任疑惑)
の3つです。
一方で、疑惑告発文章の作成者に関する私的情報の漏洩については捜査が継続されています。
質問者:
不起訴の3つの中で筆者さんが危ないのではないかとご見解があったのは,
一番上の「PR会社への報酬の問題」だったと思うんですけど、
これについてはどうして不起訴になったんでしょうか?
筆者:
どうしてこの問題が危ないと思ったのかと言いますと、PR会社への支払いが確認されている71万円5千円そのものは「政治活動、立候補の準備活動の費用」の上に適正価格ということで問題が無いのですが、
「note」でPR会社社長が選挙後に明らかにしたのは受託した業務が準備に加え「具体的な選挙運動の内容」だったんですね。
これに対してお金を支払えば「買収」と認められる可能性が高いです。
更に、200万円以上の見積書も後に発見されたことから「71万円以上に支払われているのではないか?」「買収ではないか?」という疑惑になったわけで、この点が「逃れられないのではないか?」と僕は思ったわけです。
質問者:
この件が不起訴になったということは証拠が揃わなかったということなんでしょうか?
筆者:
そういうことになります。
つまりは斎藤氏側からPR会社へ71万円5千円以上の支払いの証拠というのは見つけられなかったということで、評価額の差額分はボランティアだったということです。
これがボランティアであれば合法ですからね。
「自ら犯罪を暗に告白したのにどうして?」と不思議に思われるかもしれませんが、
仮に「〇〇さんを殺害しました」と言って出頭してきても、犯行が不可能であれば不起訴になります。
これほど極端に酷い話ではないですが、「note」の話は現状では「実績を盛った」に過ぎないということです。
質問者:
今後の会社運営のために誇大な宣言をしたということですか……。
筆者:
ただ法律的な問題にはならなくとも政治家の仕事を請け負う会社としては「失格」に近いでしょうね。
誇大宣伝するにしても何を言ったら良いのか悪いのか区別がつかないということですからね。
ただ、「差額がボランティア」だとした点で不可解な点はPR会社の代表は見積もり段階で選挙活動について有償としていたSNSで使える動画の撮影や編集を、選挙に入るともっぱらボランティアとして無償で行ったことになるということです。
この当初の意向と変化した経緯は明らかにし、明瞭な説明が無いとこの疑惑を追及していた側からしたら溜飲が下がらないでしょう。
質問者:
でも、見積書200万円と実際に支払われた70万円の差額130万円についてはどうして問題にならないのでしょうか?
筆者:
この点は「寄付」と同じ扱いになると思います。
資本金10億円未満の企業は年間750万円まで寄付が可能になります。
そのために200万円の評価の仕事であったとしても他で献金が無ければ「130万円分の寄付」ということでOKだということになるみたいです。
質問者:
なるほど、そういう理屈になるわけなんですね。
◇権力者は起訴されない?
筆者:
また、現職の権力者を有罪にすることは難しいという要素もあります。
なぜなら司法が有権者から選ばれた政治家を公民権停止にして事実上免職させるさせることは民主主義に反するからです。
そのために、斎藤知事について問題が浮上しても「秘書ガー」で終わってしまうことも考えられます。
若しくは知事で無くなった後に問われることになるのではないかと思います。
質問者:
安倍派の裏金問題だって安倍元首相が亡くなった後に、安倍派の会計責任者が起訴されたに過ぎませんからね……。
筆者:
しかし、いつもと様相が違うのは疑惑告発文章の作成者に関する私的情報の漏洩については100条委員会が25年5月に認定していますからね。
警察や検察としてもある程度「成果」を出さないと「示し」がつかないことだと思います。
仮にこれで斎藤知事がお咎めなしであれば、100条委員会や第三者委員会の公平性について疑問が持たれることになるでしょうし、「もう一波乱」がありそうな予感がしますね。
質問者:
筆者さんは斎藤知事のことを
「大手マスコミが言うほど悪い人じゃないけど、ネットが言うほどいい人でもない」
という評価でしたものね……。
筆者:
斎藤知事のパワハラについても一部は認定されていますので、全く荒唐無稽ではないと思います。
大手メディアとネットで大きく異なる場合では「中間ぐらいの落としどころ」ぐらいが妥当なのかなと思います。
ただ、今回のPRの一件は合法ではあるものの「無償でやる式政治献金」というのは個人的には「政治を歪めている」と思います。
企業や宗教団体が「個人が勝手にやった」と称して人を送り込むことで、無償(寄付)が可能な枠を越えているかどうかわかりにくいという要素がありますからね。
そのうえで、そういった人を出してきた組織の指示や発言を無碍にできないんです。
質問者:
確かに、不透明でわかりにくいですし、「会社ではなく個人の意思のボランティア」と言われてしまえば終わりですからね……。
筆者:
「タダより高い物はない」ということですね。
お金を払うにしても買収と言われますし、ホント選挙というのは色々と配慮や考慮しなくてはいけないことが多くて大変だなと思います(絶対に出馬したくない……)。
いつか、選挙にお金がかからなくなり、そういった買収とか全く関係無くなればいいと思いますけどね
次に立花孝志氏についてどうして逮捕されたのか? 今後はどうなりそうなのか? について考えてみようと思います。




