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人とモノの愛
「愛しています。だから何があっても貴方に勝利を届けましょう」
「……本当に私を愛しているというのなら、無事に帰ってきて。勝利よりも貴方の無事が大事なの」
――そんな言葉を今思い出した。俺はもう立ち上がる足もなくなって眩しいほどの青空を見上げている。周りではまだ立ち上がれる仲間が命すらも削る声を上げて敵へと向かっている。申し訳なさを感じつつも、俺は体の力を抜いた。
あの人は何故悲しそうにしたのだろう。愛しているからこそ、勝利を届けたかったのに。俺自身が帰ってくることを何よりとしていた。分からない。そもそも俺はモノであの人は人間。価値観が違うのだろう。
あぁ、それでも……。あの人が望むなら、あの人が欲しがる愛だというのなら叶えてあげたかった。今になってそんな事を思ってしまう。
「愛するということは……難しいものなのですね」
冷えていく体と落ちていく瞼に名残惜しく感じながらも、最後にあの人の笑顔を浮かべて俺は崩れていった。




